満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその32

2012-01-04 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

試験を受け入れる(さまざまなハディースより⑦)

 《アブー・フライラ(رضى الله عنه)によると、アッラーの御使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「アッラーが誰かに良きことを望まれると、その者に苦難を与えて試されます。」》(アル=ブハーリーによる伝承)
 《アナス(رضى الله عنه)によると、アッラーの御使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「アッラーが僕に良きことが望まれると、その者の罪に対する懲罰を審判の日に執行するまでに保留されます。」預言者(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「大きな報酬は大きな試練と共にあります。至高なるアッラーは、人を愛すればこそ試されるのです。そして、その試練に満足する者はアッラーの御満足を得ます。また、その試練を不満とする者は、アッラーの怒りを得ます。」》(ア=ッ=ティルミズィーによる伝承)




 人は人生において様々な試練を受けますが、自分の願いや目標を達成するために予想される試練は、ある程度は納得し我慢できます。しかし時として、予想もしない苦難を伴う試練に出会うことがあります。たとえば嘆く以外になすすべもないような苦難に遭遇した時、どこにも逃げ場がないような境遇に置かれた時、耐え忍ぶ以外に方法がない時などです。
 なぜ、私は、こんな目にあわなければならないのか、自分には非は無いのに、と疑問が生じた時、実はそれには、深い意味があるのだと、このハディースが教えてくれます。
 その意味は、苦難を伴う試練はアッラーからのお試しであり、それに耐える人には、多大な報奨が約束されるということです。また、試練を受ける人は、その人がアッラーに愛され、導かれる人であるというのです。また、苦難は、アッラーがその人に良き事を望まれるためでもあると述べられています。そして、導かれる人は、自分が犯した罪を、審判の日にではなく、前もって現世で精算を済ましてくれるというのです。審判の日に何も心配することがないことは素晴らしいことです。
 試練を、アッラーに仕える者の証として素直に受け入れ、耐え忍べば、必ず良いことが待っているのです。その良きことは、現世で実現するかもしれませんが、来世では必ず実現するでしょう。試練は未来を保証されるためにあると、受け止めることです。
 もし、このハディースの教えを知らなかったら、この世は不公平だらけだとして、人を恨み、社会を恨み、自分の人生を呪っていたかもしれません。しかし、今や、苦難の意味を理解した人は、どんな苦難に直面しても窮することはありません。最悪の事態に陥ったとしても、決して落胆せず、不満をいわず、受け入れるでしょう。アッラーのご配慮により、自分に最も相応しい所に行き着くことを知っているからです。
 試練にあっても、全てをアッラーにお任せすれば、一番良い方向に導いていただけることが、このハディースを通して理解することが出来ます。私たちはどのような事態になっても、恐れることなく、アッラーに感謝する気持ちを持ちたいものです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام