家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

親不知(オヤシラズ)抜歯

2011-02-02 07:08:49 | Weblog

親不知を抜くことは決まっていた。

 

妻からのアドバイス。

 

「ものすごくタイヘンだから帰ってきたら寝なさいよ」

 

少し不安になりながら歯科医院の椅子に掛ける。

 

取り掛かる前に先生に

 

「抜いた歯を記念にもらって帰っていいですか?」

 

と聞いてみた。

 

「いいですよ。アルコールできれいにしてからお渡しします」と快く返事をしてくれた。

 

「少しチクッとしますよ」と言って麻酔注射を打つ。

 

チクリともしない。

 

歯茎の奥あたりに重苦しさを感じたので麻酔の液体が入り込んだのだと思った。

 

しばし効きを待つ。

 

「それでは始めましょう」

 

麻酔の効きを確かめて作業を始める。

 

作業を始めて1分も経たないうちに

 

「取れましたよ」と言うので

 

「え?」と驚いてしまった。

 

そんなに簡単に抜けてしまうものだったのか。

 

従業員が歯の形をしているプラスティック容器に入れてくれた。

 

「お子さんの乳歯をお持ち帰りになる方がいらっしゃいますので」

 

と言って渡してくれた。

 

子供の頃に抜けた自分の歯を持った経験はある。

 

しかしこの年になって自分の歯を持つことは想定していなかった。

 

変わった形をしているものなのだなぁと思った。

 

とうに麻酔から醒めているはずの時刻になっても痛みはなかった。

 

夕食のサンドイッチも普通に食べられた。

 

翌朝舌ベロで歯の抜けたあたりを探る。

 

大きな穴が空いているかもしれないという私の予想を大きく外れた。

 

まるで何もなかったかのように歯茎は「ツルッ」としているではないか。

 

止血用ガーゼを比較的長い間噛んでいたことが良かったのかもしれない。

 

舌先が奥歯の裏側をツルリと回り込むことができるようになった。

 

これならきちんと奥まで歯磨きができるわいと思った。

 

まるで指に刺さったトゲを取るかのような些細な出来事だった抜歯。

 

もらってきた自分の親不知はパソコンの横に置いた。

 

近々もう1本抜く予定になっている。