第22話 早春馳走

2005年03月05日 01時05分20秒 | 食べる

京都は花背に、摘み草料理をいただきに参りました。
出町柳からバスで1時間半、大悲山口で下車、送迎バスに乗り換えて、
目指す道の先には憧れの宿・美山荘。

案内されたお部屋で、あたたかな静謐と藪椿の花一凛に迎えられ、
窓から望む景色はお庭からそのまま丹波の山々までひろがる。
襖絵は版画家・徳力富吉郎作。一面に朝顔、(春夏秋冬、四部屋あるうちの)夏の間だった。
明かりに照らし出されているのは元東大寺管長清水公照師の書画。
可愛い!!

まずは一服、あけび茶でほっこりする。
朱の杯にお酒を汲んでいただき、これって三三九度みた~い、
いつもよりおちょぼ口でいただく予行演酒に、ぽっ、と体があったまる。
カンゾウの新芽・ゆり芋の揚げ物。一品目があんかけ。
体が先ほどまでの雨雪の冷たさを忘れていく。
つづく、薇とつくね芋のみそ汁で体の芯まであたたまってから、
岩魚の刺身、
蕗の薹の白和え、鹿肉、蕪に鰯、菜の花、野蒜のぬた和え、かきのみ芥子の実付き、栃餅、百合根、
薇と虎杖のいなり、若狭のぐじと蕪の味噌仕立て、
アマゴの背開き焼きからすみがけ、
猪肉のすまし汁、花背の猪は昔ながらの栗などを食べて育つのでその肉はくさみもなく柔らかいとのこと。
セリのご飯、漬け物、
果物、栃餅の善哉。以上。

川の魚、野の草花、新芽や根…その姿を思い描けなくとも、大地の息吹を味わい尽くす口福。
心を尽くしたおもてなしに満腹にて至福。
春を食す贅沢ランチ、「ごちそうさました。」


※摘み草料理…野に出て若菜を摘む大宮人の生活の中の遊び、その遊びの部分を司る優雅な情景を
お料理に試みた美山荘オリジナル懐石料理。


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