日大豊山高校は有楽町線護国寺駅を最寄駅としています。
学校は護国寺に隣接しており、お寺には数多くの重要文化財があります。
護国寺と日大豊山は歴史的なつながりがありますので、今日はそれを紹介したいと思います。
学校から写した風景です。
護国寺は真言宗豊山派のお寺で、5代将軍徳川綱吉の母、桂昌院の願いで建立されたお寺です。
本堂は1697年に建てられたもので元禄時代から現代まで存続している建築物です。
御本尊は、琥珀の如意輪観音で秘仏とされています。
普段は見ることはできませんが、毎月18日には御開帳されます。
私が参拝したのはちょうど18日だったので拝むことができたのです。
しかし、本堂は撮影禁止のために写真はありません。
本堂には33体の仏の像があり、それぞれの仏に桂昌院の髪の毛が収められているとのことです。
本堂には他にも貴重な仏像が数多くあります。
釈迦の下山時を表現した木造仏は見事な造形であり、大きな不動明王は迫力満点です。
仏の世界を表現した曼荼羅(マンダラ)がありますが、護国寺には猫が描かれているという珍しい曼荼羅があります。
たいへん大きなもので、過去には日大豊山の体育館で見学会が催されたことがあります。
真言宗はチベット仏教とのつながりが深いため、ダライ・ラマ法王が護国寺に来られた際、旧校舎の体育館で高校生に講演をして下さったのは大変貴重な思い出として強く印象に残っています。
護国寺駅すぐ横の仁王門から入ります。
真言宗の開祖は、弘法大師(空海)です。
護国寺は弘法大師霊場でもあります。
仁王門を抜けると不老門がみえてきます。
この門につながる階段の風景は、夏目漱石の『夢十夜』にも登場します。
赤松の描写がありますが、漱石が書いているようにおそらく江戸時代から変わらぬ姿なのでしょう。
境内には三条実美、大隈重信、山縣有朋、大山倍達、そして日本大学の学祖である山田顕義など他にも多くの著名人のお墓があります。
写真は山田顕義のお墓で、本堂の裏側にあります。
重要文化財の月光殿と多宝塔、薬師堂、鐘楼などです。
この大師堂には弘法大師(空海)が安置されています。
周辺には私たちを導いてくれるお地蔵様や大きな大仏様がいます。
護国寺は茶道でも有名であり、5つの茶室があります。
これは茶人として有名な財界人である高橋義雄の功績です。
定期的に大規模な茶会が開催されています。
境内には富士塚の「音羽富士」もあります。
造り方が珍しいとされる庚申塔もあります。
裏の方にあるため、この庚申塔の存在を知っている人は少ないと思います。
本堂のすぐそばに、知る人ぞ知る、緑色の花が咲く珍しい桜の木があります。
私も何度か見たことがあります。
この時期の境内は美しい紅葉に彩られておりました。
日大豊山とのつながりですが、1872年に護国寺に設置された真言宗「宗学林」が旧制豊山中学なのです。
豊山中学は、現在の日大付属校の中では最も古い歴史をもつ学校です。
戦後は護国寺から日本大学へ譲渡されることになり、宗派である豊山派から校名を「日大豊山」としたのです。
同窓生は旧制豊山中学から続いており、同窓会会長は旧制豊山中学の卒業生で、現在護国寺住職を務めておられる岡本永司氏が就いています。
毎年、入学式や卒業式には参列していただき、お話をしてくださいます。
岡本永司氏が旧制豊山中学の卒業生であることが記された記念碑が校内にあります。
護国寺方面から見た日大豊山です。
日大豊山は日本大学の正付属校であり、唯一の男子校です。
男子校は現在日本全国に2%ほどしかなく、大変貴重な存在です。
母校の歴史を知ることで、より学校に愛着がわいてくるものです。
これからも長い歴史を刻んでいくために不断の努力を重ねて行く所存です。
護国寺はとても緑が多く、都会の真ん中にいるとは思えないほどの静かな環境にあります。
日々の闘いの合間に、たまには心落ち着く散策をするのもよいものです。
学校を訪問される方は、是非、護国寺の参拝もしてみてください。
竹村知洋