ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記-

本やCDを買う日々の記録です。ツイッター:http://twitter.com/sr_azev

《読書》早坂隆『世界の日本人ジョーク集』中公新書ラクレ

2006-02-06 06:06:54 | 読書

●〔1〕早坂隆『世界の日本人ジョーク集』中公新書ラクレ 2006
(2006.01.13読了)
 日本人に関するエスニック・ジョークを集めた本です。
 エスニック・ジョークも時代によって変化があるようです。

 下記は一昔前の典型的な作品です。多数のジョーク集に収録されています。
●幸福論
「人生における最高の生活とは?」
「アメリカで給料をもらい、イギリスの住宅に住み、中国人のコックを雇い、日本人を妻にすることさ」
「では、最低の生活とは?」
「中国で給料をもらい、日本の住宅に住み、イギリス人のコックを雇い、アメリカ人を妻にすることさ」(p.149)


 21世紀になるとエスニック・ジョークも次のように変化してきています。
●失業中のトムの一日
 アメリカ人のトムは現在、失業中の身である。
 朝七時に時計(日本製)のアラームが鳴る。コーヒーメーカー(台湾製)がゴボゴボいっているあいだに、彼は顔を洗いタオル(中国製)で拭く。電気カミソリ(香港製)できれいに髭も剃る。
 朝食をフライパン(中国製)で作ったあと、電卓(日本製)で今日はいくら使えるかを計算する。
 腕時計(台湾製)をラジオ(韓国製)の時報で合わせ、クルマ(ドイツ製)に乗り込み、仕事を探しにいく。
 しかし、今日もいい仕事は見つからず、失意と共に帰宅する。彼はサンダル(ブラジル製)に履き替え、ワイン(フランス製)をグラスに注ぎ、豆料理(メキシコ製)をつまみながら、テレビ(インドネシア製)をつけて考える。
 「どうしてアメリカにはこうも仕事がないのだろうか……」(p.58)

●あるアメリカの子どもの幸福な休日
 待ちに待った日曜日。今日は学校も休みだ。いつもより遅く起きた僕は、まずソニー製のテレビのスイッチを入れる。毎週楽しみにしている日本のアニメを観るためだ。
 それが終わると、マンガを読む。でも、今日はゆっくり読んでいられない。パパとハロウィンの衣装を買いに行くのだ。
 パパ自慢のトヨタに乗り、ショッピングセンターへと向かう。カーラジオからはイチローがまたヒットを打って新記録を作ったというニュース。いったい何度目の新記録?
 買ってもらったのはポケモンの着ぐるみ。これで人気者間違いなしだ。それにクリスマスに欲しい新しいニンテンドーのソフトもしっかりチェックしておいた。でも、プリンセス・テンコーのフィギュアも欲しいんだけれど。
 ランチにおいしいスシを食べてから家に帰った。僕はまたマンガの続きを読む。パパはトヨタを洗いだした。これから、前から見たいと言っていた『ラスト・サムライ』を観るためにママと一緒に映画に行くらしい。
 お兄ちゃんは、ホンダのバイクでガールフレンドの家にでも向かったようだ。夕方にあるカラテの練習までデートでもするのだろう。
 僕は思う。アメリカとはなんて豊かな、いい国だろうって。僕はアメリカに生まれて本当に良かった。僕はアメリカを心から愛している。そしてアメリカの文化を誇りに思っている。(pp.232~233)


 ジョークとは直接関係ないのですが、この本の中で、著者がルーマニアに滞在していた時のことが書かれています。これもなかなか興味深いです。