四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
福井 THE GATE SPORTING CLUB 出張シノギングの様子
早いもので、新体制にて再び開催するようになってから4回目のシノギング。
低山でも豪雪なこのエリアも、全国的な暖冬の影響は避けられず、ご覧の通り全くの無雪状態。
今年は雪上シノギングを期待してこの時期での開催だったが、残念。しかしながら代わりに、シトシトと雨が降ってくれ、転じて雨を凌ぐ回となりそうだ。
集合の後、自己紹介も含めたしっかりご挨拶を済ますと、まずは凌道具たちのお貸し出し。定番のツユハラヒ、クナイは今日のような日にこそ有用性を感じていただけるだろう。ついでに寒さを凌げるようアグラスカート等も漏れなくサービス。
そして、雨だと中々地図読みも難しくなるが、、いつも通りのコンパスの使い方と方角確認。
怪しい方々もいたが、微調整にて概ね良好。
次いで、地形図のご説明。あまりタラタラとやっていると、地図がどんどん宝の地図が如くグチャグチャになっていくので、要領よくまとめてサクッと。
今回は番外編として、面白い比較地図も用意してきた。今回そのエリアには行けないと思うが、こういう情報収集もシノギングの醍醐味である。
こうしてしっかり身体も冷え切った所で、出立。早速集合場所近くにある、27mの超低空三角点を観察。地面に埋もれている珍しいタイプか。
すぐ近くの支尾根から入るが、外から尾根を観察しながら、まずは車道をテクテクと。
尾根の始点は、入りづらそうだったので、暫し側面を車道沿いに辿っていると、何やら謎のオブジェとともに、害獣駆除フェンスの入口を発見。渓沿いの更にジメっとした詰めからのスタートだ。
彷徨う杉林が立ちはだかるも、ツヅラヲリにそれらを縫いながら、歩きやすい所を探りつつ詰めていく。
支尾根へ合流。明瞭な尾根道ではあるが、初めての方にとっては登山道とも言えない道。。ただ、最初の渓登りをこなすと、登山道ばりの整地された道に見えるだろう。
幽玄的な靄が辺りを包む。時折人工的に切り開かれ、展望があるところもチラホラ。人との繋がりを感じられるような道だ。
とか考えていると、本当に昭和の遺産が散見される。聞けば、この辺りはかつて採石場もあったとか。職人たち仕事終わり(中?)に夜な夜な宴会が開かれていたのであろう。
この尾根は大きな分岐はなく、明瞭に一本尾根。主稜線への合流を前に、立派な竹林帯が姿を現す。
これらもかつて人が入っていた証拠である。
ちょっぴりの急登を終えると主稜線へ合流。わかりやすい植生界でもある。どうやらピークと少し手前に出たようだ。少し東寄りへ軌道修正。
P230へ到達。ここが分岐となり、このピークから南西に延びる市境尾根道へ入りたい。
明瞭な分岐点となるため、プレートコンパスを使ってしっかり整置をしてみる。
シノギングではそうそうやらない行為だが、やり方を知ることは大切である。地形図は地面に置いてコンパスも乗せてゆっくり動かせば、わかりやすく正確にできるはず。
皆さん、しっかりと整置でき、地形図と現在地がしっかりとリンク。あとはその地図上の行きたい方角に向けば、正に目の前に広がる尾根がその道である。
ちょっと急だが、杉が等間隔に生えているので、ジグザグに木にぶつかりながら下っていく。
下りきると面白いように植生が一転。素敵な薪炭林が姿を現す。良きかな。
見つけた見つけた。雨の時こそ感動が大きい、”油の木”ファットウッド。
この知識は一見一聴の価値あり。詳しくはシノギングイベントにて。
この先に厭らしい三叉路分岐があり、案の定少しわかりづらく、分岐でうろうろ支尾根を探す。こういう時に限ってそれまであったピンクテープがぱたりと見当たらなくなる。試されているのだろうか。。無事目指す道へ分け入る。
先にも話に挙げたが、超低山ながらこのような巨石が散見される。
そしてもう一つ情報としてあった、この山域の北側には城跡があると。。そうして現る、明らかに作為的に切り立った堀切!上からの覗くと恐怖。得てして写真ではそれが伝わらないんだなぁ。
当然直下りは出来ないので、少しでも下りやすそうな辺りを探りながら、重心を山側へ落としながら、ズルズルと下りていく。漏れなくお助け紐も活用。こういう時は渋らず活用すべし。
対岸にも当然切り立つ壁が。いざ出陣にて城攻めじゃ~。
こちらは幸いジグザグに薄っすらフミアトが延びていた。それでも雨でグズグズにて難儀する。
攻め切った皆さんの雄姿は正にシノラー。
そろそろお昼休憩を挟みたい時分。。辺りを観察しながら、別荘集落地(ハンモック的)を目指す。
目星を付けた通り一登りした尾根途中の白場が、少し変則的な地形ではあるが選定すれば集落が作れそうなので、ここらでお昼休憩とする。
手練れのシノラー達はもう勝手に張ってもらい、初めての方々を中心に私と森勝氏でハンモック張りレクチャー。
落ち着いたところで、皆さんの別荘へお邪魔します。
新調いただいたチャブダイが燦然と輝き庵を演出するシノラー別荘。
知る人ぞ知る、福井シノギング黎明期を知るシノラー別荘。今日も背中って語ってくれています。
新制福井シノギング初回から、コンスタントに参加下さっているシノラー別荘。タープ張りもばっちり。
大き目のタープでビシッと決まっているシノラー別荘。アンダーキルトは如何でしょうか?
敢えてのバブアーオイルドジャケットが実に渋いシノラー別荘。
森勝氏のレクチャーを真摯に受けながら低空に張られたタープが素敵なシノラー別荘。
渓よりの適地に一人ポツンと離れて張る孤高のシノラー別荘。
チームGASCはアレヤコレヤと会議中。
昼食を終え一段落すると、勿論始まる森勝ショー。東京から持ち込んだ、カラッカラの枝薪を活用して、ウッドストーブ火熾し、からの~最近の新作吊り上げ下げロープワークを駆使して、囲炉裏風ストーブ術を披露。
見よ、この男子たちの食いつきよう笑
メタルマッチの活用術。アルコールストーブやお化粧用コットンへの火付け練習。
シノラーを引き連れてのシンプルロープワーク講習等々。
幸い休憩中も雨は小雨で、十分森勝ショーも凌ぐことが出来た。毎度お馴染みではあるが、そうこうしていると、1時間2時間なんてすぐ。でも今日は雨だし、ガツガツ責めずに帰りは普通に下りでよいかなぁ。と何となく擦り合わせを済ませ、撤収作業を始める。
各々パッキングまで終えて集合すると、目を光らせていた森勝氏からのプチパッキング講座と、ザックの背負い方のコツを談義。抜け目がない。。
いざ出立。辿ってきた道を戻り、分岐で別れたもう一つの尾根を辿って麓へ戻る作戦。
当然さっきの堀切をもう一度凌がなければならない。恐怖。。
ここでちょっぴりアクシデントもあり...実はこの堀切の鞍部の下は車道トンネルで、ひょっこり覗くとすぐ車道が見えるではないか!という事で、無理せずそのままトンネル元車道へ下りて優雅に戻る作戦へ変更。
晴れ間は無いが雨も霧雨で心地良く、の~んびりと畦道を他愛もないお話をしながら歩く。
下りてくる予定だった尾根の先には立派な神社。ここを繋ぐのはまたの宿題。シノギングのルートは無限大で、宿題が残るのは必須。少しずつ凌いで、少しずつ自身のエリアを広げていってもらいたい。
福井はポコポコと低山が非常に多い。所謂裏山のように、すぐアクセスできるローカル感も魅力的で、実はシノギングとの相性も非常に良いと感じている。
今回参加いただいたシノラー達、今まで参加して下さったシノラー達も、積極的にご自身の裏山でシノギングに勤しんでいただければ幸いだ。
雨を凌ぎ、一皮剥けたシノラー達による、決して笑ってはいけないやつ。
今回参加して下さった、シノラーの皆様、ありがとうございます。
そして毎度毎度、イベントにご理解いただき同行もいただいた、GASCのY氏、H氏、O氏、ありがとうございます。
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