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街の散歩…ひとりあるき

21-22 悉逹太子 般若臺にて迦羅ゝ仙を師とす『釋迦尊御一代記圖會』巻之3

2024年10月05日 | 宗教

斯くて或時、阿羅ゝ仙、太子に對かい、伱(なんじ)、此の三年が間昼夜の修行懈怠(けだい)なきにより
五濁の垢も去り、五逆の罪も消えて実母、摩耶夫人得脱し上界の仙女と生まれ、遂には
帝釈天の后妃に備わるべし。伱、正覚成道の後、自ずから相見(しゅうけん)する期(とき)有なん。此の上
は上無定の室般若法基(ほうたい)に到り、迦羅ゝ仙を師とし無為学道の秘訣を学び究め候へ
とて精しく教導ありければ太子俽悦(きんえつ)にたえ給わず。年来の高恩を謝し、別れを告げて
檀特を立ち出で給い盤若臺へ分け登り給うに、迦羅ゝ仙、兼ねてこれを知り半途に出迎え、
照普比丘(しょうふびく)、きたる事なんぞ遅きやと呼ばわり、太子愕き給い、亡(いそがわ)しく跪いて仙翁
の足を礼し、偖(さて)は迦羅々仙にてわたらせ給うや。願わくは無為正覚の妙道を教授せさせ
給えと曰いければ、迦羅々仙が曰く、伱、照普我此同上の戒行は顕密、秘密、清浄密
とて三密瑜伽の修業にて、言語不及の妙典なれば甚だ行い安からず。汝、よく
行いとぐるや否やと問う。太子、拝伏し給い、弟子、法律を甘んじて、世栄を欲せず、
無為学道の為にかねて身命を抛(なげう)ち候へば、如何なる難行をも修し候へと答え給う。
迦羅々仙、善哉と賞し室に伴い照普を改めて妙舎利仙と呼び、緑の御髪(みぐし)を
剃り払い、藤の太布の法衣を与え、偖(さて)、教えて曰く、此の所の修行は因位、果位三昧と

て三品(ほん)の行い有。亦、虚空無為、涅槃無為、真如無為とて三無為の行いあり。亦、
不変真如、実相真如、髄炎真如とて三真如の行いなり。以上三々九品(ほん)の修行、
不可説、不可得の心地にして其の修行、最も難(かた)かり。仙食は、摩訶寶蘭樹の果、木檀
子と号する者と一日に一粒服し、一滴の水をも飲むことを許さず。この峯より巽の
方三里彼方に聳える峯を摩迦遮那山と号(なづけ)、その山に霊泉あり。妙法泉と云
えり。其の瀧の源に金剛宝石とて平らなる石あり。それを坐禅の床として一百日
は坐しての修行、敢えて起(たつ)を許さず。一百日は立ちての修行、敢えて坐する事を許
さず。一百日は伏しての修行、睡眠を許さず、行の内に思念なく、行の内に言語
なく、行の内に心なし。是を自然(じねん)不生の行相なり。慎んで怠る事なかれと指示(さししめ)す。
太子、師命を領掌して摩迦遮那山に攀じ登り、瀧の源を尋ねて金剛宝石の上に到り
三密の行に入り給う。痛わしいかな日々木檀子一粒の他は水をだに飲み給わざれば
さしも白玉のごとくなりし御肌も日に黒み,風に荒れ、唯木枯らしのごとく瘦せ衰え給い
ながら、三伏の夏の日も炎暑をし伸びて苦行し厳冬の雪の夜も寒苦を耐えて
難行怠らず、精神を励まして行いすまし給いける。余りの困行に身体倦み疲れ
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