パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

小説大津皇子 「天翔ける白日」

2021年08月03日 11時00分37秒 | 

選手にはなんの罪もないが、個人的には楽しんでいられないオリンピック

そこで暑いなか畳の上に寝転んで読んでみた
久しぶりの小説だ
「天翔ける白日 小説大津皇子 黒岩重吾

読み始めたものの辛い結末を知っているので、どこか楽しめない気分になってしまう
主人公の大津皇子は天武天皇の息子に当たる人物で
後の持統天皇にあたる鵜野讃良(うののさらら)に煙たがれてしまう

大津皇子の母である大田皇女は天智天皇の娘であり、鵜野讃良とは姉妹関係だった
太田皇女は大津皇子を生み、鵜野讃良は草壁皇子を生む
ところが姉の大田皇女は早く亡くなってしまう
生きていればすんなり次の天皇は大津皇子となるところだが、亡くなってしまったので
鵜野讃良は自分の息子である草壁皇子を次期天皇にしたいと考えた

ところが人間的、実務的な出来は大津皇子のほうが草壁皇子よりもだいぶ上だったらしい
文学的な才能も少しばかり差があって、万葉集に収められた歌では
大津皇子の感情がほとばしる雰囲気なのと比べて、草壁皇子の方は平凡な作と素人でも感じる
それ故に、鵜野讃良は焦りを感じてしまう
どこか彼を抹殺するきっかけとか機会を狙う

万葉集には、なぜそんな歌が残っているのか、、と思われるものがあって
結局、大津皇子は謀反を企んだとの疑惑で絞首刑となってしまうのだが
その時の辞世の句とか、まだ謀反の疑いがないにも関わらず、いつかそのような運命を
予感しているかのような歌が、実の姉(大来皇女)とのやり取りが記されている

この物語は歴史書ではなくフィクションなのだが、万葉集のいくつかの歌
日本書紀のいくつかのエピソードをもとにして、作り上げているが
ここでそのエピソードや歌が出てくるのか!と興味深かった

後の持統天皇である鵜野讃良はここでは陰険なキャラクターとされている
ところが、(読んではいないが)里中満智子さんの持統天皇を描いた漫画「天上の虹」は
女帝である彼女の生き様が女性視点から描かれているようだ

ということで、運のない男の大津皇子は、歌がうまいだけにちょいと同情してしまう

世の中には運のない人っているものだ
土方歳三、村山たか、小栗忠順  
なぜ、自分は運のない人のことが気になるのか、、、
あれだけサッカーの発展、ワールドカップ出場に貢献したカズが
これから本番という肝心なときに外されたりして

今回のオリンピックでも同じように運のなかった人もいる
彼らを成績が良くなかったからと言って忘れてしまうのは、、、かわいそうすぎるかも



コメント
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