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熱と音を変換する熱音響冷却システム

2022-11-28 07:10:29 | 理系オタク
熱エネルギー、温度差を音波に変換したり、音波を熱エネルギーに変換したりするでつ。
そんな「熱音響現象」によって工場の排熱を活用する「熱音響冷却システム」を基に開発。

実用化にめどをつけたでつ。
熱音響現象を利用した冷却システムの開発自体は、日本国内の企業や大学でも進められており、
局所的に低温にする実証実験に成功した実例はあるでつ。

だけど、十分な冷熱を取り出して冷房などに利用できるようにしたのは、恐らく日本で初めて。
熱音響冷却システムのデモ機を使った冷房装置を体感。

実際に工場内の気温が29度の時、デモ機によって冷房されたブース内は11度。
ブース内の温度を18度下げることに成功。

熱音響冷却システムは、 熱エネルギーを音エネルギーに変換し、発生した音波を熱エネルギーに
再変換して冷却するもの。
採用したループ管による熱音響冷却システムの構造はシンプル。

熱を音波に変換し、音波を熱に変換する「コア」を2つ備えてて、音波を伝えるパイプでその2つのコアを
つないでいるでつ。

コアの一方は、工場排熱などを音波に変換する原動機コア、もう一方は音波を受け取って熱に再変換し、
冷熱を出力する冷却機コア。
コアやパイプの中はヘリウムガスで満たされているでつ。

コアはいずれも、蓄熱器と熱交換器、テーパー管から成る。蓄熱器は積層したステンレスの金網を、
2つのフィンチューブ型熱交換器で挟んだもの。
金網の網目が重なり合って、蓄熱器は直径0.1ミリメートル程度の細かい流路が空いた状態。

原動機コアは、温度勾配があると音波が生じる、もしくは音波を増幅させる「熱音響自励振動」と
いう現象を利用したもの。

原動機コアの高温熱交換器には熱媒油つまり工場排熱で温めた油、常温熱交換器には常温水を循環させると、
蓄熱器内に温度の勾配が生じるでつ。
するとHeガスが、低温側から高温側にわずかにでも移動すると膨張、逆に高温側から低温側に移動すると収縮。

この膨張と圧縮という熱力学サイクルが繰り返され、その結果、振動が増幅されて大きな音が発生し、
蓄熱器で音エネルギーが増幅される。熱エネルギーが音エネルギーに変換されたわけ。

発生した音波は、パイプ内のHeガスを伝搬して、もう一方の冷却機コアに到達。
冷却機コアでは、原動機コアとは逆の現象が起こる。つまり、音波つまり圧力差によって蓄熱器の狭い流路内の
Heガスが膨張と圧縮を繰り返して、徐々に蓄熱器内に温度勾配が生じるでつ。

この際、高温側の熱交換器に常温水を循環させれば、低温側では常温水の水温よりも温度が下がるでつ。
従って、低温熱交換器に循環させた不凍液から冷熱を取り出せるでつ。

中央精機の熱音響冷却システムは、2つの点で他の企業や大学が開発を進めている熱音響冷却システムと
大きく異なるでつ。

1つは、原動機コアと冷却機コアにある蓄熱器の径を、パイプよりも大きくした点。
もう1つは原動機コアと冷却機コアとの間に、やはりパイプより径の大きいコンプライアンスを
設けた点にあるでつ。

これによって動作が安定し、高出力の冷却効果を発揮できるようになったでつ。
熱音響冷却システムの実用化には、要求した排熱温度以下で動作しその上で高い熱効率を得るという
2つの条件を満たす必要があるでつ。

システム内での反射波が少ない環境をつくるのが有効。
一方向に進む進行波に対して、別の方向からくる反射波が少ないほど音エネルギーの損失を抑えられるので、
熱音響冷却システムが動作し始める温度を下げられるでつ。

反射波の少ない環境をつくるために取った対策が、パイプより径の大きい蓄熱器とコンプライアンスの設置。
これによって管内音場を調整して反射波を減少させたつまり進行波音場に近づけたでつ。

シミュレーションによると、最大冷凍出力は直径350mmのコアで7.5kW、直径400mmのコアで10kW。
エネルギー消費効率は0.3程度なので入力した熱に対して30%程度の冷熱を取り出せるでつ。

システム内の音場はパイプの内径や蓄熱器の流路径、蓄熱器の長さなどさまざまな要素の影響を受けるでつ。
同社はシミュレーションを繰り返し、試作による実験を実施。原動機コアの高温側蓄熱器が126.6度になった時点で
発振し、200度になった時点で冷却側蓄熱器が-13.7度に達するという結果が出たでつ。

2022年7月、同社工場でこのシステムの実証実験を実施。
同社が製造しているアルミホイールの熱処理工程で発生する最大約250度の排熱を利用して、冷却機コアの低温側を
ー14.4度まで冷却。

この冷熱を出力して冷蔵庫内を約1.5度に冷やすことに成功。
まずは目標としていたー10度をクリアできたと手応えを感じているでつ。
目下の課題は、ー14.4度まで冷却した冷却機コアから、ロスを少なくするなどして冷熱を効率的に取り出す技術の確立。

冷蔵庫として使える1.5度ではなく、ー10度程度まで冷やして氷を作れる冷凍庫に利用できるレベルまで
出力できるようにしたいでつ。
氷が作れるレベルまで冷やせれば、冷蔵庫にもチラーにも利用できるし、事業化する際に販路が広がるでつ。

冷蔵庫内を1.5度程度まで冷やせるレベルまで排熱から冷熱を出力した事例は、現時点では国内では見当たらないでつ。
しかし、あと一歩踏み出して冷凍機能を賄えるレベルにまで達しないと事業化に至るには物足りないという考え。

そのコア技術である空気の解析や溶接技術などを生かして熱音響冷却システムの開発・製造にまではこぎ着けたでつが、
冷熱のアウトプットは全く違う領域。

例えば、デモ機を用いたブースの冷蔵には、パソコンの冷却に使うラジエーターを流用した自作の冷房装置を使ったでつ。
設計を見直せば、まだ出力を上げられるはず。
必要に応じて他社に任せた方がより良い方法を見つけてくれるでつ。

22年度は実証実験とその結果に基づいて性能向上を図り、23年度には事業化を推進するフェーズに入りたいとの考え。
可動部品が不要でメンテナンスの手間も抑えられ、冷熱を出力するためのエネルギー消費量が少ないどころか排熱を
利用できるとあれば、工場の二酸化炭素排出量削減にも貢献できるでつ。

熱音響冷却システムの開発においてはトップクラスであり、事業化できれば大きなチャンスになるでつ。
いろんな研究があるでつが、実用化に向けて頑張ってほしいでつ。
でも熱と音っていう発想を思いつくのも凄いなぁ~
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