満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその12

2007-09-11 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

家族と親類について[その1](家族を大切にする)

アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「あなた方のうちで最も良い人は、家族に最も良くする人です。私はあなたがたのうちで家族に最も良くしています。」、「最も完全な信仰を持った信者とは、最も性格が良く、最も家族に優しい人のことです。」(ア=ッ=ティルミズィーによる伝承)


 全ての宗教が家族を大切にするとは限りません。中には家族生活によって心が散り、物に執着し、自我から解脱できないと考え出家したり、社会生活を否定し神のことのみに意識を集中することが神への愛であり、従順さを表すとする宗教もあるからです。それらの人々は結婚を忌避し独身を通すことが人格を高め自己完成につながると考えています。

 これに対しイスラームでは、「人は結婚によって宗教の半分を成就できる。それで残りの半分はアッラーを畏れるようにしなさい。」(バイハキーによる伝承)とあるように結婚を勧め、健康な家庭生活を送ることが宗教的な生き方であるとします。

 人間は欲望や本能を健全に制御できる力を与えられています。肉体あっての人間です。欲にとらわれやすいからと言って苦行を求める必要はないのです。結婚によって夫は家庭を養うために働き、妻は家計を切り盛りし、子供がいれば世話をします。夫婦の愛情は歳月に鍛えられやがて赦しと尊敬に変わり、二人の絆を強めていくのです。家庭を持つ夫婦は一人の時よりも責任感が強くなり他を思いやる気持ちが育まれ成長していくのです。
 
 家族は楽しみも苦しみも共に分かち合います。子を持ち泣かぬ親はなしと言うように親は子供が怪我をしたり、病気になったりすると自分のことのように心が痛みます。子を慈しむ心が養われるのです。また家庭は子供に愛情を注ぐ場であり、自立できるように育てる場でもあります。たとえ成長した息子や娘が落ち込んで無気力になって家に戻ってきても、温かく迎え入れ食事を作り暖かい寝床を用意し再び元気になるまで寄り添い我が子を見捨てることはありません。子供は自分が愛されている、大切にされていることに自信も持ち強くなります。優しくされた子は他人に対して優しい気持ちを持てる人間になります。家庭を通してお互いが深い愛情を知るのです。このように世間にとどまり日々の生活の中で自分の役目をまっとうしながら心を養い精神を磨くことが可能であり、特別な修行をせずとも普通の生き方で人格の向上が図られ宗教の成就へと向かうのです。

 次のハディースはそのような預言者(صلى الله عليه و سلم)の生き方を端的に示しています。

 教友らが預言者(صلى الله عليه و سلم)の夫人たちに、使徒の日常生活に関して質問した。この折、教友らは
「私は結婚しない」、
「私は肉を食べない」
更には「私はベッドに寝ない」
などと口々に話していた。預言者(صلى الله عليه و سلم)はアッラーを賛美してから、こう言われた。
「そのようなことを言う人々がいるとは一体どうしてですか。私は礼拝し、眠りもします。断食もするし食事も取ります。勿論、女性とも結婚します。私のこういうスンナ(慣行)を無視する人は、私と関係ない人です。」
(ムスリムによる伝承)

 このように、宗教は生活の正しい営みとあるのです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام