・J.S.バッハ:イタリア協奏曲 BWV971
・ショパン:ノクターン op.27/ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 op.44/同 第6番 変イ長調 op.53「英雄」/バラード第1番ト短調 op.23/同 第2番ヘ長調 op.38
・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op.83「戦争ソナタ」
・ショパン:ノクターン op.27/ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 op.44/同 第6番 変イ長調 op.53「英雄」/バラード第1番ト短調 op.23/同 第2番ヘ長調 op.38
・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op.83「戦争ソナタ」
<アンコール曲>
・ショパン:マズルカ イ短調op.17‐4
・リスト:ラ・カンパネラ
「今年は年明けから、辛い出来事がありました。
この頃、今日のプログラムの作品たちを弾いているとふと、別に特定の何を思い出すでもなく、何か抑えられない感情が溢れてくる瞬間というのが何度かありました。何かが急にギュッと胸を締め付けたり、グルグルした渦が脳みそを飲み込んだり、たまにそのまま堕ちていって抜け出せなくなったり。
でも、そんな感情から自分を救い出してくれるのもまたこれらの作品だったりして、それが音楽の憎いところだなと思ったりもします。」(公演パンフレットより)
「高度なテクニックが必要なリストの「ラ・カンパネラ」も10歳の時に弾きこなし、動画投稿サイト「ユーチューブ」で10万回近く再生されている。
リサイタルは、父親らが中心となって企画。一緒に演奏してきた音楽家や音楽仲間らも加わり、昨年秋から手作りで準備してきた。」
4月のコンサートのとき(ホールとサロン(4))、亀井さんは演奏中にしきりに鼻をすすっていた。
当時は「花粉症かな?」と心配していたのだが、どうやらそうではなかったっぽい。
あくまで推測だが、亀井さんは、演奏しながら泣いていたのだと思う。
実は、今年の2月末、亀井さんのお父さんが急逝していたのである。
親を亡くした経験のある人なら分かると思うが、しばらくは、自分が幼いころの記憶などが蘇ってきて、仕事が手につかなくなったりすることがある。
12歳の時の初めてのピアノソロ公演を企画してくれたのは彼のお父さんたちで、その後もお父さんはコンサートの時客席で聴いていてくれたそうである。
お父様に合掌。
・・・さて、最近、ピアノのリサイタルに行くと、ちょっと気になることがある。
それは、スタンディング・オベーションをする人たちの属性である。
例えば、亀井さんのリサイタルの場合、スタンディング・オベーションをするのは、老若を問わず圧倒的に女性が多い。
最近行ったコンサートで言うと、アレクサンダー・ガジェヴの際もやはり(若い)女性が多かったが、古海行子さんのコンサートでスタンディング・オベーションをしていたのは、殆ど中年以降の男性であった(盛り合わせ&バラ売りのコンセプト)。
何が言いたいかというと、近年、ピアニストに限らず、クラシック音楽のソリストについては、ルッキズムの要素が重要性を増している、というか、問題を生じさせているということである。
「ここ数年、いや、もう少し前からかもしれないが、音大生や若い音楽家を困らせている中年男性たちがいる。
彼らは、Facebookの熱心なユーザーで、音楽家の卵や若い音楽家を応援していると言い、主に女子音大生や若い女性演奏家とFacebookで「友達」になり、彼女たちの写る写真のことごとくに「いいね!」をつけ、「かわいいね」などのコメントを連発する。実際にコンサートに訪れ、終演後に写真を撮る(なんと、舞台上での写真を撮る場合もあるらしい)。そして、それらをFacebookに投稿し、その投稿内でもっともらしく演奏を論評(批判的な内容を含んでいるものも見かける)する。(中略)
彼らは、Facebookの熱心なユーザーで、音楽家の卵や若い音楽家を応援していると言い、主に女子音大生や若い女性演奏家とFacebookで「友達」になり、彼女たちの写る写真のことごとくに「いいね!」をつけ、「かわいいね」などのコメントを連発する。実際にコンサートに訪れ、終演後に写真を撮る(なんと、舞台上での写真を撮る場合もあるらしい)。そして、それらをFacebookに投稿し、その投稿内でもっともらしく演奏を論評(批判的な内容を含んでいるものも見かける)する。(中略)
私たち、とりわけ実際に彼らに絡まれている彼女たちに不快感や嫌悪感をもたらしているものは、彼らの容姿を見る目の品性を欠いた露骨さ、そして、彼らが、音大生や若い音楽家の距離の近さ(接触のしやすさ)を利用して接触し、音楽好きという仮面を着けることで不純さを隠している(実際は全く隠せていないのだが)ことの悪質さだろう。」
この記事では「中年男性たち」がやり玉に挙げられているが、問題となる行動は、もちろん「中年男性たち」のものに限られない。
スタンディング・オベーション自体は問題ないと思うが、例えば、最前列付近の席を先行販売などで買い占め、リサイタル当日は集団でスタンディング・オベーションをするような行為についても、やはり似たような問題性を感じるのである。
もっとも、これはもしかすると気のせいかもしれない。
なので、今度は、既婚者であり、ジムに通って肉体改造したという反田恭平さん(世界2位のピアニスト反田恭平 ジムに通って肉体改造したわけ)のコンサートのスタンディング・オベーションを観察してみることにしよう。