坂野民枝・インテリアコーディネーターの目線:    心地よい空間作りのヒント探し:四方山話

  

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うだつ の 美しさ

2015-12-23 | Weblog
NIC 名古屋インテリアコーディネーターズクラブ の研修で、美濃の街を訪ねました。

街並みを案内していただき、美濃和紙のアートを見学しました。

うだつ : うだつが上がらない という言葉の使い方があります。

屋根に取り付ける 防火壁の機能を持つ装飾です。建築の本でも色々な字を当てています。
卯建:宇立:木兌 があります。

木造建築は火災になると、天井裏に火が回り、それを伝って隣家も延焼する。それを防ぐため。これを付けられるのはそれなりの財力が必要。成功や立場がまだ未確定の人を うだつが上がらない…と、表現 ということでしょう。
むくり(上方にカーブ)屋根とうだつが 美しい。時代劇のような面影 いや、こちらが本物です。





両サイドの家にうだつがあれば、挟まれている家は付けない合理性。



家ごとの軒先のデザイン






ここを見ると 構造がよくわかります。

ここ↑を除いたら、こう↓なっていました。

狭小間口という言葉は都市部ではあります。 日本独特のものですね。確かにここも市街地です。
施工する人の技術に感心!

うだつの瓦も屋根のむくりに平行し、美しい曲線です。




街ごとに屋根神様




毎年 お札を戴いているそうです。決まり事があるって 気分があらたまって いいですね。


電線の無い景色も スッキリしています。景観を守るため 地中に入れています。


道沿いには 美濃和紙のアートイベントの作品が 残されています。
点灯されていない状態でも、楽しむことが出来ます。

美濃和紙のアートについては 
http://iclesson.com のホームページのブログに載せています。

Why Japanese people! 緑を青と言う 日本・人

2015-12-22 | Weblog
厚木りジェイソンさんが、問いかけていました。
信号 『』なのになぜ『』と言う? Why Japanese people?

私も疑問に思っていました。 小さいころから信号は青で渡りなさいと・・・
特にLEDになってグリーンが くっきり・・・でもやっぱり 横断歩道は青信号・・・と言う。



鳳来寺に行ったときの景色です。 日本にはよくある景色ですが・・・




冬なのに 結構強い日の光、向こうの山の木々の方は空気が澄んでる分 冷えているのでしょう。
見渡す一面の木は、紅葉せず 確かに緑で続いています・・・ですが 
景色を直接見ても、カメラ越しでも 表現すると 青 なのです。

日本の森には何か 神聖なものが宿りそうな雰囲気。

『緑が 青』を 一人納得していました。

鳳来寺へ行く前に足助に依りました。 藍染の展示ですが、日本の青の表現も多彩です。


上から、藍色:縹色(はなだいろ):浅縹色:浅黄色:水縹色:甕のぞき(かめのぞき)色
 *家に戻ってから色名辞典で調べたら、甕のぞきは 藍染を一回くぐらせただけなのでこの名
  色名辞典は全色目を通しているはずなのに 記憶から飛んでいます。
  普段、使わない色名は 言葉の奥が深い・・・

これを見ていたから 青を意識できたのかもしれません。

鳳来寺も東照宮と呼ばれている事を知りました。




階段の下には立札があり、世が世なら ここから先は今で言う通行証が無いと階段も登れない。
下からは本殿は見えない。見せないことに威厳があります。

今の世は、普通に上がります。


これほど オープンで良いのかと思うぐらいです。
・・・鳳来寺 という、お寺なのに ここでしたのは 玉串をささげる神事です。

新たな Why Japanese--- が、増えます。 

それにしても 葵の紋の数がものすごい。数が・・・と言うより デザインに流用と言ったほうが近いかも。

徳川の財力を現すゴールドと合わせて使われているのが ブルーです。
日本人はブルーが 目になじんでいるので、好きな色の上位にあるのかもしれません。

ボランティアの方の解説では、日光、久能山 そして3大と言う3つ目を名乗る東照宮はたくさんあるとか・・・
家康は両親がここで祈願し出生されたので、ここも その一つ。
確かに、様々な意味で東照宮と呼ばれるものは全国で300はあると 何かで聞いたことがあります。
たくさんあればそれだけその地方の人には ご利益がある?

寒さの中の暖かな日、深くは考えず・・・
徳川の時代と同じように 他国と争うことがない時が続くことを願ってきました。









クリムト : 映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』

2015-12-20 | 映画


実話に基づいた映画。

ナチスが奪い、オーストリアの美術館にある絵画・・・
意を決して 『これは、叔父がクリムトに依頼し、叔母アデーレを描いたもの』80歳を過ぎた女性が
手元に戻したいという願いで、若い弁護士と オーストリア、アメリカで 行動を起こす。

ストーリーを書くと 3行ですが・・・

絵が素晴らしいゆえに 
国家の問題、司法の、戦争の、 現在の外交問題 

現在のアメリカに住む方達は 自身だけでなく、祖父、曽祖父、先祖がどこ出身なのかという
アイデンティティは 突然 思いおこすことがある現実。
戦争の悲惨さだけでなく、それが現在に生きる人の心情に響くこと。

久しぶりに映画を見ながら涙がこぼれました。

二人の 年齢、キャリアにかかわらず、私がやらなければ、と 思う気持ちが周りの人を動かす。

そして、弁護士視点で誰もが 不可能と思ったこと(依頼者さえもあきらめたこと)を覆す行動力に元気になります。
信念を持って打ち込むことに 大手の組織を離れることを許容する家族。

ロサンゼルスのまぶしい光の中の、暖かい家族の 家。
市街地にある 日常のショップの光景。
威厳のある ウィーンの華やかな時代の モノトーンの描写。

ストーリーに引き込まれるのと同時に、場面を象徴する映像です。

[実際にウィーン市庁舎にナチスの旗を掲げて撮影] と、あります。
それ?OKなの?と思いますが、オーストリアがナチスを歓迎したことが今はトラウマになっていて、参同を得られたそうです。

国に依り 色々な考えがありますね。


* 解説に

主人公の女性の 結婚式の回想シーンです。

[内装の撮影には、ウィーンにあるアウエルスペルク宮殿が使われた。]



宮殿の建設は1701年、クリムトはその200年後に この絵を描いています。
この文化があるから、クリムトの絵のこの雰囲気がある・・・納得しました。
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見終わった時には、背筋が伸びて 勇気が出ます。