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性犯罪と再犯率

2005-01-25 20:40:55 | ニュース関連
 奈良市の女児誘拐殺人事件の容疑者逮捕以来、ミーガン法(メーガン法)と同様の制度整備と性犯罪者の再犯率がクローズアップされるようになりました。性犯罪者の再犯率は高いそうですが、それを証明するデータを見た事がありません。
 今日の読売新聞の【論陣論客】に諸沢英道氏の発言として性犯罪者の再犯について【性犯罪の定義にもよるが、米国などの研究報告では、約8割という数字も出ている】と書いてありますが、他の犯罪はどうなのかという比較が無い。暴行や傷害も8割だったら、性犯罪者の再犯率が突出して高いという事にはならない。
 貼り付けた画像は法務省の白書等データベースから拝借した、いわゆる再犯率を示したデータです。ただ、このデータも完全なものではありません。表にも書いてありますが“同一罪種の前科を有する者の比率”とあるように、強制わいせつの前歴者が強制わいせつで逮捕されればカウントされますが、強制わいせつの前歴者が強姦で逮捕されてもカウントされません。性犯罪全体の再犯率はこのデータからは判らないのです。
 それでも同一罪種の再犯率を示すデータにはなりますので再犯率を高い順番に見ていくと、覚せい剤51.2%、詐欺21.8%、傷害21.3%、恐喝19.4%、窃盗18.6%、暴行13.7%、住居侵入13.2%、強盗殺人12.8%、脅迫10.9%、強制わいせつ10.4%、強姦9.0%となります。覚せい剤は常習性がありますから当然としても、他の犯罪に比べて強制わいせつや強姦の再犯率はそれ程高い方ではありません。

 以前ミーガン法(メーガン法)について書いた時に参考にしたミーガン法のまとめ @ macska dot orgこちらのサイトの製作者の方は米国における再犯率についても調べて書いていますが【連邦政府・州・郡といったそれぞれの単位でまちまちの治安対策や統計調査を行う米国において、全国的な再犯率を調査するのは難しい。調査手法や地域の事情によって簡単に違った数字が出てしまうのだ】と書かれています。前出の再犯率8割という数字はこの違った数字の中の最大のものなのかもしれません。だとすればこの8割という数字を簡単に信用する事は出来ません。

 “性犯罪者の再犯率は高い”という言葉がどうも独り歩きしているようなので今回の文章を書いてみました。