役者陣からは「すごい!一流のスタッフ陣やね~」と言われ、
スタッフ陣からは「よくこれだけいい役者を揃えたね~」と言われた。
各陣営の真ん中にいた私は、その事がすごく嬉しかった。
何もない私にとって、それだけが自慢だったから…。
この奇跡の共演をぜひ多くの人に観て欲しかった。
画家と話した時も思ったのだが、絵画は残せる。だが、舞台は、残せない。一期一会。
生きて舞台に存在する人間と、その存在を確かなものにする
生きて観るお客様の目が必要だ。
広報活動をして、できるだけ多くの人にお知らせしなければ…
チラシの作成・挟込み、ホームページ開設、口コミ…しかし、私、ひとり…限界がある。
私はキャスティングが決まった時の自身の震える思いを世に知らせるべく、
新聞社雑誌社宛に広告掲載願いの企画書を作成し、送った。夏のことである。
9月下旬を迎えるまでに色々な事が起こった。
徐々に痩せた私の体、目がくぼんで、肌も荒れた。
「役者として、頬だけはこけないようにね」と言われ始めていた。
うちひしがれていた頃に…Lマガジンに広告が掲載、続いて、ぴあ。
最後に、10/5付の朝日新聞!
稽古後、家でみた朝日新聞には、我が目を疑った。
カプチーノが朝刊に取り上げられている…。
あの夏の日、素直に、時間をかけて丁寧に自分の気持ちを綴ることにした企画書が
通った。
旗揚げにして新聞に掲載していただけるなんて!
運がよかったと思う。この最幸運に感謝せずにはいられなかった。
素直に、時間をかけて丁寧に自分の気持ちを綴った思い(企画書)が伝わったことが
嬉しかった。
夏に蒔いた種、ずっと芽がでなかったから…もちろん中にはでなかった芽もある…
すべてでなくとも、不意をついて、でてきた芽が!
埋まっていて、目には見えなかったけど、ちゃんと生きてた。
こんなことってあるんだ…。
この夜、久しぶりに、内からこみあげる力にまかせ、笑って、眠って、救われた。