四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
宗像山道具店 by GRiPS 出張お泊まりシノギングの様子
前泊した宗像市内から車で移動して着いたのは佐賀県のとある山中。そこに続々とシノラー志願者が集まって来る。
全員集合したので、まず始めに凌とシノギングの概要を説明。その後はいつものようにコンパスの基本的な使い方と地形図の見方を確認。地形図上で今回凌ぐエリアの情報をインプットしておく。
ツユハラヒ、クナイ、アグラスカートを貸し出して、出発前にパッキングチェック。低山小道具研究家の森勝氏から的確な指導が入る。ひと先ず大まかな部分を整えておく。
いざ、出発。ツユハラヒとクナイを着けて歩く姿はもうシノラー。
30分ほど歩いたところでハンモックポイントへと続く尾根の末端に到着、ここで二手に分かれて尾根にとりつく。
こちらは運良く?つる植物の混ざるしつこい藪。シノギングではこういうこともよくあるので、バックパックには何も外付けしない方がいい。
藪を凌いで別の班と合流し尾根伝いに歩く。さっきの藪に比べるとこちらはとても歩きやすく、まるで登山道のよう。
適度に開けた場所で森勝氏の片結びだけでできる目からうろこのロープワーク講座。
シノギングではタープを張ったりリッジラインを張ったりするのにロープワークは必須だが、この片結びを応用した結び方は簡単で確実な「使える」ロープワークなので覚えておいた方がいいだろう。
この後800m圏に向けて尾根の傾斜がきつくなってくる。
こういうルートを凌ぐとクナイの有用性がはっきりとわかるはずだ。
最も傾斜が急なところで浅い谷をトラバースし、ひとつ東の尾根に乗り換えて800m圏の平坦地に着いた。
この先の820mピークから登山道のある県境尾根の少し手前を尾根伝いにハンモックポイントに向けて降りる。
しかし、地形図と比べると尾根が細いような気が・・・。
いよいよ地形図の傾斜と実際の傾斜が合致しなくなった。こんなに急なところはないはず・・・。
狸に化かされたかのようにはっきりとした谷に出てしまった・・・。登山道に出たらイベント終了という即席ルールにビビって県境尾根の手前の尾根を降りてしまったようだ。仕方がないので本来降りるべき尾根へと登り返す。
ようやくハンモックポイントに着いた。それでもまだ時間が早くてよかった。ハンモックとタープの基本的な張り方を説明し、あとはみなさんそれぞれの場所を確保して設営してもらう。
ちょっとした使い方のコツをその場で知れば忘れることはないだろう。
すでにウキグモ購入済みの参加者が数名。やる気満々だ。
こちらはモグ500をお試し。
森勝氏の的確なアドバイスによって美しく張られてゆくタープ。
日が傾いてきていい雰囲気だ。
行燈風シェードにあかりを灯す。
夕食中の皆さんを訪問。
お試しでアグラスカートを使ってもらっているが実はそれほど寒くない・・・。
ぐーすか。
その後はしばしの凌談義。
時はゆっくりと流れていった。
最低気温は12℃ほど。まったく寒くなかったし、寝汗を掻いた人もいたようだ(笑)
朝食を済ませ、出発前にパッキング講座実践編。一泊だとそれなりの装備になるのでパッキング講座のやりがいが上がる。森勝氏が細部までチェックして整える。
昨日よりもずっときれいにパッキングできたし荷重バランスも良くなった。パッキングの基本的な考え方は荷重バランスを考えながらバックパックの形状がきれいに出るようにパッキングすることである。細かいことはシノギングイベントに参加した人のみぞ知る。
パッキング講座のおかげでみんなのバックパックがシュっとしている。
昨日狸に化かされた820m周辺を確認しようということで、一旦県境尾根の登山道に出てみる。もう登山道に出たらイベント終了というルールは撤廃された(笑)820m付近で昨日の間違いの原因を入念に調べ、納得することができた。
820mからは南に分岐する尾根を辿り始める。下り尾根は分岐があるので注意が必要だ。
途中の傾斜が急なところでお助け紐体験。毎回ではないが、シノギングではお助け紐が必要な場面に出くわすことがあるので必携の装備だ。コンパスと同じように持っているだけでは意味がないので、簡単で確実な使い方を知っている必要がある。
南に尾根を辿っていたのだがいつのまにか南西の尾根に入り込んでしまったらしく、またしても谷に降り立つ(笑)仕方がないので尾根を乗り換えて昨日登りに使った尾根を辿る。どうやら本来辿るべき尾根よりもはっきりしている南西尾根に誘導されてしまったようだ。シノギングイベントではこの言い訳をたびたび口にしているのだが、たとえ地図読みを間違えても、間違えたことに気が付いて回復できることが重要である(汗)
最後も何となく分岐している尾根に誘導されて少し手前で谷に出る(笑)
でも安心してください。ちゃんと脱出できます。
昨日、今日と狭い範囲のシノギングだったが、いろいろな要素が詰まっていてなかなか充実したシノギングだった。
今回は当社の希望でシノギングイベントへの参加が初めての方のみという条件での開催でした。みなさん、これがシノギングです。
最後に決して笑ってはいけないやつで〆
参加者の皆さんありがとうございました。
また、週末にもかかわらずこのイベントの開催にご理解とご協力をいただいた宗像山道具店さん、同行してくれたGのU氏、ありがとうございました。
ロープワーク、パッキング、ハンモック泊については、専門誌やネット上でいろいろな情報を入手することができますが、それをやりたいと思っている人が実際にやってみるというリアルな経験があってこそ理解を深め吸収できるのです。シノギングの情報は書籍では入手できず、ネットでもほぼ入手できません。少しでも興味を持っている人はぜひシノギングイベントに参加してください。この手記に書かれていること以外のいろいろを知ることができます。
« あてずっぽう... | 11月18日の「... » |