第806話 幻の公演

2014年10月31日 03時09分43秒 | Weblog

私が話を書かない日も、ここに訪ねてくれる方がいる。

どんな話に興味を持ってくれたのだろうか。

その足跡(ランキング)を追う形で、過去のブログを改めて読み返してみると、

あぁ、こんなこともあったな。 あ~、こんなことを考えていたのね、と新鮮に思い出される。

その中に劇団をしていた頃の話(第107話 衝動へのカウントダウン)があり、思い出したことがある。

 

当時、1年に1回のペースで、10月に公演を行っていた。

2006年、結婚しなければ、劇団カプチーノは第3回公演を行っていたであろう。

何をするかまで決めていた。

決めていた演目は、梨木香歩著・「西の魔女が死んだ」  魔女役の役者さんに話を持ちかけていた。

この公演が叶わなかった後、2008年、「西の魔女」が映画化された。

実は2005年、劇団カプチーノの第2回公演「しゃべれども しゃべれども」(佐藤多佳子著)も

公演後、2007年に映画化されている。

カプチーノの公演は公演後いつも映画化される、というジンクスを生むことができなかったことが悔しく、

悔やんだ。

 

今でも忘れられない言葉がある。

第2回公演の打ち上げの際、「あなたは、病気の子を放って公演を選択できますか?」と問われる。

何かの話で、家庭と演劇の両立話になった。

その時、まだ自分が翌年結婚することも知らず、頭の中だけでその答えを考えていると、

私の答えを待たないうちにその方は、「あなたには絶対無理」だと言い切った。

実際、私はインフルエンザの子を放って出勤する母になる。(どうしても休めない日というのがあるのだ)

でも、それは仕事だからだ。 仕事と家庭の両立、プラス演劇。 

もしかしたらあの時、あの人の強い断定は、私にとって演劇は趣味で、その人にとっては仕事だったからかもしれない。

治るとわかっている病気だからこそ、放っていけるのかもしれない。

実際、生死をさ迷うほどの究極の選択を迫られた時、私は母であることを優先する。

あの人の読みは当たった。

役者が親の死に目にもあわず舞台に・・・などのニュースを見ると、

「そんな生半可な気持ちで続けて欲しくない」と言われたことを思い出す。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする