四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
沢沿いの楽園を求め、お泊りシノギング ~ついでに暑さを凌ぐ~ 【後編】
【前編】はこちら
ようやく楽園に辿りついた我々は、おもむろに今宵の支度を始める。
少し下草が五月蠅いが、整えながら我家を構築していく。中々面白い張り方が出来そうなポイントだ。
バーンと、コの字張りならぬ、弧の字張り。手前の苔むした巨石がアクセント。とても見通しが良く広々と張れて心地よかった。流石の楽園地帯。。
20秒ほど歩けば天然豊富な水場がある。(飲み物もキンキンに冷やせる...)少し沢から離れているのがミソで、近すぎると沢の音が少し耳につくし、湿気をもろに受けてしまう。沢沿いにして隠れ家的な楽園に辿りつけた。そうなれば...
当然こうなる笑 日が暮れ始めるまで、暫しお昼寝タイム。。
薄っすら暗くなると、各々動き出す。一先ず薪を集め(焚き付けの薪はこんもりあるが)、身の回り食事に向けた下準備を終えると、ウッドストーブに火を灯す。いつもの嗜好の時間。
もちろん湿った薪たちを乾かしながら暖を取る。各々せっせと晩飯の作りに勤しむ。予報通りシトシトと雨も降り出す。今回真ん中に小さな枝木が生えていたので、そこを支点に庇モードのタープが非常に張りやすかった。
割烹 やなぎ谷
ヤジマ食堂
小川鉄工所兼、多国籍料理店 U字
少しの乾いた薪を持参すれば、湿った現地の薪でも十分暖は取れる。火を途切れさせないよう、少々忙しい場面もあるが、それがまた何とも言えない充足感を与えてくれる。そして風の音や蜩の啼き声、沢のせせらぎ。どっぷり自分の時間に浸かる。
そうして今宵も更けていく。。
そして明くる朝。。
夜中、雨は降り続けていたが、朝には止んでいた。しかし最後の方どうしていたっけか。試しに横たわったまま記憶が飛んでいた笑
今日は沢の詰めが控えているし、最後長い尾根の下りもある。グダグダした気持ちを抑えながら、さっと朝食をすませ、撤収に取り掛かる。
ありがとう楽園。また来るよ。
さて、再び沢を詰める。朝の沢への第一歩。ひゃっと思わず目が覚める。
しかし、相変わらずの渓様。朝の涼しさも相まって心地良すぎる。
かと思えば、流れの強い所もあり、ジャブジャブ。しかし総じて歩きやすく暑さを凌ぐにぴったりのロケーション。
着々と詰め標高を上げていく。この後大きな分岐点がある。沢は尾根ほど明瞭なルート取りがしづらいので、最新の注意を払い、谷や支流の目印を地図と照らし合わせながら進む。これも沢詰めの醍醐味。
ここかな?二股に分かれた分岐点。方角と地形を加味しても間違いなさそうだ。確信をもって進む。
すると急に水量も減り、静けさが増す。詰めらしくなってきた。
一つ気がかりなのは、入ってすぐにもう一つ支流が入り込んでいるはずだが、見当たらない。。一抹の不安を覚えながらも、先へ進むとミッションインナンチャラ顔負けの網目のように広がる倒木エリアに。これがまた難儀であった。中腰が辛くて。。
再び少し拓けるも、何やら人工物なものが見えたような。。気のせいか。。再び狭くなった笹藪のトンネルを抜けると。。
ありゃ笑 さっき見えたものは気のせいではなかった。このトンネルの中をタドリ、詰めても良いが、折角なのでその横を凌ぎピッケルを駆使してよじ登り巻く。どりゃ!!
おや?上にも何か見えるような。。見えちゃったかぁー
そう立派な林道があったとさ。地形図では途切れているが、どうやら行きに辿っていた林道の延長のようだ。何とも呆気ない詰めとなってしまった。
少し興ざめしてしまったが、気を取り直して林道を進みながら、入れそうな尾根から詰める事に。すると早速登ってくれと言わんばかりの階段が!もちろん吸い寄せられるように分け入る。
柳谷は恐い恐いと怯えながら登る。(本気の高所恐怖症)登りきると良い感じの尾根に乗れた。もはや沢の涼しさが懐かしい。汗を凌ぎながらゆっくりと、且つ黙々と登る。
時折吹く風に、立ち止まり涼みながら、主稜線はまだか~
次第にまた笹薮が五月蠅くなる。地形も平坦になってきたし、詰めの終わりは近いか??微かなフミアトを頼りに進む。
するといきなり出ました登山道。きっと誰か通りかかっていたらびっくり仰天していたであろう。ふむふむ、大分東寄りに詰めてしまっていたようだ。どこでそれてしまったのか...沢の詰めはやはり難しい。
ここからは、人目を凌ぎながら進む。意外にすれ違う登山者は多く、無駄に泥だらけで汗まみれの我々はひと際目立っていたかな笑
抜ける風は気持ち良いが、凌らしからぬ稜線を、下る尾根目指して直歩く。
一つ、また一つ山頂を越え、尾根分岐目印となる電波塔周辺に辿りつく。確かにこの辺りのはずだが、電波塔が見当たらない。暫く彷徨うも、尾根の方角は間違いないと踏み、コンパスを頼りに下りの尾根へと分け入る。
最初はこの灌木と広い地形で分かりづらかったが、薄っすら見えるフミアトが線となり導いてくれた。この縫うように進む広い尾根も嫌いではない。
灌木エリアを抜けると適度に木々の間隔の開けた気持ちの良い緩い尾根へ。風を感じながら進む。陽が入り緑も綺麗だ。
そんな心地の良い尾根も、急に寸断されるが如く針葉樹林帯へ一転。表情豊かな尾根だこと。
この辺りから、下界の暑さと湿気が増してき、次第に流れ作業の下りへ。取り分け、地下足袋だった私は、下りでの親指及びその付け根への当たりによる激痛に萎えながら下る笑
そうして尾根を分断する林道にぶつかると、もうゴールのお寺はすぐそこ。あとはこの林道と登山道思しき道をタドルだけ。(この時点で写真を撮るのも忘れるほど気が緩んでいた笑)
のはずだった。
しかし林道を進んだ先にある登山道?が見当たらない。地図が示すその先は明らかにフミアトもない藪の中だ。
仕方がないので林道を戻り、辿ってきた尾根をそのまま進む事にする。何となく人が入った形跡はあるので、問題なく辿れそうだ。しかし、ここからが長かった...
進めば進むほどフミアトは不明瞭となり、辺りは細々とした藪と化す。尾根は辿れているのでこのままいけば沢の二股に到達するが、そこまで行ってしまうと終点のお寺は遠のいてしまう。。何とかして二股の東側の沢を渡ってお寺側に近づきたい所。
するとその東側の沢にぶつかる。トラロープもあるので、先の辿ろうとした登山道にぶつかったのか??
ただこの前後も道は不明瞭で確信にはいたれず。一先ずドロドロになったものを沢で洗う。束の間の休息。知らぬ間に小川の手では蝉がふ化していたらしい。
気を取り直して沢を後にし、進む。しかし相変わらず不明瞭な道が続く。ぐぬぬ...
一つはっきりしているのは、右手に見える尾根に上がれば、お寺奥の院の道がある。地形図に載っている登山道もそこへ延びるように続いている。仕方がない。。
意を決して、この尾根越えを目指す。流石に直登はきついので、トラバースしながら少しずつ詰めて行く。
グズグズの斜面に、露を纏った藪群。。疲弊しながらもある意味アドレナリン前回でひたすら登る。当然写真どころではない。そして頭の中は凌いだ後のコーラでいっぱい笑
すると尾根に到達する前に道らしき道に出る。感じ的にもお寺へ延びる林道登山道で間違いない。少し進めば尾根に戻るような道があり、お寺に出られるはず。しかしすぐそこに車道と社のようなものが見える。散々地形図に騙された我々は、もはや疑心暗鬼。目に見えるものを信じ、そこを目指し最後の藪を漕ぐ。。
そうしてようやく安堵の地に足を着ける。コーラコーラ~
いやー最後の最後、距離は大したことないが期待を裏切らない凌ぎっぷりであった。天晴。
しかし今回のルートは色々と遠回りさせられたりと実に渋い凌ルートであった。酸いも甘いも凌である。このエリアもまだまだ面白そうな尾根や沢があるので、また来てみたい。
最後に珍しく撮った凌三銃士の自撮り笑ってはいけないヤツ。前!そして後!
【今回の装備】
■柳谷
ヤマボウシ Air(新生地ver 試作品)
クビマキ 新柄(試作品)
ハチジュウハチヤ長袖 ※初日(絶賛販売中)
シノギエマキ ※二日目(試作品)
アヲネロ ※初日(絶賛販売中)
フタエズボン ※二日目(絶賛販売中)
クナイ ※初日(絶賛販売中)
クナイ・ショート ※二日目(絶賛販売中)
axesquin Super Fit Mesh Glove(試作品)
ハヲリモノocta(絶賛販売中)
ヤマバッグ(絶賛販売中)
タモツウルオス(絶賛販売中)
ヌノバケツ(絶賛販売中)
モグ350(まもなく発売!)
凌ピッケル(絶賛販売中)
シノギチャブダイ(絶賛販売中)
凌行燈(絶賛販売中)
EXPED Travel Hammock(絶賛販売中)
EXPED Solo Tarp(絶賛販売中)
EXPED Blackice 45L(絶賛販売中)
■谷島
ヤマベレーAir(試作品)
クビマキ新柄(試作品)
シノギエマキ(試作品)
ミチクサ(絶賛販売中)
シノビ(新生地ver 試作品)
クナイ(絶賛販売中)
ハヲリモノocta(絶賛販売中)
ヤマバッグ小(絶賛販売中)
タモツウルオス(絶賛販売中)
ヌノバケツ(絶賛販売中)
モグ wool insulation(まもなく発売!)
凌ピッケル(絶賛販売中)
シノギチャブダイ(絶賛販売中)
EXPED Travel Hammock Lite(絶賛販売中)
EXPED Solo Tarp(絶賛販売中)
EXPED Blackice 30L(絶賛販売中)
EXPED Flash Pack Pocket(絶賛販売中)