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自己満足で色々かいてる独りよがりブログです。

発達障害について私のスタンスをなるべくわかりやすく書いてみようと思います(真面目)

2015-05-26 06:09:17 | イラストブログ
もう20年、「発達障害」といわれる人たちと関わっております。
基本的には発達障害の方々の支援をしているし、
発達障害についていろんなところで教えているし、
発達障害の研究をして、論文をたくさん書いたし、本を書いたし、(今こういうアカデミックなのをサボっとるけどね)
一般の人より少しは知ってるかもしれない。

事務所を立ち上げたのは、社会的支援のない発達障害の人たちへ、
微力ながらなにかしたかったからです。
大学院で研究していたのはもう10年以上前で、
そのころは発達障害の社会的支援の必要性と認知向上の論文ばかり書いていた。
学校で特別支援教育が行われるようになり、
やっと平成16年に発達障害者支援法ができた…けど、
当時は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害などの発達障害を持つ人たちも障害者だからね!」と、
発達障害者支援センターができただけのお粗末な法律で、
障害者の手帳も未だにないです。(福祉サービスを受けるための受給者証は取れます)
そもそも、
DSM(アメリカの精神医学会の定義で、日本ではWHOの定義よりよく使われているよ!)が改正されてから、アスペとか広汎性発達障害とかないし!
私は主に、
高機能広汎性発達障害(HFPDD)の著書、論文ばかり書いてたからどうしてくれる!とは思うけど、
徐々に認知も上がってきたなぁと思う今日この頃であります。
福祉界でも、
キワモノやってる風だったのが、
先駆者っぽく言われ始めたよ!やっと!


前置きが長くなりましたが、
栗原類君が発達障害をカムアウトしてくれたので、(どうみてもそうだから分かってたけど)
多分、また色々質問や相談がされる方が来られると思われ、
あらかじめ、私のスタンスを書いておきますね。

まず、
メールや、電話や、唐突に会ったときの一般の方の相談には基本的には乗れないです。

発達障害かどうか?ということに関しては、
「発達障害」と言われているもの(と言葉を逃がしておこう。医学的定義は一般概念や法律とは若干異なるので)は、
まず、子どものころの症状をよく聞かないといけないし、
発達の特徴が分かる検査を受けてもらうのが一般的だし、
なにより、医師以外は「診断」することは禁じられているので、
私が「ああ、それ発達障害ですね」と言うことはできないのであります。
これは発達障害に限らないのだけど、
「どうしたらいいですか?」というのも困る。
私は障害というのは、
対症療法みたいなのではうまくいかないと思っているし、
問題の背景が分析できないのに、正しいアクションの判断ができないので怖いです。
分析しているつもりでも判断間違ったと反省することもあるのに。

こういう理由でお断りすることが多いのだけど、
「そうですよね、お金取ってるプロの人ですから、タダで相談に乗れませんよね」と失望される。
いや、もちろんそれもあるけど、
判断が怖いとです。
そして、その人たちはお金を払ってまで私に相談しようとは思わないことが多い。
深刻ではなかったのだろうと思います。
とにかく、
最寄りの相談所や病院にご相談くださいと思います。
病院は発達を理解している精神科がお勧めです。

つぎに、
発達障害の説明というか、
私なりの理解をなるだけ簡単に書きますね。

一応、障害論、障害者の権利擁護をずっとやってきて、
そもそも障害とはなんぞや?みたいなのを、
講義のアタマにすることが多いです。
ここから誤解があるので。

大前提として、障害は一般的日常生活をするのに困難があるレベルのものだということです。
ハイ!なので、
ちゃんと日常生活が送れて、働いて、お友達がいてという人が、
ADHDやASDのチェック項目みて「私発達障害かも!」と思ってもダメー、一般的日常生活送れてるからダメー。
あんなの、ストレスたまったら誰でも症状でるからダメー。
私もすごくADHDぽいけど、
一応、日常生活送ってるからダメー。

そして、障害は「継続する」ということです。
つまり簡単には治らないということです。
殆どの障害の定義には安定した経過(つまり症状が続く)的な言い回しがついています。
ここが、疾病や怪我との違いです。
疾病や怪我は治る!けど、障害は基本的には治らないです。
問題の軽重ではないのです。大怪我は治るけど、軽微であっても障害は症状が変わらないです。
身体障害が手術で治ったりはするけど、脳に由来する障害は薬で症状が軽減することはあっても、
それで治ることは基本的にはないと思われます。
持病みたいなものですね。
うまく薬を使って、環境調節をして、日常生活を送っている人はたくさんいます。
逆にいうと、
発達障害と言えるレベルの脳の特徴がある人でも、
いい環境が整えば、自分がそんな特殊な脳であることを悩まずに暮らしているわけで、
その人を発達障害者とは言わないわけです。
栗原類君が今も脳の特徴が理由で苦しんでいるのであれば、発達障害者なのかもしれないし、
芸能界という発達障害の人にとって、とてもいい環境のおかげで、すっかり日常生活が楽しくなっているのであれば、
ずいぶん寛解(かんかい 症状がすごく軽減していること)していて、もはや障害者とは言えないのかもしれないです。
私はこういうかんじで、予防的、支援的に、
「発達の(脳の)特徴はあるのだけど、障害者とは言えない人として生きていく」のを第一目標としています。
それでも、
苦しんている人が多いので、自立するための支援や、社会的支援の相談をしているのだけど。

そもそもなんで障害が起きるのかというと、
ひとつは、
この世がability、つまり能力主義の世界だからかな?と思います。
悔しいけど、人類…というか、生物はやはり能力が高いものが強いもので、
ある程度は仕方がないのかもしれないです。
でも、
人権論から言うと、「能力が低い」ことで権利侵害はあってはならないと思います。
昔は、障害の名前がdisability(能力の欠如)とか言われていたけど、
最近はDisorders(混乱)みたいな表記が増えてるな?と思っています。
配慮的なものもあると思います。

ふたつめは、
マイノリティ、つまり少数派であることです。
マイノリティっていうのは、とにかく障害、権利侵害が起きやすい。
この世は多数決の世界ですよ!
私は多数決反対派ですからね。選挙制度だって、少数派を切り捨てるから疑問もってるし。
障害のある人は絶対的少数派なので、
理解されにくい、評価されない、うまく能力が発揮できないです。
例えば、
知的障害という発達障害があって、
(↑日本の法律的には知的障害者の法律が別にあるので、知的障害を発達障害と知らない福祉業界人が多くてアタマに来るのであるが)
これは、知的能力が低いことが由来で日常生活がうまくいかない方々。
しかし、
実は私が仕事上関わってる人の中には、
IQ120以上の人たちがたくさんいらっしゃるのですよ。
能力でいったら高いはずなのに、発揮できてないわけです。
ひとつは、
自閉やADHDなどの発達障害を合併しているということなのだけど。
つまり、高知能の人も少ないので、
なかなか理解できないわけです。
特に学校では、先生(たぶん、とても定型発達をしている方々)の理解を超えてる変わった子なわけですから、
うまくいかない。

他にもあるだろうけど、
私は、能力主義と多数主義が障害を作っている大きな理由だと思っています。



発達障害の各論になると、
ほんとね、迷惑してるんですよ!DSMの改訂には!
今の業界の常識と、法律と、一般認知が全然違うので。
丁寧に書いてたら、
本一冊になってしまうので簡単に、業界っぽくなく、フランクにザックリ言うと、
知的障害は知的能力の障害、
自閉症スペクトラム(ASD)はコミュニケーションの障害、
ADHDは落ち着きや衝動性やボンヤリの障害、
学習障害は知的障害はないけど学習の基礎となる力の障害(私は、大人になったら、そんなに日常生活で困らないような気がする)、
運動障害、チック、吃音…諸々あるけどきりがないです。

ポイントを2つだけ書いておきます。

ひとつ。
これらは、重複障害になります。
なので、
知的障害で自閉とか、ADHDで自閉とかあります。
おお!自閉、よく重複しとるな?と気づかれたあなた!スルドイ!
自閉は重複します。
当たり前です。
だって、
この世の人は全員自閉傾向があるのですよ!
というのも、
自閉症「スペクトラム(連続体)」というのは、
自閉症と自閉症じゃない人とキッパリ白黒つかないよ、みんなグレーでその濃淡だよ!という意味なんですよ。
これが、私が作ったよく使うスライドなのだけど。

誰だって、コミュニケーションうまくいかないなぁと悩んだり、
何かに強くこだわったりすることがあるでしょう?
それは、あなたの自閉なのかもしれない。
調子が悪いと、
なんでも症状は強く出ますからね。
でも、思い出してください。
日常生活送れたら、それ障害じゃないから。
安心してください。

ふたつ。
二次障害が出やすいです。
つまり、
発達障害を基礎として、別の精神の病気などが起きやすいです。
だって、
能力主義、多数決主義の世界で、
やって行かないといけないわけですから、
ストレス高くて当たり前です。
発達障害自体はなかなか特徴が変わりませんが、
二次障害は、治療や環境調整でずいぶんよくなります。
是非是非、医療機関や相談所にご相談を!です。



ちょちょちょいと、
1時間ちょっとで書いたので、
乱筆乱文ですが、
私の発達障害に対するスタンスです。
個別の相談は受けられないけど、
ここで発表できるような、
社会的認知につながる質問なら大歓迎ですよ!

最近のよくある質問。

Q:アスペルガーってなくなりましたか?

A:DSMの最新版ではなくなりました。自閉症スペクトラムに統合されました。


Q:手帳がないと福祉サービスは受けられませんか?

A:発達障害者の手帳がないため、多くの自治体では、医師の診断書を提出することで、
障害福祉サービス受給者証がもらえるようです。
市町村役場に相談に行ってください。
未だ、手帳がないと受給者証が出せないと言ってる自治体がありましたので、
そんなトボケタことを言う自治体があれば戦いましょう。
手帳は色々特典があるので、
取れそうだったら取った方がいいでしょう。
知的障害があれば療育手帳、なければ、精神の手帳が取れる可能性があります。


Q:DSM-5では吃音が発達障害のカテゴリーに入ったそうですが、
発達障害者として支援が受けられますか?

A:吃音の症状の中で、脳由来のものだけが神経発達症群/神経発達障害群(発達障害)と診断されると理解しています。
診断を受け、日常生活に支障があれば、障害福祉サービス受給者証が発行され、福祉サービスが受けられます。


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