オベロン会ブログ

英米文学の研究会、オベロン会の専用ブログです。

7月の例会報告

2009-07-29 | ねるど
25日のオベロン会はいつもどうり
にぎやかに開催されました。

笹川渉さんから、ミルトンの若き日の作品
'On the Morning of Christ's Nativity'
をメーンテクストにして、「ミルトンと王党派」
についてのお話がありました。

ミルトンといえば、ピューリタン詩人という
評価が定着しています。今回の笹川さんは、
あえてその定説に挑み、敵対する側の王党派との
関係について論じてくれたわけです。

'Nativity'は、ミルトンの第1詩集の冒頭を飾る作品
として1645年に刊行されましたが、執筆は1629年で、
同年に誕生した、イングランドのお世継ぎを祝福する
意図があったそうです。

この2つの年号を中心に、社会や政治の情勢、
出版会の状況など、多方面からの考察が展開されました。

William CartwrightやBen Jonson、Martin Llewelyn
といった同時代の詩人も、同様のテーマの詩を書いて
いるようですが、読み比べてみるとその差は歴然で、
ミルトンの詩人としての力量は、若いときから抜きん出て
いたんですね。

世継ぎの誕生をキリスト誕生と重ね合わせ、
世界の歴史を振り返りつつ、イングランドの栄光に
満ちた未来を祈念しているわけですが、王党派VS反王党派
といった対立を超越した、プロテスタント知識人としての
学識があふれていて、正直なところ、圧倒されました。

ミルトン、第1作目から、大詩人・・・    なあど


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