
フブスグル湖というのは大変魅力的な湖である。
砂浜でさえ光り輝く。
初めて訪れたのは1996年だった。
最初に魅せられてしまって、その後1997年から2002年までの6年間、毎年夏になると訪問して調査を行った。
ほとんど手つかずの自然といってもよいだろう。
そこで調査を行うことに、この上ない喜びがあった。
多くの友人もできた。
その中に、まだ世間慣れをしていないモンゴルの若者がいた。
結局、4人の若者を日本に呼んで、研修を受けさせた。
驚くことに、彼らは、あっという間に日本語の達人となった。
全員が、日本語検定一級に合格したのだ。
遊牧の民の特性なのかもしれない。
Hもその中の一人だった。
1997年に初めて出会って以来、今まだに好誼がある。
彼らと一緒に調べた湖の水温の記録である。

教科書のような湖だ。
夏場は、加熱によって水温躍層が発達する。
深さは、30-70m位までである。
これが風波による混合が達する深さだ。
一方、冬場の循環は150-170mまで達する。
水面は凍るので、表水層の温度は4℃より低くなる。
170mより深い水はほぼ一定である。
この深さの水が汚染されると、まず回復しないことを物語っている。
久しぶりにこの湖に行ける。
古い友人たちと会える。
そう思うと、私はひそかな興奮を覚えた。
