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バックパッキングのすすめ

もう10年以上前になるけれど、テントをかついで旅をするという行為に、漠然とした憧れを抱くようになった。

それまでは、会社勤めの傍ら毎週末といえばバンド活動で、楽器を抱えてはライブのリハーサルやレコーディングに明け暮れていた生活を送っていたのだが、それも残業やら休日出勤やらに侵蝕されてゆき、やらなくなった。そして、だんだんいろんなことがわからなくなっていた。

ギターをポータブルMDプレイヤーに持ちかえた僕は、お気に入りの音楽のサウンドスケープに浸るために自然の中へ出かけて行くようになった。やがてバーナーとコッヘルを手に入れ珈琲を淹れるようになってから、テントを手に入れるまでは、そんなに時間がかからなかった。バックパッキングと呼ばれる生活道具と共に旅をするスタイルは、あらゆるもやもやの思索の場として本当に魅力的だった。そして自分にはどうしても必要な時間だったに違いないことは明らかだった。

その時の僕の教科書が、地球丸から出ている「バックパッキングのすすめ」という一冊の本だ。ジャック・ケルアックのタイトルを引用して始まるその本の著者はどこか哲学的な匂いがして、まるで本物のスナフキンだった。その人の読みやすいんだけどどこか捻くれた言葉の端々に、なんだか不思議な魅力を感じて、深く頷きながら何度も読み返したものだった。

そして時は流れて、アウトドアメーカーに勤務するようになった僕は、すっかり白髪になったその人と山登りをした。酒を飲んで仕事の話もした。ギターの話なんかもした。そして気がつくと、その人のバンドに迎え入れられていた。

堀田貴之さんとタープの下で過ごす「ムササビの夜」
Wフィールドおじかにて今週末、開催です。
http://www.wf-ojika.jp/

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みんなで、いい夜にしましょう!
(新井)



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