坂野民枝・インテリアコーディネーターの目線:    心地よい空間作りのヒント探し:四方山話

  

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美術展:エルミタージュ、シャガール、ボストン、エルンスト

2012-09-17 | 美術館
最近は遠出はしていないけど、仕事の合間に2時間の異空間へ

この2週間ぐらいの間に見に行きました。

・マックスエルンスト チケットを戴いていたので、気づくと開催期限間近
 

シュルレアリズム、わかりにくいところはあります。
この発想でこの作品と、なんとなく理解できるものですが、

このパンフレットの絵が 私には一番『謎』 
ユークリッド・・・幾何学・・・頭にバラ、手に魚、顔がたぶんアカンサスの葉
・・・背景は平面分割、具象の表現が加わる 何を表したかったのか

でも 胸に花を挿している・・・エルンスト御自身はきっと おしゃれな紳士だったと思います。

・マルク・シャガール展 松坂屋美術館

シャガールの絵は宗教的な絵も含め人に対する愛情が絵に表れていて好きです。
過去に大きな展覧会も開かれ見ていますが、お買い物の時間は短く切り上げ、行ってみました。。
シャガールの絵をイヴェットさんという方がタピスリーにしたものの展示もあります。
シャガール自身に認められ、微妙な色の表現も繊細に表しています。
25色の糸を色々組み合わせてあらゆる色を作り上げています。
原画の数倍の大きさを製作するには単に拡大するだけでなく、原画の絵の持つ強さも表現されています。
織物が壁にかかっているのを見ると、ベルサイユ宮殿を思い出します。
これもまた、フランスの文化です。
タペストリの出展は個人蔵が多いですが、一点 川島織物所有のものがあり、
川島織物の京都の工場で緞帳を織っているのを見せていただいたことを思い出しました。
これも日本の文化です。

・エルミタージュ美術館展


シモンズのショールームに商品の確認に出かけ、そこから5分の名古屋市美術館
9月末までを思い出し、寄ってみました。
子供のころはこの辺でよく遊んでいたので、科学館も新しくなり寄ってみたかったのですが
美術館へ入ったら2時間しっかり閉館の時間になりました。

サンクトペテルブルグのエルミタージュに一度は行って見たい!
海外の美術館は 行くと結構貸し出し中だったり、美術品は世界を巡る・・・

エカテリーナ”Ⅱ世から始まったコレクション 資金があるだけではできない事業です。
見る目と熱意がないと 収集できません。
『西欧絵画400年』とタイトルがついています。
レンブラント、ドラクロア、ピカソ・・・・ここではモネやセザンヌが普通に見えるくらいです。

その中で 印象深かったのは ルブランの自画像です。
ルブランはマリーアントワネットの肖像画家で、優美な絵を残していますが、
それ故に王妃が処刑されたときは彼女の命も危なかったでしょう。
でも、彼女の絵才は他国の貴族に迎えられて 描き続けたということです。
今回出された自画像は 描きながらちょっと振り向いたという表情で、
気さくで飾らない美しさがあります。
『何を描いているの?』と聞いたら答えてくれそうです。
栄華も死も目にし、それでいて やさしいまなざしを持つ・・・そうありたいものです。

・ボストン美術館:日本美術の至宝


名古屋の金山、電車と地下鉄の乗り換えで両手に仕事・・・美術館のロッカーは助かります。
後から知りましたがこの日15万人目の入場者・・・私の数時間違い、やっぱり混んでいました。

サブタイトルが、[まぼろしの国宝、ニッポンへ帰る]です。
どういうことかパンフレットには書いてありませんが、公に活字にはできない:
会場に行ってみてわかりました。明治の頃、廃仏毀釈の方針で、廃寺の仏像、所有品や、
身分制度の解体で売却せざるを得なかった名家伝来の物。
フェノロサや岡倉天心の尽力で収集されたものです。
ボストン美術館が収集したので 今に残すことができたとも言えます。
反面、海外に出てしまったので 国宝の指定ができない。

今を生きる日本にいて、少し複雑ですが、世界のどこかにあれば"善し"と、しましょう。

 奈良時代の曼荼羅図、日本人が見たら仏画とわかりますが、
アメリカの人が見たら 煤けた人物画・・・でしょうか。
技術が進んだら元の彩色をよみがえらせられるかも・・・

 平安時代の吉備大臣入唐絵巻、安倍仲麻呂が何故鬼として描かれているのか私には不明。
後醍醐天皇の命で絵巻は製作され、行ったきり帰ってこなかったからなのでしょうか。
三笠の山に帰してあげたかった。
美術品達も日本で見てもらえて嬉しく思っていると思います。

 曾我蕭白の『雲竜図』パンフレットの表紙になっている部分は8枚のうちの1枚。
 8枚全長10メートル以上展示は8枚が1列です。
襖2枚づつ、4方面ぐるっとこの龍に囲まれると3D効果でしょうか。
また別の迫力があったと思います。
近くでよく見ると 後から加えられた濃淡のある点・線のほかに
勢い良く筆を進めた時に飛び散った墨の斑点があります。
心の勢いを感じさせる描き方です。


それぞれの企画展・・・時代、人、物、切り口が変わると また 違った物が見えてきます。
私にとって 美術館は心のデザートです。