オベロン会ブログ

英米文学の研究会、オベロン会の専用ブログです。

11月のオベロン会

2010-11-24 | てこな姫
ここ数年、
11月は、雑誌『オベロン』の編集作業の月にあたっています。

今年も、数週間前から、
編集担当のメンバーが、
昼夜兼行のかまえで、編集をすすめてくださっています。


世間の同人雑誌では普通なのかもしれませんが、
学術雑誌で、
版づくりを自分たちの手でやっているものは珍しいかもしれませんね。


ページ割り付け、
図版の配置、
活字の選択、などなど
編集ソフト Indesign を使って版を作っています。

編集やデザインのプロが使用するソフトですから、
年に一度使う程度では到底マスターはできず、
毎年のように
ごくごく初歩的な操作が分からなくなって、
誰かに教えてもらいながらの作業になっています……。

12月のオベロン会例会の頃には、
『オベロン』第67号が出版になっていることでしょう。

お楽しみに!!   


さて、今月のオベロン会例会は、
11月27日(土)、午後2時から、国際文化会館で開かれます。

発表者は東條賢一さんです。

ワーズワースの『プレリュード』の Book First と Book Second についての
お話しとなります。


内容的には "Introduction" に続いて "Childhood" そして
"School-Time" までを詠んだ、2巻あわせて800余行となります。

久々の『プレリュード』。

2巻800行は、決して短くないのですが、
参加者の方は、がんばって、再読して臨みましょう!


10月のオベロン会例会

2010-11-01 | てこな姫
 10月30日、台風接近の中、
 ほとんど強行開催的に(?)
 オベロン会が開催されました。


 ひょっとしたら、
 ほとんど参加者はいないのではないだろうか、
 と懸念していたのですが、
 いつにも増しての盛況となりました。

 不思議なものですね。


 みなさん、
 「自分が行かないと例会が不成立になってしまう!」
 とそれぞれに義侠心を発揮されたのではないでしょうか。 


 さて、この日の発表は笹川さんで、
 アディソンによるミルトン批評についてお話されました。

 アディソンのエッセイといえば
 18世紀英国美学を語る際に欠かせない
 Pleasures of Imagination をめぐる一連の論考があります。


 それらを補助線にしてアディソンのミルトン批評を読んだとき、
 いったい何が見えてくるのか。
 そのあたりについて、笹川さんは丹念に、議論を積み重ねていきます。


 『パラダイス・ロスト』に見られる風景描写そのものではなくて、
 風景を前にして
 「想像力の喜び」に圧倒されるセイタン(あるいはアダム)に注目するところに
 アディソンの着眼の新味があるように思われました。


 また、
 『パラダイス・ロスト』の描く自然(登場人物たちの見る自然)と、
 アディソンの庭園論との対応も指摘され、
 話題は、大きく英国庭園史も包括することになりました。 

 
 それからこれはおまけでしょうか、
 漱石の「アディソン評」も紹介されました。

  
 『文学評論』の一節のようですが、
 アディソンというのは言ってみれば
 「下町辺の大町人の旦那のようなもの」で、
 その書きっぷりは
 「自分一人が通人で、物がよく分かって、粋も甘いも噛み分けていて・・ 
  万事にそつがなくって、意気で上品で、
 一口にいえばきわめて低級な程度における全知全能の神である」
 というものだそうです。
            (漢字は原文のママ)

 漱石先生、アディソンには、なかなか手厳しいですね。

 
 少し前までは
 アディソンは文学史の授業でのビッグネームでしたので、
 みなさん、アディソンには「ひとこと」意見があるようで、
 当時のジャーナリズムについて、
 アディソンの文体について、
 新しい自然観についてと、
 さまざまな視点から質疑が交わされました。


 夕方から夜にかけてが「台風最接近」と予報は言っていたのですが、
 台風などはどこ吹く風、
 皆さん優雅に、ゆっくりと2次会を楽しみ、
 さらに一部のメンバーは、
 夜半まで、酒席を囲んでいたようです。


 気がつくと
 いつのまにか、雨もやみ、風もおさまり、
 昨日までと変わらぬ、平凡な神無月の夜となっていたのでありました。


 笹川さん、ご発表ありがとうございました!