暑い日が続いております。
梯(かけはし)久美子さんの最近のエッセイを読みました。
その中の一遍「妻の願い」にこんな話しがありました。
「戦争と短歌」のテーマで戦時中に詠まれた歌にふれてます。
さがし物ありしと誘い夜の蔵に 明日征く夫は吾を抱きしむ
探し物があるから一緒に蔵へ来てくれと言う夫。
明日は出征する身の夫は蔵の中で妻を抱きしめる。
おそらく家には親戚や近所の人が来て、出征を祝う宴がひらかれていたのだろう。
夜は更け、二人で語り合う時間も、ふれあう時間も、もうない。
探し物を口実に、夫はつかのま、二人だけの時間をもとうとしたのだ。
はたして夫は、生きて帰ってくることができたのだろうか。
生きて再び逢ふ日のありや 召されゆく君の手をにぎる離さじとにぎる
この作者も大正8年生まれとあるからまだ二十代の若い妻だった。
「召されゆく」は招集令状が来て出征していくこと、
当時、戦地に旅たつ人に「生きて帰ってきて」と言うことはタブーだった。
万感の思いを込めて手を握ることくらいしかできなかったのだ。
朝日歌壇から一首。
戦争の無きまま終わる平成と 無きこと祈る次の元号
ずっとこのまま戦後のままで、と思うばかりです。
8月15日 今日は終戦記念日。