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DAZN観戦 2022年J1リーグ第30節 アビスパ福岡vs清水エスパルス

2022-09-19 16:01:33 | サッカー視聴記(2022年J1)

<福岡スタメン> 4-4-2
GK 村上
RSB 前嶋 CB ドウグラス・グローリ CB 宮 LSB 志知
RSH ジョルディ・クルークス DH 中村 DH 前 LSH 金森
FW 山岸 FW ルキアン
<清水スタメン> 4-4-2
GK 権田
RSB 原 CB 立田 CB 鈴木義宜 LSB 山原
RSH ヤゴ・ピカチュウ DH 白崎 DH ホナウド LSH 乾
FW チアゴ・サンタナ FW カルリーニョス・ジュニオ

大宮に代わる「残留争いのプロ」の名を踏襲するのはどちらか、というような直接対決。
清水は過去8年間で、最終節でJ1残留を決める事4度。
そのうち降格1度・J2暮らし1度・降格無しのシーズン1度の分を引けば、無風の年が1度のみ(2018年)という有様であり。
シーズン途中で就任したゼ・リカルド監督の下で勝ち点を稼ぎ、何とか最終戦の前に残留を決めて一息つきたいシーズンであります。
一方の福岡は、「5年に一度」の呪いに掛かる前も、現在の清水のような毎年底辺付近を彷徨っていた状態であり。
1998年に行われたJ1参入決定戦など寸での所で踏み止まったのを受け、受験生用のお守り代わりとしてグッズが人気を博した事もありました。

そんな福岡を取り巻く現状は、最初に降格した2001年が思い起こされるようであり。
紳士協定違反を犯してしまったかと思えば、前節・マリノス戦(0-1)では、物議を醸すようなラフプレーの末に相手選手(西村)を負傷させてしまうに至りました。
その加害者?である奈良は今節ベンチ外となるなど、その余波を感じさせられるこの日のスタメン。

2001年のシーズンでは残留争いが進むに従い、ラフプレーへの傾倒が隠せなくなってしまった福岡。
サッカーの中での負傷なら仕方無いといえますが、相手の腕を固めにかかった末の骨折といった、格闘技の試合かと錯覚させるようなプレーも見られる有様であり。
それが逆風となったか、最終盤でヴェルディに逆転されて降格というシーズンを送ってしまったのですが、その二の足を踏む事はチームのイメージのためにも避けたい所。
つまり「激しいプレーを厭わない」というフレーズを履き違えたようなシーンを作らない事に尽きる、と言うべきでしょうか。ちなみにこの日の解説者は当時の「主犯」である中払大介氏だったがこれ以上は言わない

しかし試合が始まると、いきなり清水・山原がルキアンのチャージで痛むシーンで幕を開けたように、この日も選手が倒れるシーンで試合が止まる事が目立ち。
激しいプレーも厭わないという姿勢は変わらずな福岡でしたが、同時に素早い攻めを際立たせる事で清水ゴールを脅かしに掛かります。
前半5分にフリーキックを素早くリスタートさせ、パスを受けた山岸のドリブルでチャンスエリアへ運び、清水・立田のディフェンスに遭いこぼれたボールに反応した中村がシュート。(その前に山岸が立田に反則)
6分には清水のサイドチェンジのパスを金森が巧くカット、そのまま細かいタッチで前方へ運び、エリア手前で中央へラストパス。
そして受けた山岸がシュートするも、ジャストミートせず左へ逸れ。
8分にもラフなミドルパスを山岸が胸で落とし、受けたルキアンが遠目からシュート(清水・立田がブロック)と、少ないタッチ数でフィニッシュに繋げていきます。

一方の清水の攻撃は、右サイドで原が何度か偽SBの動きをとり、ワイドに張る事が多いピカチュウとの関係性を軸としているようであり。
11分にはその右サイドからサンタナ・ホナウドも加わって前進、ホナウドが奥へ持ち込んでカットインの姿勢からグラウンダーでクロス。
GK村上が足を延ばして弾き、こぼれだボールをホナウド自ら拾ってそのままシュートしましたが、立ち直ったGK村上がセーブして防ぎ。
このホナウドの上下動が著しく、最終ラインに降りてビルドアップに加わる事もあれば、この場面のように最前線でフィニッシュに絡む動きで攻撃を活性化させていました。
しかしどうしても負けられない福岡を前にして、以降はフィニッシュに持ち込めずそのまま飲水タイムへ。(24分)

今季逆転勝利が皆無という福岡、先制を目指してブレイク明けから活発に。
27分にはスローインから、山岸がダイレクトにラフにエリア内へ浮き球を送ると、ルキアンが合わせにいってこぼれた所を自ら走り込んでシュート。(ゴール右へ外れる)
ストライカーの意地を感じさせる山岸のプレーぶりでしたが、そんな意に反したのが29分の清水の攻撃。
ホナウドのミドルパスから左サイドでの攻め、山原が持ち上がったのち切り返しからゴールへ向かうクロスを入れ、そこにピカチュウが走り込み。
合わせにいくも触れられなかったピカチュウでしたが、そのままの軌道で右ゴールポスト内側に当たりゴールに吸い込まれるボール。
山岸ならびに福岡を嘲笑うかのように、シュートとはいえないキックで先制点を挙げた清水。

落胆する暇は勿論与えられない福岡、以降も攻め上がるものの、守備意識を高めた清水に対して立ち上がりのような速攻は望めず。
また負けパターンか……という思考が頭を過りましたが、それを180度変えたのがセットプレーでした。
33分に中央で縦パスを受けた山岸、コースを探す最中に清水・ホナウドに反則を受け、絶好の直接FKのチャンス。
これをクルークスでは無く中村が右足で蹴ると、シュートは壁を越えてゴール左へと突き刺さり。
山形時代を思い出させる中村のプレースキック(これがJ1初ゴールとは意外)で、起死回生というべき同点ゴールを挙げました。

息を吹き返した福岡は、40分にGK村上フィード→山岸フリックで受けた金森が左からカットインしてシュート(GK権田キャッチ)という具合に、速攻シーンも蘇り良好な流れに。
そして42分にコーナーキックを得ると、キッカー・クルークスの中央へのクロスに志知が合わせにいき、こぼれた所を詰めたのはファーサイドでフリーになっていた山岸。
ゴールネットを揺らしたものの、マイナス方向へ動いてのシュートはオフサイドを疑わせるものとなり、実際にフラッグが上がっていたためにVARチェックに。
しかし清水・白崎が残っていたため、ゴールは認められて逆転弾となります。

これで初の逆転となった福岡ですが、決して楽観視は出来ず。
前半の残り時間は福岡・グローリと清水・カルリーニョスが頭部同士で激突して倒れ込んだり、山岸が同じくハイボールの競り合いで痛んだりという激しい当たりが目立ち。
ルキアンが立田にチャージを受けるも、反則無しとなった事でヒートアップするなど、試合前の危惧が現実となりかねないシーンもありました。
おかげでただでさえ長いアディショナルタイム(7分)がさらに加算される事となりましたが、スコアは動かずに前半を終えます。

共にハーフタイムでの交代は無く後半開始を迎え。
福岡の速く強い攻撃を受け続けた事でリズムを失ったという印象の前半の清水、流れを取り戻さんと右サイドから仕掛けます。
後半4分、立田→原→ピカチュウと、レーンチェンジからの長いパスで奥を突いた末にピカチュウがクロス。
この低いボールをニアサイドでサンタナが合わせたものの、体勢悪くジャストミート出来ず終わります。

すると直後に再び福岡の速攻が牙を剥き、ゴールキックからのロングフィードで敵陣で空中戦となると、ルキアンの落としを経て山岸がエリア内へパス。
これをクルークスが左ポケット奥へ切り込むと見せかけてのヒールパス、山岸に繋がってそのままシュート。
GK権田の右を抜いてゴールに突き刺さり、2点差に広げるこの日2ゴール目を上げた山岸。

これで今度はブロックを固めるのは福岡の方で、清水はその外でパスを多く回すという「ボールを持たされる展開」を強いられる流れに。
しかし再びホナウドの飛び出しが福岡にとって脅威となり、彼への急所を突くパスでチャンスメイクしていく清水。
そして迎えた13分、中盤でホナウドが触ったのち前線へ上がっていき、そこに白崎からミドルパスが供給されてエリア内で裏を取りにいき。
そこで福岡・中村に倒されるホナウド、反則の笛が鳴りPKとなってしまいます。
緩急を付ける攻撃にポジションチェンジを絡められては、リトリートの姿勢だけでは虚を突かれるといったシーンとなったでしょうか。
これをキッカー・サンタナがキッチリとGK村上の逆を突いて左へ決め、早い時間で1点差に迫ります。

その後も福岡のブロックを崩さんと、レーンチェンジする斜めの縦パスを多く交えて攻め込む清水。
20分には白崎の縦パス(これは純正な90度近い縦パス)を受けたサンタナのキープを経てホナウドがミドルシュート、ブロックされたボールをさらにカルリーニョスが拾ってシュート(枠外)と、強力な助っ人の圧力を発揮せんとします。
そんな清水の攻勢に対し、23分山原の左手前からのクロスをファーサイドで合わせにいくピカチュウと、先制点のようなシーンの攻撃をGK村上がピカチュウのチャージを受けつつ抑える「何とか凌ぐ」という表現をしたくなるシーンなどで防ぐ福岡。
これが不発となった直後に清水は選手交代、ピカチュウを諦める選択を採りました。(中山と交代・同時に乾→鈴木唯人へと交代、カルリーニョスが左サイドハーフへ回る)
一方既にルキアン→フアンマ・デルガドへと交代カードを切っていた(20分)福岡も、同時に金森→田邉へと交代。

27分の福岡、田邉のボール奪取から右サイドを踏襲し、クルークスが奥から田邉とのワンツーでエリア内へ切り込んでマイナスのクロス。
ニアで山岸が合わせるという、再度山岸がゴールを脅かしたもののクルークスがオフサイドとなり無効になります。(シュート自体はGK権田がセーブ)
息詰まる残留争いに忘れられたかのような、遅めの飲水タイムがその直後に採られ。

その後CKも複数得る(2度)など、にわかに押し込み始める福岡。
リードしている以上避けたいのはカウンターでしたが、36分に左スローインからの攻撃が防がれてそれを発動されてしまいます。
北川(カルリーニョスと交代で出場・35分)の縦パスを受けたサンタナがドリブルで運び、鈴木唯とのワンツーでエリア内を突きましたが、逆起点となった福岡・前が戻ってきて反則気味のディフェンスで何とか防ぎ。

これを境に押し込んでいく清水、その末にCK攻勢に突入。
気を抜くのは厳禁な状況の福岡ですが、その2本目の右CK(40分)から、キッカー山原のクロスが中央へ落ちた所を中山が足で合わせシュート。
GK村上が右足を伸ばし辛うじてセーブするという、心臓が止まりそうなシーンを演出してしまいます。
その後も3本目のCKののちにクルークスが清水・岸本(原と交代で出場・35分)を警告付きの反則で止めてしまい、左サイドからのFKとセットプレーに晒される時間は続き。

必死に守る福岡、前線での守備もその様相を見せ。
フアンマも清水・ホナウドのドリブルを防がんとしてスライディングで倒してしまい、反則・警告を受けたその刹那怒りの表情を見せる等、それが空回りしないか不安となるシーンも再度目立っていきます。
そして後半も長めとなったAT(7分)へと突入し。

勝利に向けてブロックを敷く他無い福岡と、その周囲で人数を増やし隙を伺うしかない清水とのにらみ合い。
それでも福岡の逃げ切り体制は順位が示す通り盤石では無く、立田の縦パスを受けた中山がエリア内右を突き、奥からグラウンダーでクロスを入れるも中央のサンタナには合わずといった際どいシーンも生まれ。

その最中にクルークスが足を攣らせてしまったのか、相手のスルーパスに追い掛ける事が出来ずといったシーンも露呈。
自身が一度交代をベンチにアピール(放送席の談)したという事でしたが、同時に前嶋も足を攣らせてしまい窮地に陥る福岡ベンチ。
クローザーに使える駒自体も少ないという状況で、結局採った策は両者を代えず、山岸→三國ケネディエブスへと交代し前線のターゲットを増やすというものでした。

そんな這う這うの体の状態の福岡でしたが、清水もこの日は全体として相手を崩すアイデアに欠けていたという印象であり。
福岡のトランジションを重視したサッカーに応戦していったものの、セットプレーでの失点が致命傷となった感じでしょうか。
結局最後に鈴木唯のエリア内へのパスがズレた所で、試合終了の笛が鳴り響き。

ようやく負のトンネルを抜け出す勝利を挙げた福岡。
トンネルの間に色々物議を醸しただけに、上げ潮ムードを壊すような事象はこれ以上作りたくない所でしょう。

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