王様の「秘密の参謀本部」

田端到&ビンゴ本郷の実験創作プロジェクト

芦原妃名子さんのこと

2024-01-31 16:36:56 | エンタメ
 芦原妃名子さんの『セクシー田中さん』ドラマ化にまつわるトラブルと、一連の出来事に対する所感。一部はtwitterに投稿したが、こちらにまとめておきます。悲しい。悔しい。腹立たしい。一周まわって、ただ悲しい。

1/29●以前、漫画に関する連載をしていた時に、そのコラムで絶賛したのが芦原妃名子さんの『砂時計』だった。最終回が載った「Betsucomi」は早起きして書店に買いに行ったほど。訃報が残念でなりません。『砂時計』は母親が自死したことを痛みとして抱える女性が主人公だった。

 世の中に生きづらさを感じる人たちに光を当てて、救いをさしのべる作品を書ける人は、自身も生きづらさを抱えた繊細な人であることがほとんどだ。そんな人が紡ぎ出す作品は作者の分身であり、それを無思慮に改変することは原作者の心と身体を切り刻むようなもの。
 その痛みがわからない人に作品を預けると、こんなにも悲しい結末を迎えてしまう。

1/31●芦原妃名子さんの件。2日たっても、まだ悲しくて、悔しくて、気持ちが収まらない。
 日本テレビの心ない見解が追加されるほど、火に油が注がれている。部外者による個人攻撃が良くないのは当たり前だけど、誹謗中傷をやめろというなら、日テレがもっと真剣に向き合い、誠意のある対応をするのが先だろう。

「攻撃の連鎖をやめよう」という正論は、立場の弱い者を泣き寝入りさせる圧力にもなってしまう負の側面を持つ。ウクライナに「もうロシアに反撃するな」と言うようなもの。DV男に悩む女性に「黙って我慢しろ」と言うようなもの。
 なぜ、わざわざ芦原妃名子さんがドラマ終了から1ヶ月たって、新規にXのアカウントを作ってまで発信しなければならなかったのか、その行動まで否定しかねない。あれは理不尽な攻撃に対する、身を守るための防御だ。

●今回の悲劇は「こっち側の人」と「あっち側の人」のわかりあえなさ、溝の深さも要因になっているように思う。
 テレビ業界には「細かいことは気にせず、みんなで楽しくやろうぜ」というあっち側の人間が多く、「自分の大切にしているものが守られなければ、みんなで楽しくなんかやれない」という、こっち側の人間へのストレスがものすごく大きい。

 キラキラした芸能人との交遊ばかりをインスタにあげて、ドラマの元になる作品を作り出した原作者の名前には触れようともしないテレビ関係者の、リスペクトのなさ、あっち側特有のおごりが一連の出来事の発端になっていることを認めないと、同じ悲劇がまた繰り返される。
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