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「方丈」=“面積”から雄飛して

2011-07-15 08:15:02 | 日々の建築考
鴨長明の方丈記に触発されて書いた方丈記という境地の住居論その1以来、すっかり続編がご無沙汰していますが、その間、周囲の皆さんから様々な意見や感想をいただき、有難い限りです。

続編再開前に、少し独り言・・。

「方丈」とは言葉通り「1丈(10尺=3.03m)四方」(約9.18平方メートル)の面積を表すのですが、京都の寺院や塔頭を巡ると、“方丈の間”というのが幾らでも出て来ます。そして、面積はかなり大きい(笑)

wikipediaによると

「維摩(ゆいま)詰の方丈を訪れた文殊菩薩とその一行が、その狭い空間に全員収容できたという逸話から、仏教においては方丈に全宇宙が内在しているという考え方がされ、そこから寺院の住職が生活する建物を、特に方丈と呼ぶようになった。

とのことで、その謎が解けました。

そこから“方丈の間”に始まって、“方丈庭園”(龍安寺のものは幅 22 メートル、奥行 10 メートルもあるとか)なども出現し、今後も“方丈の○○”と色々派生してゆくかもしれません。


話が逸れましたが、方丈に全宇宙が内在しているという考え方は、もともと方丈面積に全員収容できたという逸話からとのことですから“足るを知る”ということなのでしょうか?。禁欲的な感じも受けますが、しかし一方でミニマム空間というのは自分のテリトリーを隅々まで感じられる“私的空間”であり、そこには独自の心地良さを併せ持つものなのではないかと思います。


そんな中、知人のNさんより、
「方丈=小屋?」として見ると仮定して、中村好文さんのお話を紹介してくれました。

“営巣本能”というキーワードに、ドキッとしてしまいました。
中村好文さんが求めていたもの、と紹介されていましたが、実は私も「これ」だったのかも・・(?)


~中村好文~
“「小屋」には、ともすれば人間が忘れかけている《営巣本能》が鮮やかに、しかも直接的に投影されており、それが私の胸を騒がせ心をくすぐるのです。

・・中略・・

ワンルーム住宅のプランはごく単純でなければなりません。しかも機能的であり合理的でなければ住宅として成り立ちません。そして大切なのは、そこで営まれる生活も、とりわけ簡素でなければならないことです。

無駄のないシンプルな建物に、虚飾のない自然体の暮らし。それは棲み家と人の生き方が分かちがたく結び合った理想的な関係だと思うのですが、いかがでしょう。”


ワンルームにあらゆる要素を内包している。
これこそ、まさに現代の方丈庵ではないでしょうか。
Nさんのご意見に、私も賛同します。(^_^)


そして、震災前後から自分の中での“方丈庵”イメージに近かったのが、ダンボールハウスやキャンピングカー、テント生活などでしたが、中村好文さんのように素敵な建築を提案するのが楽しいし、きっと面白そうだと今更ながら気づいた次第です(笑)

(Nさんありがとう)
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