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山の奥の奥の沢歩きで暑さを凌ぐ

夏の低山は暑すぎてたまらないので、凌では暑さを凌ぐために沢に逃げ込むのが恒例になっている。

早々と梅雨明けしたわりにすっきりしない天気が続いていたのだが、どうやらこの週末は好天に恵まれそうだという事で沢に暑さを凌ぎに行くことにする。

駐車場の標高が1,300m。こんなところまで車で入り込めるとは、なんだか得したような味気ないような・・・。入渓地点までの登山道は苔生していてとても雰囲気がいい。

入渓して間もなく渓相は綺麗なナメになって来た。

早くも赤ヘルからダラダラと汗が流れてくるので神田honkeの定式幕手ぬぐいを頭に巻いて汗を止める。きりどっ、きりどっ、きりどっ・・・、元祖どっきりカメラ世代は赤ヘルにあこがれる(笑)

見上げると落葉広葉樹の緑が濃い。

時折り倒木をくぐったり小滝を越えたり、アスレチック間隔で進む。運動によって汗は吹き出すものの、沢の水は冷たく暑さはみじんも感じない。それだけに水分補給を忘れがちになるが、汗で確実に水分を失っているので、こまめな水分補給を心がけたいところだ。バックパックのショルダーベルトの付け根に引っ掛けておけるタモツウルオスは、腰周りに加重するためボトルの重さを感じにくく、手を上げ下げする無駄のない動作でいつでも水分補給ができるので、休憩をとらずにゆっくり行動し続けるシノギングにはとても相性がいい。というか、シノギングのためのボトルホルダーなのだ。

沢を横切る登山道を越えてもナメは続く。このタイミングで傾斜がいくらか急になってきたことがわかる。

岩の窪みに足をねじ込み固定させて滝を越える。

沢歩きにはもっぱらEXPEDのBlack Iceを使用している。30Lには装備が収まるはずがないのでもちろん45Lだ(笑)Black Iceは縫製箇所が目止めされたいわゆる防水バックパックで、スリムなボディはシノギングととても相性が良く、丈夫な生地は岩に擦れても簡単にはダメージを受けない。バックパックにあれこれぶら下げるのはシノギングではご法度。凌ピッケルとタモツウルオスだけを携えてスッキリ整え凌ぎたいものだ。

二つ目の登山道を越えると沢の傾斜はさらに増す。

ナメ滝のヌメリにはフェルトソールの方が有利らしい。いまにもずるッといきそうなステルスソールの足元にひやひやしながら次々に現れるナメ滝を越える。

試作品のウール×ナイロンのロングスリーブTシャツは思ったよりも汗の抜けが良く、汗は重力に従って裾から腰周りに垂れ、胸のあたりは濡れているとはいえびしょびしょな感じはない。そして汗を掻いても冷たさを感じないのはウールならではの感覚だろう。足さばきが良く砂や異物の侵入を防いでくれるクナイは沢歩きにも欠かせない。

二つ目の登山道を越えると源流の雰囲気がだいぶ強くなる。いつの間にか周りは笹原になっている。

最後のナメ滝。見るからに滑りそうだ。

この後は時折り笹に隠れるように流れる細いナメ床を登る。水量はだいぶ少なくなったがそれでもまだ水は流れている。標高は1,900mを越えたあたりだろうか?シノギングにしては高所に来てしまったようだ。

流れがあるうちに水を確保しておく。

笹の陰の鹿頭蓋骨にびっくり。踏みそうになってちびりそうだった(笑)

沢の詰めを外れて尾根に乗る。たった50mの直登がぜーぜー、はーはー、苦しかった。

2,000m圏の主稜線を彷徨い辿りついたハンモックポイントにチェックイン!漂う靄が幻想的な世界を作り出す。

さっそく一夜を凌ぐ道具を広げる。濡れたものはとりあえず干しておくが、おそらく朝までに乾くことはないだろう・・・。

いつものように二段重ねのヌノバケツのおかげで設営楽々だ。疲労した身体にこれほどありがたいことはない。

FIVE TENのステルスソールシューズ。ここでソールが剥がれ掛けていることに気付く(汗)明日いっぱいもってくれることを願うばかりだ。

下界の暑さとは無縁のこの場所は17℃と涼しい。汗冷えする前にカルフワセーターとカルフワタイツを着込む。そして、カルフワタオルをフンドシ状に巻いて、びしょ濡れおパンツの汗を吸わせる。汗かきの私が考えた汗冷え防止に最も効果がある方法だ。これによってパンツの汗を数時間後に乾かすことができる。

(これは凌ぎ終えた時の様子)

あとはのんびりとさせてもらうよ。サッポロ黒ラベルとおやつのそうめん。お出汁の香りと塩っ気がたまらん!

少し早いが、行燈風シェードにあかりを灯してハンモックまわりを演出し、優しい灯りの色をぼんやり眺める。

うまいこと倒木から薪を確保できたのだが、ここ数日雨が続いたのだろうか?樹皮付近が結構濡れているので、モミの小枝を燃やしながら太い薪のまわりを乾燥させる。

なんとか火力に勢いがついてきたのでお楽しみの焼肉だ!寒い時期はベーコン野菜鍋、夏のあいだは焼き肉が定番メニュー。本日はカルビとハラミの贅沢盛り。

日本酒と焼き肉を堪能して、腹一杯になったらあとは寝るだけ。どうか怖い夢を見ませんように・・・。

カルフワセーター、カルフワタイツのカルフワ上下にクイックハラマキ octa、そして、先ほどまでパンツの汗を乾かしていたカルフワタオルを首に巻き、全身octaにくるまってハンモックに寝転がる。そして、試作品のノラギを掛布団代わりにして夜を凌いだ。

最低気温は14℃ほどだった。今回のハンモックシステムも大正解で、ハンモックアンダーキルト woolのぬくもりが身体にじんわり伝わって、ハンモックビビィ Tyvekによって遮断された内部の空気は暖かく絶対的な安心感がある。迷ったらハンモックビビィ、間違いない。

・・・湿気た朝。

夜中からぽつぽつ雨が降り始め、あたりは靄に包まれている。今年はこのパターンが多い(笑)

しじみわかめスープに豆腐を足して、青ネギ1パックを豪快にぶち込むのが定番の朝飯だ。

保険の薪はコットンライクなナイロンタフタの風呂敷に包んでいる。薪の残量に応じてぴったり包むことができるのが風呂敷のいいところ。

クッカー類は少し大きめの風呂敷で包む。こちらもクッカーの組み合わせに合わせてぴったり包むことができる。何でもかんでも軽くするのではなく、雰囲気と使い勝手を考えるのが凌流であり凌ぎの美学。

撤収をしているあいだに靄はどこかに消え、夏山JOY的な笹原の稜線が何とも気持ちいい。

さわやかな空気の中を無彩色の傾奇者が行く。しばらくは登山道をお借りする。

立ち枯れた木々の向こうに見えるは大菩薩あたりの稜線だろうか?

多摩川の源頭、最初の一滴という場所に来た。これまでに何度かこの場所を訪れているが、水が滴っているところを見たことがない(笑)近くの案内によると、ここから60mほど下に水が湧きだしているらしい。へぇー、ふーん・・・。

ああ、なんてシノギングに不似合いなまぶしい緑と空の色よ!

ああ、これは夏によく見るあの花。ちろちろちろ・・・。こんなふうに咲くんだね。

地形がだらだらと広がり始めたあたりで爽快な稜線をはなれ樹林帯に入る。だらだらな地形には冬の小金沢でも騙されているので注意が必要だ。しかし、西側のだらだらを南に下りるところを、東側のだらだらを南に下りてしまったようだ。横切る登山道で周囲の地形を確認し、間違った尾根を下ったことを確信する。やっちまったな~。

気を取り直し、登山道を越えて再び続くだらだらを南に辿る。この尾根はやがて東に曲がり始めるので、そのあたりで南に分かれる支尾根を進むのだ。うん?どうも地形図の傾斜よりも急な気がする。このまましばらく尾根を辿るはずなのだが、すぐに次の登山道に出てしまった。おかしいな???再び地形図を見てまわりをきょろきょろすると、本来入り込む尾根のひとつ前の支尾根に入り込んでしまったらしい。早くもツーアウト。もうミスは許されない・・・。

現在地は特定できたので、再びリセットして登山道から次の尾根へと入り込む。ここははっきりした尾根なので間違えようがない。枯れてパキパキに乾燥した笹藪を軽快に降りる。

20分ほどで尾根を降りきって流れの豊富な沢に出た。ツーアウトから何とか粘って最後をキッチリ締めることができた。

完璧な地図読みができることもあれば今回の様に間違えることもある。たとい予定と違うルートを進んでしまったとしてもそれに気付くことが重要だ。間違いに気付いて現在位置をリセットすれば、そこからルートを再設定して凌ぐ事ができる。シノギングを続けることでこういった応用力を養うことができ、また安全にシノギングを楽しむことができるのだ。

沢筋からは登山道をお借りして昨日の入渓地点に戻った。ナメ沢と2,000mの標高で暑さを凌ぐ事ができた。あー、凌いだ、凌いだ。

沢を凌いだアイテム

ヤマボウシ Air

神田honke 定式幕手ぬぐい

ウール×ナイロン ロングスリーブTシャツ(試作品)

アヲネロ

クナイ

Super Fit Mesh Glove

ヤマバッグ XP

タモツウルオス XP

EXPED Black Ice 45

 

一夜を凌いだアイテム

EXPED Solo Tarp

EXPED Travel Hammock

ハンモックアンダーキルト wool

ハンモックビビィ Tyvek

ノラギ 綾織り(試作品)

カルフワセーター

カルフワタイツ

カルフワタオル

クイックハラマキ octa

行燈風シェード

シノギチャブダイ

ヌノバケツ 4litters XP

元祖ヌノバケツ

風呂敷(試作品・2022年秋発売)

 

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