一流の包容力

2006年09月22日 23時25分56秒 | 回想録・「解体心書」

演劇界、右も左もわからず、その日はアイホール(伊丹にある劇場)で
右往左往していた私に声をかけて下ったのが、舞台監督の塚本修さんです。
恥はかきすて、いえ本人は恥とも気づかないまま、
傍から見れば挙動不審者でしかない私の旗揚げへの思いをきいて下さった後、
優しく「何かわからないことがあれば、いつでもご連絡下さい」と塚本さん…世は情け。
無謀な失敗が出会いを生みました。
塚本さんに旗揚げ公演コンサルティングをお願いし、
私の非常識と演劇界の常識を教えていただきました。
台本を読んでもらい善し悪しを教えていただきました。
知らなさすぎる私がゆえに、貴重なお時間をたくさんいただいてしまいました。
舞台美術さん、音響さん、照明さんを紹介していただきました。
知らなさすぎる我が劇団、負担の大きい舞台監督までお引き受け下さいました。

公演後、しばらくして塚本さんから反省会のお誘いを受けました。
まだ公演後の気持ちの高ぶるまま、感情にまかせ、塚本さんに思いを打ち明けました。
出会った時と同じように、興奮気味の私の話を最後まで穏やかにきいて下さったうえで、
「なら次回はこうした方がいいですよ」と、ひとつひとつに改善策をいただきました。
多忙な中、反省会と称し、私の為にカウンセリングまでしていただけたのです。
下を向く私に「失敗しないよう先にアドバイスをすることはできます。でもそうすると、
その時、避けることができても、結局いずれまたどこかで失敗してしまいます。
失敗は経験していくしかないですから。大事なのは二度と同じ失敗をしないことです。
そして…とーまちゃんは、まだまだ、失敗します。それでいいんです」
見上げるとそこには塚本さんの微笑みがありました。この時の私の喜び!
私は、見守られていたのです。育ててもらっていたのです。
塚本さんからいただくアドバイスにはいつも「ほどよさ」があります。
見通しながらも、育てる為に待ち、育つ為に残せる、そんなほどよさが…。
打ち上げ後、明け方、塚本さんからいただいたメールのタイミングのよさ…
的確にして適切。絶妙!
次回の為、消せないメールです。
見守られているあたたかさに包まれているからこそ、応えたい。
塚本さんへ
カプチーノ、これからも失敗しながら育っていきたいと、はりきっています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする