満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその25

2010-05-05 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

欲望について(心の豊かさとは)

〈アブー・フライラ(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「富裕とは財が豊富なことをいうのではありません。富裕とは心が豊かなことです。」〉(ムスリムによる伝承)
 〈アナス・イブン・マーリク(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「アーダムの子(عليه السلام)に涸れ川(ワーディー)程の金があったとしても、さらに別の涸れ川程の金を欲するでしょう。土以外にその者の口を満たすものはありません。アッラーは悔悟する者を赦し給います。」〉(ムスリムによる伝承)
 (注1:アーダム(عليه السلام)の子どもは人類のこと。人類はみなアーダム(عليه السلام)の末裔である。注2:〈土以外にその者の口を満たすものはない〉とは、「死以外にその者の欲望を止めるものはない」という意味。)


 富裕とは金銭や物など財産が沢山あることではなく、心が豊かなことであります。心の豊かさについてこれだという定義がありませんが何となく感じることができるものです。少なくとも心の豊かな人は欲望や執着心にとらわれないでしょう。二つ目のハディースでは欲望の一つである物欲について述べられています。物欲にとらわれると、欲望の上限がなくなり、たとえ河床に積まれる程の金があてもまだ不足を感じ、まだ足りないまだ足りないと思いその欲求は墓場に入る迄とどまることをしません。人間の欲望には終わりがなく欲望の虜になった人は、他人の物までも奪いかねません。この誰にでも生じるかもしれない欲望をコントロールし、必要以上に物を求めず、今持っている物で満足する「足るを知る」人が心豊かになれそうです。
 心の豊かさを考えるものとして、食べ物についてのハディースがあります。
〈一人分の食べ物は二人を満足させ得るし、二人分の食べ物は四人を満足させ得る。また四人分の食べ物は八人を満足させ得る〉(ムスリムによる伝承)食べ物は分け合えば余り、奪えあえば足りなくなるものです。食べ物に限らず、もし時間があればボランティア活動などに参加するなど、自分の持っている物を喜んで提供できる人は心豊かな人となります。物や時間は限りあるものであり誰にとっても貴重なものです。その大切なものを惜しまずに与え、与えても自分の不足しないと考える人は心豊かな人であり、他人を思いやる心の持ち主となります。
 このように考えますと心が豊かなことは、内面の美しさが人間の本当の美しさであると教えている気が致します。アッラーは〈本当にアッラーはあなた方の外見や財産をご覧になっているのではなく、あなた方の心と行為とをご覧になっているのです。〉(ムスリムによる伝承)とあり、真の美しさは内面にあるとしています。お金も時間もアッラーから委託されているものと受け止め、その預かりものを分け合い善用することが人間の務めとなります。そしてアッラーは欲望にとらわれた自己に気づき悔悟する者はいつまでも受け入れてくださるのです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام