四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
モグ連載③ モグの特徴とラインナップ
ハンモック専用の寝袋「モグ」の発売は当初の予定よりも少し早くなって8月20日頃になりそうだ。
前回まではモグの企画開発背景についてお話ししてきたが、今回はいよいよモグの詳細についてお話ししよう。
気になるラインナップは次の通り。
モグ wool insulation
ウールの中綿を採用した湿気に強いモデル。湿気の多い夏の渓を中心に春や秋にも使用できる。冬のシノギングではウキグモlightなどと併用して寒さを凌ぐこともできる。
快適使用温度の目安:15℃前後(中に着込むものや個人差で変動)
本体価格:¥39,800
カラー:銀煤竹
表地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
裏地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
中綿:lavalan wool insulation 60g/㎡
重量:560g + 収納袋14g 合計 574g
全長:290cm
モグ 350
厳冬期以外に使用できる汎用性の高いモデル。保温性とパッキング性のバランスも良い。
快適使用温度の目安:0℃前後(中に着込むものや個人差で変動)
本体価格:¥49,800
カラー:褐色
表地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
裏地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
中綿:700フィルパワー ホワイトグースダウン 350g
重量:648g + 収納袋14g 合計 662g
全長:314cm
モグ 500
厳冬期には雪中シノギングに行きたくてうずうずしているシノラーにお薦めの、シリーズ中最高の保温性を誇るモデル。インサレーションをチョイ足しすれば-15℃でも問題なし。
快適使用温度の目安:-10℃前後(中に着込むものや個人差で変動)
本体価格:¥58,800
カラー:憲法色
表地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
裏地:旭化成10dn × 10dn 28g/㎡ マイクロリップストップナイロン
中綿:700フィルパワー ホワイトグースダウン 500g
重量:768g + 収納袋15g 合計 783g
全長:314cm
モグの特徴はなんといってもハンモック専用の寝袋であるということで、つまり、ハンモック全体をすっぽり包み込んでしまうということだ。現在販売されているシングル巾のハンモックのほとんどに対応するので、すでに持っているハンモックをそのまま使用できる。重要なのはすっぽり包み込むということで、アンダーキルト&トップキルトやスリーピングマット&寝袋の組み合わせと比べると無駄な隙間が全くと言っていいほどないので保温効率が断然いいのである。もちろん寝ているあいだにズレるなどということもない。また、モグは充分な高さの衿を備えた膝まで覆うロング丈の中綿コートとしても使えるのだ。左右のサイドジッパーから肘まで出せるので、焚き火のお世話や食事も問題ない。これによってインサレーションを一枚減らすことができる。
頭側は細く絞られていて、先端のコードロックでハンモックのラインに固定する。
足側も同様だが、モグ自体がコートとして着れるようになっているので頭側よりも巾が広い。足側は二つのコードロックを締めて固定する。
さて、どうやってモグに潜り込むのかというと、顔出し用の筒衿から下に向かってジッパーがあるのでそれを開いて潜り込むのだ。ちなみに、焚き火や食事を楽しむときにはこのジッパーを開けて座ると安定する。
ここが一番苦労したところだが、使う人の体格によってフィット感が異なるのでこれを調節できないとヒートロスが発生してしまい、せっかくのモグのパフォーマンスを活かせない。この問題を解決するために考えたのが肩から足にかけてのフィットの調節。胸から足にかけての横方向のステッチの内側にショックコードを入れて個別にフィット感を調節できるようにしている。下の画像は何も調節していない状態なので、背面が垂れ下がっているのがよくわかる。この状態では背面に隙間がありすぎてヒートロスが大きい。
下の画像はショックコートを絞り込んで調節した後の状態。モグが身体のラインに沿ってフィットしていることがよくわかる。こうすると体とモグの間に無駄な空間がなくなり身体全体がバフバフのダウンに包まれるのでとても暖かい。でも、絞り込んだショックコードが身体に接するとそこだけ外気を感じて寒くなるのでは? ・・・大丈夫、ショックコードを絞ってもコールドスポットが生じないような工夫がしてあるのでご安心を。これによって潰し縫いのステッチでありながら疑似的にボックス縫製のような効果が得られ保温性も向上するのである。
モグには、寝転がって完全に閉めた状態でも手が出せるように胸の左右にジッパーが付いている。これは寝転がってスマホを見たり(笑)コートとして使うときに手を出すためには欠かせない仕様だ。
モグ350とモグ500は寒い時期の使用を想定しているので、風や冷気の影響を受けにくいようにジッパーに中綿入りのフラップを付けている。サイドジッパーは表側に、
そしてフロントジッパーは内側にフラップが付いている。
モグ 350とモグwool insulationのパッキングサイズはほぼ同じで、900mlのウォーターキャリーと比べるとご覧の通り。どちらも30Lくらいのバックパックのボトムにすっぽり収まる。モグ 500のパッキングサイズはこれよりも少し大きくて、40Lくらいのバックパックのボトムにすっぽり収まる。収納袋には少し余裕があるのでモグにハンモックを通したまま収納できる。こうすることで収納袋から出してツリーストラップを掛けるだけで設営が完了するのでとても便利だ。同様に撤収もとても楽である。
さあ、モグと共にシノギングに出かけようではないか!
シノラーは孤高である。
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