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連邦法を知らない中村教授

2005-01-14 20:44:12 | ニュース関連
「腐った司法に怒り心頭」 中村教授、帰国し批判会見 (共同通信) - goo ニュース
 今回の青色発光ダイオード(LED)訴訟の和解について大勢の人が、色々な意見をブログに書いていますが、その中に興味深いものが幾つかありました。それは中村教授の会見での発言に疑問を呈するものと、前回の判決が誤りだとするものです。
 会見で中村教授は“「これだけの発明をして6億円。やっぱり日本は文系社会。個人を重んじず、大企業に『滅私奉公せい』というシステムだ。実力のある理系の人は米国へ来るべきだ」”と発言していますが、アメリカの連邦法には従業員発明に関する規定が無いんだそうです。アメリカでは入社時に勤務中に行った発明については特許を受ける権利を会社に譲渡するという契約書にサインするのだそうで、また多くの企業が、従業員が発明をしても給与以上の報酬を受け取ることができないというシステムを採用しているということです。例外的に報奨金制度等を採用している企業もありますが、それ程高額ではないようで特許の申請・取得時に合計3000ドル程度のようです。アメリカも日本もそれ程変わらない状況なのに何故“「実力のある理系の人は米国へ来るべきだ」”という発言が出るんでしょうか?不思議です。
 もう1つの前回の判決が誤りだとするものは、青色LEDの発明の過程から日亜化学工業のリスクへの挑戦、特許法についてまで詳しく書かれています。これを読むと青色LEDに関する三つの特許が中村教授1人で産み出したものではないということがよく判ります。
 余談ではありますが、中村教授が今回対価を求めた特許と殆ど同じ方法が、中村教授が成功する5年前の85年に学術論文として発表されていたということが文末近くに書かれています。

 発明・特許の対価として多額の利益を得るには、自分でベンチャーを起こすか、そのアイデアを持って他社に移るか、会社とその特許に関する契約を結ぶしかありません。中村教授はそのいずれも選択していないのです。それなのに巨額の対価を求めて訴訟を起こしたその姿は少々異常に見えます。また、現在自分の住んでいる国の従業者発明について理解もせずにアメリカに来いと言うのもおかしいです。
 会見で「司法制度は腐ってると思う」と発言した中村教授ですが、貴方の頭の中身も“腐っている”んじゃないでしょうか。

今回参考にしたPDF
青色LED「200億円判決」の決定的な誤り-リスク・チャレンジからのリターンを発明の対価と混同してはならない-(PDF)