四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
11月19日「第四回シノギング講習 実践編」の様子
いつもの高尾エリアからはちょっとハナレ、人気の少ない駅に降り立つ。ただ紅葉時期も相まってか、この駅にしては登山客で賑わっていた。
そう、この日のために講習参加者の皆さんは一ヶ月鍛錬されてきたわけだ。
さて、早速前回課した宿題、周辺地形図を元に、マイルートを考えてきてもらう。その発表会。
ふむふむ。皆さん、基礎編での経験を基に、正統派の方から、単純に面白そうという好奇心からと、正に十人十色のルート選定をされていた。
その中から、多数決にて、被ったルート、目的地を更に選抜し、一つのルートが紡ぎ出される。本日はこのルートでいこう。この道筋を考えるのが実は一番楽しかったりする。インドアでも出来るし、いくらでも妄想に耽る事が出来る良い遊び笑
そして凌の必須アイテムを強制お貸出しし、いつも通り私の荷物を減らす。今回は必要な時に自身の判断で着用いただけるよう、汗や寒さを凌ぐアイテムも先に全て渡し切った。
残念ながらのピーカンだが、紅葉は意外に見頃のようだ。これら行く北側の山域を見上げる。
いざ出立。
と、早々に異世界へのトンネルをくぐり。。
暫くは裏手の集落をのんびり歩きながら、辺りの山域の観察もする。こういう見晴らしの良い麓は、絶好の観察ポイント。次回のシノギングに向けても、周りの気になる山域や尾根、エリアをチェックしておくのもシノギング。
集落を抜けると、徐々に怪しい雰囲気になってくる。
くねくねと車道を登り少しずつ標高も上げていく。意外に車の通りが多く、調べてみるとこの先にゴルフの打ちっぱなしがあるとの事。確かにそんな感じの車ばかりだった笑
この辺りで点線登山道に入る、という場所で正に昔ながらの道が尾根方面に延びていた。しっかりこの山域を越えた先にある集落行き、と道標もあり。やはり登山道というよりは生活道のような道か。
アスレチック広場?と思いきや、統一された原木が並ぶ、キノコ栽培所。
次第にこの先での布石となる、笹薮が控えめに姿を現す。。
そして問題の分かれ道。地形図では少し渓寄りをなめるように点線は続いたいたので、下の道をチョイス。最初はフミアトもしっかりしていて良かった。。
ただ気付いたらこの有り様 笑
薄っすら獣道程度にフミアトは続いているも、行くべき方角からは外れ、北方面へずっと続いている。これは外れたな。。
という事で、本来の道が残っている事を信じ...尾根方面に直登にて軌道修正。これがまたしつこい笹薮で難儀。ただ感覚的には行けそう、な雰囲気は出ていた。
結局恐らく10分ほどで着けるような地点に回り回って30分ほどかけて到達。とても狭いエリアで謎の達成感。
道はしっかりしている。私も捕捉しきれなかったが、北よりに暫く進んでいたので、恐らく西へ折れる分岐を過ぎた先の尾根の方に出ているだろう。延びている両端の道の方角とそれぞれの登り下り等高差からもそれは間違いなさそう。少し迷って挙句に出た道では、これらの考察をしっかりしてから進むべし。
自信をもって再出発。
それたお陰で、少し気になる平場の尾根をチェックできた。笹や針葉樹とは打って変わって、薪炭林の素敵な広場。このミチクサを大事にしたい。
気分は上々に少しずつまた歩みを進める。この辺りは針葉樹も少し入り込んでいてまた笹も五月蠅い。何となく山域を挟んで北側(先の集落)の管理は行き届いており、南側(来た側の集落)はほったらかし、といった印象。いや勝手なイメージだが笑
標高と共に、薪炭林もまた増え、日当たりも良い尾根歩きへ。心地良い。
そして分岐小ピークへ向けた急登をこなす。淀みない心と速度で、自分のペースを大切に。
登り上がると、森勝氏がソワソワ。。少し進むとありました!ファットウッド。前回程度の良いものが無く、お見せ出来なかったファットウッド森勝ショーが火を噴く。
興奮冷めやらぬ中、問題の謎の建物マークのある分岐点を探す。分かりづらくスルーしてしまったが、チームワークでしっかり回帰。
まぁ普通だったらこの笹藪はスルーしていまうよね。。
意を決して突入。こうなると正に最初の藪漕ぎがこれへの布石だったか。勝手に納得。
薄っすらフミアトあるが、尾根上にもアカマツがポツンポツンと生えており。モミの木さながらの目印となっていた。
ただしつこい。本当にしつこい笹薮だ~。カキワケカキワケ行きついた先には...
ありました。小さな祠。謎の建物マークはもう少し大きめのはずで、まさかこのスケールとは思いまい。お宝を発見したような充足感。
暫し想い更けって、次の目的地に向けて来た道へ戻りさらに南下するが、あの笹薮を戻るのか。。まぁ仕方がない。。
ただ、一度通り踏み慣らされたお陰か、思いのほかすんなりと戻れた。それとも藪漕ぎ耐性がついたのか。
ピーク周辺をハナレ、下り調子に鞍部を目指す。この先に少し拓けた場所がありそうなので、小腹も空いたし、一先ずのお昼休憩としよう。
残念ながらハンモックやタープが張れるような場所ではなかったので、素直に地べたスタイルでお昼休憩。たまにはね。
サクッと食し、前回しっかり講習できなかった、ウッドストーブでの焚火道へ。意識すべきは炉を温める事。
皆、真剣な眼差しで講義を受ける笑
そろそろ出発しようかという矢先、まさかの人の声が!こんなマイナーな山域で登山者と遭遇するとは。。古い地元のハイキング会の皆さんからのお一言。それは正にこちらの台詞でもある笑
暫し情報共有にて歓談。しかし皆さんお元気お元気!
グループとは同じ方角のようなので、、別れを告げた後少し時間を置いてから出発。
地形図で確認も取れていたが、直ぐに平場のような所があり、木々も適度にあったので、ここで....
ぐぬぬぬ、急に森勝氏の体調が!SのM氏とSのA氏とN氏で、休憩できるタープの屋根を張ってくれ~
うわわわ、急に着ている上着を乾かしたくなった!O氏とY氏とU氏で、物干しロープを作ってくれ~
タープはピシャ!
ロープもピシ!
少し覚束ない所もあったが、、とりあえず抜き打ちの課題はクリア。これに懲りずに、今後のシノギングでも基本ワークとして継続して実践していってもらいたい。
許されるならば、ハンモックも張って少しゆっくりしたかったが、思いのほか時間も迫っていたので、素直に先を急ぐ。このエリア、電車本数も少ないので、一本乗り過ごす事も想定して動きたい所。決して歩きでは急がないが、先を見越した時間割はシノギングでも非常に大切。
そして再々出発。のっけからの急登。
詰めると更に急登!このエリアは露岩な場所もあり、非常にバリエーションに富む。
上がるとまだ先はあるが、辺りは拓け景色は良いが、高度感が出てくる。。
結構痩せた尾根や再びの露岩プチクライムが続く。こわやこわや。。
そうして最終ピークに到達すると、辺りは360度の見晴らし台。シノギングでは景色綺麗だねーとはならず、辺りの山域を観察するのが常。そんな時、双眼鏡や単眼鏡は非常に有用だ。
以降は基本下りとなるが、道は駅裏手に出る事を意識してもらい、途中支尾根をしっかりこなしながら進んでもらう。登りの尾根は稜線に向けて一つに集約されるから分かりやすい。下りはその逆で支尾根がどんどん分かれていくので要注意。気持ち良い方ばかりに進んでしまうと、簡単に道を見失う。
赤テープにも惑わされぬよう。迷ったら基本は尾根をタドル。テープにも登山向けと林業向けとあるので、その見分けもしっかり考察出来るように。
何とか大きな分岐点、「大塚さん家分岐」を識別出来た。後は最後の目的地、線路トンネル上のきになるひょっこりピークへ、延びる尾根は一筋。
その途中に怪しげな御社もあり。ベンチもあり、管理も行き届いている。地元に根差した何かなのだろうが、はたして何が祀られているのだろうか。。
御社周辺からはどんよりとした針葉樹帯が続く。その先に送電線鉄塔が東西横に走っている。その巡視路がきっとあるだろうと予測を立て、その道を探してもらう。
皆さん、しっかり探し当てることが出来た。よしよし。
そしてシノギングにおいて全幅の信頼を寄せる、鉄塔とご対面。ここまでくれば、ほぼ迷う事はない。そして電車の時間も迫っていたので、潔く次の便に標準を合わせる。時間も余っているので、森勝氏の歩き方講座をゆっくりと。鉄塔下の謎の集団と化す笑
そのまま少し、鞍部尾根をタドルと、なぞのひょっこりピークは、、
忠魂碑だった。集落を見下ろせる、日当たりの良い南斜面に鎮座しており、その帰らぬ魂たちに想いを馳せたのでしょうか。紅葉も美しく素敵な場所だった。
ここからは駅裏手に出られる秘密の一本道でビュンー
最後の最後、お約束の終わりの難儀。腐った木々と丸いパイプ支柱で形成される小さな架け橋。下は2mくらいの堀で落ちたら地味に嫌な高さ。。皆慎重に渡る。
無事始点の集落へ舞い戻る。
そしてトンネルをくぐり、現実へ帰るかの如く我々のシノギング講習は幕を閉じた。
これにて仮免状態だった参加者皆さんは、本試験通り、晴れてシノラーと相成った。ただ、凌・シノギングに終わりはない。寧ろこの低山の遊び方は追えば追うほど深みが増す。
今回参加して下さった、O氏、N氏、SのA氏、SのM氏、U氏、Y氏。これからもどんどん実践していただき、凌シノギングを追求していただければ幸いだ。
(勿論わからない事や、不安な所があれば、またシノギングイベントにご参加下さい!)
凛々しき六人の黎明、笑ってはいけない奴にて〆