Beautiful☆Life

ひとりごと

続・TA-F333ESXⅡの場合

2006年06月16日 | 三流オーディオ
 さて、昨日までに、意外にも電源トランスが健在であったこと、電源スイッチを完璧に修理したことまで書いたと思う。電源スイッチに関しては前オーナに感謝している。一度分解した形跡があって、組立に失敗されたようだが、細かい部品の一つでさえ無くしていないので大変助かったのである。

 電源スイッチが直ったので通電したままの調査が非常にやりやすくなった。トランスと電源基板をつなぐコネクタを元に戻して電源スイッチを投入してしばらく様子を見る。異常な発熱により部品が焦げて異臭がしていないか、異音がしていないか等をまずチェックする(これ基本)。どうやら異常はないようである(ていうか動作してないので異常は有りまくりなのだがその点はつっこまないでくれ)。

 テスタをDCVレンジにして電源部から順に出力(電圧)が出ているかをチェックしてゆく。電源部は問題が無いように見える。なんでパイロットランプやプロテクタ回路が正常に動作しないのかますます分からなくなる。次ぎにトランジスタのコレクタ電圧をチェックしてみる。電源回路からみて終段のトランジスタが一番近いのでまずはそこから始めて、ドライブ基板、フラットアンプ、イコライザ基板へと進んでいく。回路図を持っていないので適正な値は分からないが、どの部分も異常とは思えない値を示している。つまりは何処も故障していないように見えるのだ。

 ここまで来てふと思いついたことがある。「もしかして、プロテクタとインジケータランプが点いていないだけでアンプ部は正常に動作してるのでは...」というとんでもない考えが頭に浮かんだのである。試してみる価値はありそうだ。そこで、CD入力端子にCDプレーヤからの出力をつないで何でも良いから演奏させてみる。そしてプロテクタのリレーに入る前のスピーカ出力電圧をACVレンジのテスタで計って見たのである。ボリュームは12時方向の位置まで上げてメータの振れを見たところ、VUメータの如くメータの針が振れているのである。もちろんアナログなテスタでないとこれはできない。この段階でアンプ部は正常な動作をしていると確信した。壊れてるけど壊れてないじゃん。夢だけど夢じゃなかった(「となりのトトロ」より引用)。さすがに飛んじゃったら嫌なのでスピーカをつないでみる勇気までは無かったけど...。

 さて、これでターゲットが絞られてきたわけである。あらためてその視点から調査し直してみると、リレーの駆動回路とランプ類の駆動回路が一枚の小基板に収められていることが分かった。プロテクタ検出回路は電源基板の一部にC1237HAというICで構成されており、そこからコネクタを通してリレーとランプ駆動回路の小基板につながっている。この範囲のどこかに不良部分があるのだ。

 と言うわけで駆動回路基板の抵抗やトランジスタをテスタでチェックしてみた。部品を基板に載せたままでのチェックなので正確なチェックはできない。仕方がないのでこの基板の回路図に起こしてみることにした。基板を裏返したり透かしてみたりしながら紙の上に回路図を書いてゆく。カラーコードを読んで抵抗の値を書いてゆく。全部を書き終わらない内にあることに気付いた。
「ランプが点かないのは電源が来ていないからだ」

 そう考えて書きかけの回路図を眺めてみる。とあるトランジスタのコレクタが直接コネクタの端子につながっている部分を見つけた。このトランジスタには他から電源を供給する回路はつながっていない。つまりこのコネクタのこの端子が電源を供給しているに違いないのである。このコネクタは電源基板の一部に設けられたプロテクタ検出回路のコネクタにつながっている。早速通電してこの端子の電圧を計ってみた。すると...ゼロ。なにーーー! ゼロな筈ないだろ。

 問題の端子には直列に1本の抵抗が付いている。カラーコード黄紫金金=4.7Ω 。テスタでこの抵抗の抵抗値を計ってみる。すると...無限大。つまりこの抵抗は飛んでるのである。ふつう抵抗がお亡くなりになる時には派手に焼けこげているものなのだが、この抵抗は顔色一つ変えずにお亡くなりになっていた。どうやら不良個所を見つけたようであるが、あいにく手元に4.7Ωなんて抵抗は持っていない。それでちょっとだけ考えた。

 この回路に流れる電流はせいぜい100mA程度だろう。だとすると4.7Ωでの電圧降下は0.47Vということになる。代わりに整流用のシリコンダイオードを使えば電圧降下は0.5V程度になるので代用できるのではないかと考えた。いやいやあくまで応急処置としてですよ。とにかくこの抵抗の修理でアンプそのものが直るのかどうか確かめたくてウズウズしていたわけである。

 抵抗の代わりに整流用シリコンダイオードを付けて実験してみることにした。スイッチを入れる瞬間は本当にドキドキした。で、スイッチオン...いままで光りもしなかったパイロットランプが見事に点いた。ただし赤色である。数秒後にプロテクタが外れて緑色にならなければアンプとしては使えない。息を呑んで見守る。カチンというリレーが作動する音と共にパイロットランプが見事に緑色に変わった。遂にやったのだ。

 いやいや、音を出してみないことには完全に修理できているのかは分からない。早速、CDプレーヤとスピーカをつないでテストしてみる。ボリュームは最小にしておく。スイッチを入れる。プロテクタが解除されてパイロットランプが緑色に変わる。ボリュームを徐々に上げてゆく。スピーカから音楽が流れ始める。遂にやった。本当にやってのけたのである。

 後日抵抗は正規の4.7Ωを買ってきて付け替えた。値段は10円。修理できるはずがないと思っていたアンプは実費10円で修理することができた訳だ。ついでにリレー接点の接触がイマイチだったので磨いておいた。今は完璧なパフォーマンスで稼働している。

 何事も諦めてはいけない。オーストラリアに負けたことなんて大したことじゃない。活路は必ずある。がんばれ日本!

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