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DAZN観戦 2021年J2リーグ第3節 ジェフユナイテッド千葉vsブラウブリッツ秋田

2021-03-16 17:03:02 | サッカー視聴記(2021年J2)

初のJ2での戦い。
前年J3では圧倒的な成績で優勝を果たした事で、その舞台においても「台風の目」という評価を得ている秋田。

その戦いぶりは周知の通り。
それでも開幕節(群馬戦・1-2)で、群馬のボールキープに対しアフターチャージを連発する内容を観て、色んな意味で「大丈夫かよ……」と思ってしまったものです。
しかし次節(栃木戦)の勝利で持ち直し、迎えた3戦目。

立ち上がりは千葉が攻撃権を得て、2本コーナーキックを得る等押し気味に。
どうやら放送席(2年前に引退した佐藤勇人氏がこの日初の解説だったらしい)の話によると、今季からポゼッションを意識しての攻撃に取り組んでいるとの事で、ボランチを経由するゆっくりとしたパス回しが目立った千葉。

しかし前半4分の秋田最初の攻撃。
齋藤のポストプレイから右サイドを中村がドリブルで突破し、パスを受けた沖野が奥からマイナスのクロスを入れると、ニアサイドで誰も触れずにガラ空きのファーへボールが流れ。
そこに走り込んだ茂、強烈なシュートをネットに突き刺しゴール。
雰囲気をガラリと変える秋田の先制点が生まれました。

スコアが動いた事で、守備重視の秋田に対し、ボールを握っての攻撃を展開する千葉という流れが完全に出来上がり。
千葉は8分、CKからクロスのこぼれ球を小島がシュート。
ブロックされてその後の二次攻撃、左サイドでパスを繋いだのち高橋がクロスを上げると、チャンミンギュがヘディングシュートを放つもGK田中がキャッチ。
セットプレーから矢を放ったものの、肝心の流れの中での攻撃は今一つ。

その後は秋田の攻勢へと移り変わり。
特に右サイドバック・鈴木準弥のスローインは圧巻の一言で、奥からのロングスローで何度もエリア内を急襲。
それだけで無く、遠目からのスローインでも、その飛距離を活かして一気に陣地を稼ぐというシーンが顕著でした。
かつて千葉が市原だった頃、神戸から移籍加入した和多田充寿氏(1年のみの在籍)のスローインの威力が市原緑地臨海公園競技場(現・ゼットエーオリプリスタジアム)を沸かせた事がありましたが、それを彷彿とさせるこの日の秋田右サイドのスローインでした。

千葉の反撃ムードが萎みつつ、迎えた17分。
GK田中の右へのロングフィードから、中村がフリックで落として再び右サイド奥で沖野のグラウンダーのクロスに繋がります。
これがこぼれ球となるも、クリアボールをペナルティアークで拾った輪笠がシュート、グラウンダーでゴール右へと突き刺し。
序盤で早くも2点リードを奪った秋田、J2常連のチーム相手に「秋田強し」という印象を強烈に植え付けます。

その後はFW齋藤の裏狙いによるカウンター体勢にシフトする秋田。
千葉がボールキープしつつも攻めあぐねている中、ラフなロングパス一本でも、その齋藤のスピードで千葉最終ラインを脅かすシーンが多発。
ボールポゼッションを完全に捨てていながらも、どちらが攻勢なのか解らないという展開を演じます。

といっても、千葉がポゼッションに拘る(この日の放送席の話を真に受けるならば)姿勢を見せたのは今季から。
前年はひたすらロングボールをFWに向けて蹴り込むという、攻撃の形が希薄なサッカーでズルズルと日程を消化していった千葉。
その主たるターゲット役のクレーベと山下が移籍した事も影響したのか(ないしはGK新井章太の長期離脱という要素か)、 尹晶煥(ユンジョンファン)監督の中にコペルニクス的な転換が生まれたのでしょうか。

守備構築とハードワークが、今までの指導の売りだと思われた尹氏。
しかし千葉初年度の前年は、その守備指導でもリトリートだったりハイプレスだったりと時期毎に形が落ち着かない不安定なものに終始しました。
もう一方を支えるハードワークという面も、過密日程なうえ千葉の選手構成的にそぐわず。
かつて鳥栖やセレッソで一世を風靡した尹サッカーは、影も形も無いシーズンとなってしまいました。

その守備体制から、尹氏自身に迷いが現れていたのは明らかでしたが、今季はさらに根幹の部分でもブレが生まれていやしないか。
ポゼッションを高めても、中々フィニッシュに持ち込めない千葉のサッカーを観ていると、そんな疑念を感じてしまうこの日の試合。

33分辺りから秋田が3本CKを得、そこから2本シュートを放つなど、得意のセットプレーで追加点を狙わんとする流れ。
それを何とか凌いだ千葉、以降はボールを握り、かつ相手に何もやらせない時間帯に持ち込みます。

今季はフォーメーションを4-2-3-1へとマイナーチェンジし、トップ下の船山を軸にした2列目を動かしつつ、相手に中央とサイドの択をかけるような攻撃。
一行で表すならばそんなイメージでしょうか。
田口不在のボランチは、小島を軸にしたパスワーク。
その過程でサイドバックを高めに上げる事で、今まで孤立しがちだった右SB・米倉(クロス精度は良いが単独突破には向かない)も、例年より機能しているように見えました。
サイドハーフの見木・福満も盛んにポジションチェンジを繰り返し、相手守備をこじ開けようと必死でパスを繋ぐ千葉。

それでも秋田の守備を崩すのは容易ではありません。
アタッキングサードにボールが入っても、そこでの人数の掛け方が半端無く。
逆に前線のプレスは緩めであり、いかに「最後の部分でやらせなければ良い」と割り切られていたかが窺えます。
そのため中央は固く、必然的にサイドからクロスを上げるだけに留まり。
何度か奥に進入しマイナスのクロスが入るという見せ場はありましたが、結局シュートは高橋のミドル一本に留まり、無得点のまま前半終了。

そして後半。
ハーフタイムに秋田が加賀→山田へと交代したものの、前半終盤の流れそのままの展開を描いた立ち上がり。

ボールを持つものの一向にフィニッシュまで辿り着けない千葉。
後半5分に船山がミドルシュート(枠外)、13分には福満がミドルシュート(ブロック)と遠目から狙う姿勢は見せても、ゴールに至りません。
ショートパスからの攻勢でエリア内のFW大槻に何度かボールが入るシーンはありましたが、そこで収まらなかったり、大槻自身がサイドに流れクロッサーになったりとで巧くいかず。

秋田サイドも受けっぱなしの展開に痺れを切らしたか、あるいは相手のスタミナ切れを待っていたのかは不明ですが、前からのプレスへと傾倒し始めます。
しかしその初っ端の15分、自陣からのパスワークで相手のプレスをかわし続け攻め上がる千葉。
中央でのダイレクトパスの連続で船山へと渡ると、その船山のスルーパスがエリア内の大槻へ。
やや右寄りの位置で大槻がシュートを放ったものの、ボールは無情にもゴール左へと外れ、千載一遇の好機を逃してしまいました。

一方でカウンターの姿勢は崩さず、18分には右サイドで中村のスルーパスに齋藤が走り込み。
千葉・鈴木大輔がショルダータックルで何とか止めるも反則・警告となってしまうなど、そのスピードが十二分に脅威となった齋藤。
それでも消耗具合も相当なようで、22分に秋田がカードを切り齋藤・中村→吉田・才藤へと2トップを揃って交代。

飲水タイム(23分)が挟まれ、千葉サイドも24分に大槻→ブワニカ啓太へと交代。
開幕節(甲府戦・1-1)で初出場初ゴールを決める快挙を達成したブワニカ、この日も望みを託すべく起用されます。

しかし以降は秋田が、流れの中からも好機を作っていく展開に。
後方からのロングパスを巧く繋げ、齋藤不在を感じさせないシーンを連発。(といっても吉田・才藤を競らせてマイボールにするやり口でしたが)
さらにプレスも嵌るようになり、33分には稲葉のボール奪取から國分(沖野と交代で出場・32分)がドリブルし、彼のパスを受けた吉田がミドルシュート。(ブロック)

反撃体制が乱れて四苦八苦する千葉。
何とか再度整えようとするも、以降の秋田は、千葉の両ボランチのパスコースを切るようにFW2人が構える事で容易にパスワークをさせず。
ボランチ2人の働きが生命線となっていた千葉にとって、この時間帯からこの体制を採られたとあっては詰みのようなものでした。
以降はチャンミンギュが、持ち上がってクロスを入れたりロングボールを上げたりするも、苦し紛れの域を出ず当然フィニッシュにも繋がらず。

万策尽きた(それにしては交代枠を残したままだったのは謎)千葉を尻目に、アディショナルタイム突入後は秋田のペースに。
ロングパス・スルーパスで容易にサイドを突破し、クロスかボールキープかの二択に持ち込む逃げ切り体制を容易に築きます。
途中で最後の交代カード(茂→井上に交代)も使い、それを崩す事無く、5分のATを紛れを起こさず過ごす事に成功。
そして試合終了となり、連勝を達成した秋田。

終わってみれば千葉のボール支配率は71%を記録しましたが、押しているという感覚は殆ど無かった試合。
本当にボール保持に傾倒しつつあるのか、ボールを持たせるタイプの秋田との試合だから結果的にそうなったのかは判断しかねる所。
しかしやりたい事を貫いての勝利となった秋田に対し、千葉にとっては今後の見通しすら解らなくなるような敗戦、そんな印象を受けたこの日となりました。

コメント
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