四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
暑さを凌ぐ、お泊り超シノギング 【後編】
【前編】はこちら
壁を登り始めるも、登るにつれて下から見る以上に斜度がきつくなる。露岩ぽい所を狙って攻めたが、湿ったそれは良く滑り、且つボロボロと崩れやすくなっている。このまま登り詰めるのは無理と判断。(寧ろまた下りるのも厳しい。。)下で待機していたボスと小川が、向かって右側にルートを見出し、そちらにシフト。土砂混じりのグズグズの斜面だが、慎重にトラバースし合流する。
小~さな尾根には乗れているが、尾根というにはあまりに急で、まさしく”壁”。変わらず土砂混じりの所が多く、手掛かり足掛かりをしっかり見出しながら登る。こういう土壌の場合、簡単なチェーンアイゼンがあれば多少楽だったであろう。(メモメモ...)
写真どころではない場所が続く。ナメ沢の時点であれだけヘタっていたのがウソのように、皆勇ましく登る。「疲れたー」などの愚痴を言う暇も与えられない。神経を尖らせ、必要ならばお互い注意喚起し合い、少しずつ少しずつ詰めて行く。本能的にそう理解してしまったのであろう。無駄を一切省いた登りを続ける。
中々支尾根が出て来ず、ようやく合流する点までたどり着く。
ただ、既に結構登ってきてい、しかも登ってきた尾根でこの斜度である。案の定、合流した支尾根をのぞき込むと、斜度はきつく下るには厳しい。地形図を確認しても、この辺りの支尾根はどれも下りに使うには厳しい様子。こうなれば、この山域の主脈まで尾根を詰める他ない。そうすれば登山道に合流するのは間違いない。小さな平地で束の間の休息をとり、次の壁を仰ぐ。
ここから、壁を乗り越えては鞍部のような小さな平地に出、また壁を仰ぐ、の流れを3回ほど繰り返す。主脈と思わしき尾根が見えては歓喜し、近づくにつれ勘違いに気付き落胆する。着実に神経を削られていく。次第に雨も降り出すが、ぎりぎり樹林帯で凌げるのが幸い。
次第に”壁”は姿を潜める。が、突如として尾根上に岩稜が現れる。これを目にした時は、正直ヤバいと思った。文字通り”壁”にしか見えなかった。しかしながら、横に巻ける道があり安堵。
満身創痍で、登り続けること約2時間。急に広く平らな尾根に出る。これはまさか...いや間違いない...
無事主脈に合流!事前に確認していた主脈直下の平たい所に出られたようだ。良かった。無事登りきれた安堵感を皆で確かめ合う。
しかしながら、試作のバチヅルには大いに助けられた。超シノギングでの有用性も再確認できた。(小川は無しで登っていた...流石...)
思わぬルート変更と時間を要してしまったが、さてこの後どうするか。下山しようと思えば出来るが、意外に道のりは長い。どこかで幕営するにも、手持ちの水が少ない状況。地図を確認すると、下山ルート上に水が取れそうな沢があるので、ひとまずその辺りまで移動し、水が取れそうならその周辺で泊まる事に。そうと決まれば、いざ出発。あの”壁”をこなした我々には、もはや登山道は天国であった。
しかし、沢手前の道が思った以上に不明瞭で、心を挫かれる。個人的には集中力も切れつつあり、フラフラ。
何とか沢筋を発見。細いが、頑張れば取れそうだ。
もう少しだけ下流に移動し、これでもかと水を確保する。砂や木くず混じりではあるが、そんな時は、まず手拭いで簡単なフィルターをして水筒に汲むと良い。もちろん最終的に浄水器を通すのだが、あまり大きな砂等を浄水器に通すとフィルターの目詰まりや劣化の原因となる。汲みづらくはなるが、この手拭いフィルターは大きなゴミを取り除くのに効果的である。是非お試しあれ。
雨も少しずつ強くなってきたので、急いで適地を探す。ありそうでない、否、なさそうであるモックポイントを彷徨い探す。
結果、適地とは言えないまでも、3つ張れるポイントを発見。さっさと設営に入る。
入山前の情報では、夜から朝にかけて雨が降り続くようであった。それに備えて、タープ・ハンモック・道具の配置を入念にチェックしながら、我家を構築していく。
出来た村はこんな感じ。普通に斜面だが、ハンモックタープの組み合わせならば、こんな所でも寝泊まりが出来てしまう。しかも雨が降っていても開放的で、結露知らず!最高と言う他ない。
家が出来れば、そこはもうマイスイ~トホーム。各々の時間を過ごす。ちびちびアテを摘まみながら飲む者もいれば、撮影に勤しむ者もあり、横になって呆ける者もありけり。。
辺りが暗がりに包まれ出すと、灯りをともし、もぞもぞとまた動き出す。この雨続きの中、果敢にも焚火に挑んだ小川だが、惜しい所で断念。流石の小川鉄工所も火を噴けなかったようで、アルコールストーブにシフト。美味そうなフォーを作っていた。
私は端から潔くアルコールストーブにてせっせと煮炊き。
ボスに至ってはお湯割り用の湯沸かしのみ、酒とつまみだけで凌ぐ潔さ笑(食料が無かったわけではない)
そうして今宵も更けていくのであった。。。
明くる朝、ハンモックの下から犬に噛まれる夢で目を覚ます。辺りは薄っすら靄に包まれ、幻想的な風景。夜中に強めの雨が降っていたなぁ。
就寝前は16℃。恐らくそれ前後の気温であったが、ウキグモlightとウンカイlightで難なく熟睡出来た(犬に噛まれたのを除き)。寧ろ個人的にはもう少し突っ込んだ気温でも対応出来そう。改めてこの二つのポテンシャルの高さを確認出来た。
皆、思い思いに仕込んでいたドリップライン(サスペンションキットからの雨漏り対策。紐等を吊るすだけ)。皆しっかり機能していた模様。もちろんハンモックへの雨漏りは無し!
重い身体に鞭打って(実際昨日の登りの影響で筋肉痛あり)、朝食作りに勤しむ。小雨降っている状況だが、至って快適。タープ、素晴らしすぎる。
当然雨も止みそうにないので、潔く撤収を始める。広いタープの下でメインの撤収パッキングが出来るので楽だ。ささっとパッキングを終え、今回の三銃士パックの撮影。う~む凛々しいね。
さて、後は登山道をタドルだけ、と高を括っていたが、正規の沢沿いルートに出るまで難儀する。この辺りはもはや廃道に近いルートだな。山頂を巻くルートだからほとんど使われないのであろうか。地形図の確認を怠らず進む。
しかし、雨も相まってか、緑が綺麗な場所だこと。
正規の沢沿いルートに出てからは、明瞭な道が続く。暑すぎずな気候で、雨の中でも心地よく歩けた。遠目から良さげなポイントも見つけられ、満足満足。
最後の下り詰めは、例の如く針葉樹林帯で、気温も徐々に上がってきてい、足も心も先走る。寧ろ、予定とは違う方面に下りた結果、例の酒造に立ち寄れると知れば、先走らずにはいられない。
最後になるであろう沢沿いを前に、身だしなみを整えるべく洗えるものを洗い流すの図。
無事林道に合流。雨も落ち着き、下界は雨上がりの蒸し暑さに溢れていた。気を紛らわしながら、長~い舗装路を凌ぐ。酒造までもうすぐ!
満を持してたどり着いた例の酒造さまは正に天国であった。ガンガン冷房が効いた中、乾杯と食事を済ませ、電車までの時間を有意義に過ごす。
"あの時"の答え合わせにも花が咲く。。
こうして長い長~い超シノギングに幕が降ろされた。今回は装備の面でまた色々と気付かされたな。
留まらず凌ぎ続けていきたい。
【今回の装備】
・ヤマボウシ??(新生地サンプル)
・風に飛びそうな帽子(新作サンプル)
・お腹に優しいTシャツ(新作サンプル)
・ミチクサ??(新型サンプル)
・ハチジュウハチヤ長袖(新色サンプル)
・ヒトリシズカ??(新型サンプル)
・ハヲリモノ??(新生地新型サンプル)
・アメノスカート(新色サンプル)
・高通気ソフトシェルパンツ(新作サンプル)
・スカートのようなズボン(新作サンプル)
・凌ぎらしいレインウェア(新作サンプル)
・ツユハラヒ(絶賛発売中)
・クナイ(絶賛発売中)