片岡鶴太郎金田一耕助第3話。
出だしはアメリカ時代の金田一耕助。
これはおもしろいと思ったのですが中身の「本陣殺人事件」についてはこんな話だったっけ?というほど変でした。
主演女優は佐久間良子さん。
その回りに美人女優さんがいっぱい出てきて、もうドラマの筋に混乱をきたしています。
古手川祐子さん、森口瑤子さん、小田茜さん、おまけに牧瀬里穂さん。
これらの一人一人に金田一が関わるのですから、時間がいくらあっても足りません。
古手川さんの演じていた一柳妙子なんて今までの「本陣殺人事件」ドラマには出てこなかったので、そこで頭の中がぐるぐるしました。
女性たちの哀しみがメインテーマになってしまったので、パズル的要素が減ってしまったのでした。
加藤武さんの磯川警部も優しすぎでしょう。
このシリーズは原作に忠実なのかと思っていましたが、そうでもないようです。
「本陣殺人事件」のおもしろさって、アメリカ生活で病んだ金田一耕助と一柳賢蔵、三郎という日本の旧家の病んだ兄弟の推理対決なのではないでしょうか。
トリックのためなら命も捨てちゃう病んだ兄とそれを助ける弟。
弟もトリックのために大けがをするほど病んでいるのです。
こうなるとATG映画の「本陣殺人事件」も見てみたいな。
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鶴太郎版金田一、改変が激しくて不評が多いようですが、改変が激しい割には過去の映像作品ではスルーされている原作に忠実な部分があり、興味深く観ていました。川田屋のコップ、白木静子の交通事故、タマの墓に参った鈴子が犯人に脅かされる、おりんが金田一以外の目撃者を作る、猿蔵が網の修理に琴糸を使用、濃茶の尼の盗癖、椿英輔の呼び方、等々。
それから各作品には過去の映像作品のオマージュっぽい部分がありますので、それらを見つけるのも面白いです(「女王蜂」に至っては過去の「女王蜂」がツギハギ・・・・・・)。
鶴太郎版「本陣殺人事件」。確かに、それまでの映像作品では旧家の病んだ兄弟のインパクトが強烈ですので、旧家の病んだ母のドラマにしてしまうと違和感があるようですね。こちらの方も旧家の病んだプライドが内側から旧家を崩壊させてしまう悲しさはありますけど。
あれだけの事件を起こした一柳家からは使用人達は去って行くでしょうし、久保氏への賠償を済ませた後は土地や財産の殆どを国に譲与して妙子も鈴子も平凡な一村民になるはず。次に来る時には屋敷も跡地になっていると思われるから、金田一もしんみり見ていたのだと思います。
(鶴太郎版本陣は「仮面舞踏会」の要素を持ってますね。糸子刀自の幼少時の事件は横溝の短編「面影双紙」から)
ATG映画は音楽がほとんど使われて無く、物語の持つ病んだ陰湿な雰囲気をより引き立てています。どうぞ、ご視聴下さい。