奥高尾“逆沢作業道”で見られる「エンレイソウ(延齢草)」。シュロソウ科(←ユリ科)エンレイソウ属の多年草で北海道~九州の山地のやや湿った場所に生育している。草丈は20~30センチになり茎の先端に3枚の大きな葉を輪生させる。花径は3~4センチで花被片は3枚あり雄蕊は6本ある。エンレイソウの属名は“Trillium”で“3”を意味する“tri”が付いている。全草にサポニンなどの有毒物質を含み、古くから胃腸薬や催吐剤などの薬草とされていた。中国では近縁のミヤマエンレイソウの根茎を生薬の“延齢草根”として利用していた。
オオバコ科(←ゴマノハグサ科)クワガタソウ属の「イヌノフグリ(犬の陰嚢)」。本州以南に分布する在来種でかつては道端で普通に見られたようだが、今は外来種のオオイヌノフグリに押されて生育地がかなり狭められている。環境省レッドデータでは東京都は絶滅危惧Ⅰ類で残念ながら多摩ニュータウンでは自生は見られない。写真は果実で直径2~3ミリの球形が2つあるように見えるが実際にはヒョウタンのようにくびれたひとつの蒴果になる。この姿を犬の陰嚢に見立てている。
高尾山系の林内に生育している「ヒトツボクロ(一黒子)」。ラン科ヒトツボクロ属の多年草で5~6月に長さ1センチほどの花を総状に咲かせるが花期には他の植物もあるので花を探すのはなかなか難しい。夏に地上部が枯れて無くなり秋に長さ5~6センチの葉を一枚出して越冬する。高尾山では残念ながら盗掘が後を絶たずこういう希少植物はその標的になっている。高尾山系の別の場所にあった株は数年前から見られなくなった。ここではまた可愛い花に期待したい。