夕暮れ時
雲が少し浮かんで
青空と茜色とが混ざるとき
桜の薄いピンクの花びらも
茜色が撫でていくよう
早くも茜色に染まりつつある雲に
追いつきたいように
だけど
はなから薄いピンクの花先だから
オレンジ色のセロハン越しから見
てる不思議な蛍光色
思わず車を止めて
小学校の誰も居ない校門前
ちょっとごめんなさいねって
花壇のブロックに足をかけ
もっともっと見たいよって
小さな私が心の中で叫んでた
もうすぐ
桜色は闇に負けて
茜色にも負けて
誰かがライトを当ててくれなきゃ
主役になんてなれないのって
最後のパフォーマンスしてくれて
いるみたいなの
みんなが足早に帰っていく時刻
ふと見た『ふつうのさくら』
そう、普通の桜なの
でも、もう私にとっては、
普通の桜じゃないからね