先月、あたらしい管楽器を買いました。
Elefueと書いてエレフエ。エレクトリックな笛です。電子リコーダー。
サイズはソプラノリコーダーとほぼ同じ。
重量も実測109gでソプラノリコーダーとほとんど同じです。
メーカーはOEMの楽器メーカーとして電子楽器や鍵盤楽器を製造している台湾のTAHORNG社。
穴の配列は表側はリコーダーと同じ。
穴が開いているわけではなく黒いタッチセンサーが並んでいて、どの穴が抑えられたかを静電気で認識しています。
頭管部。吹き込み口は着脱できるシリコン製のカバーがつきます。
少し太くなっているところにスピーカー内蔵。この小さな楽器単体で音が出せるようにしたところがまずエライ。
裏面です。上の四角が7セグメントのディスプレイ2桁。その下の左右矢印がパラメーターのアップダウン。
その下のV、B、F、Tと書かれたボタンがパラメーターの選択。
Vを押して矢印の左右で1~10までの内蔵音色を切り替え。VはVoiceのV。
Bを押して矢印の左右で行きの強さの感度を1~3の3段階切り替え。BはBreathのB。
Fを押して矢印の左右で運指をリコーダーと同じか、この楽器専用の「シンプル運指」かを切り替え。FはFingeringのF。
リコーダー運指はジャーマン式とバロック式がありますが、切り替えはなくどちらの指使いでも大丈夫なようになっています。
トリル用の変え指もある程度用意されています。
Tを押して矢印の左右で半音ずつ移調できます。高い方に+12の1オクターブ、低い方に-12の1オクターブ。TはTransposeのT。
その下にボリュームボタン+と-ふたつ。
その下に電源ボタン。1秒ほどの長押しで起動、終了します。
その下の何も書かれていないボタンはBLE-MIDIのオンオフ。ワイヤレスMIDI規格の信号をBluetoothで送信します。
その下の横に長いのは置いたときにスイッチが下に付かないようにする短い脚。
その下の斜めのボタンが左手親指の穴。抑える、開放する、サミング(半分開ける)の3種類を感知します。
これでこの楽器にできることは全てです。
10種類の音色を選んでリコーダーと同じ運指で2オクターブの演奏ができます。オリジナルの運指を選べば丸々3オクターブの音域を自由に使えます。
加えてトランスポーズボタンも使えば一つの楽器で最大5オクターブの音を出すことができます。
トランスポーズで-7(5度下げ)すればソプラノリコーダーからF管のアルトリコーダーにもなります。
つまりこのエレフエ1本で、一番左のグレートバスリコーダーから一番右のクライネソプラニーノまでの音域を出せるということです。
すごくないですか。いや凄すぎます。これを長さ32cm、重さ109g、お値段13,600円で実現したわけですからこれはもう神ってると言うほかない。
この楽器のことを知ったのは発売日の6月17日の2週間ほど前でしたが、1秒も迷うことなく購入予約をしました。
もしこれが倍の27,200円だったらそれは少し悩みます。なぜなら同じく単体で音が出せてはるかに高性能な
EWI solo という楽器が60,000円で売られているので。
でも13,600円というおもちゃを買うに近いイメージの値段だったので即決でした。
VIDEO
実際どんな感じなのか。これは届いた日に録画したものです。リコーダー四重奏をエレフエ1本でやっています。
左からアルト、テナー、バス、ソプラノのパートをそれぞれ吹いています。イヤホンジャックから音を録って仕上げにリバーブもかけています。
エレフエの小さなスピーカーから出る音は、動画の音と比べるとずっとチープなちゃちな音がします。
この出音をもっと聞くに堪える音にしようとすれば、サイズも価格も違ってきてしまいます。音がチープなのは仕方がない。
この楽器を身近な音楽好きな人に見せたのですが、音だけ聞いてまったく興味を示しませんでした。残念ですが一般人の反応はそんなもんでしょう。
これはブレイクスルー的な素晴らしい商品の初号機ですので、今後はさらに改良されていくものと信じています。
私からの改善希望点をいくつか挙げておきます。
・専用指使いの時、左手親指を開けることでオクターブ下になりますが、裏にもう一つオクターブ下げ専用のセンサーをつけて欲しい。
親指を開けると、リコーダー指使いのレやド#と指使いがぶつかって塩梅が悪いんです。
・昔のカシオのデジタルホーンがやっていたように、音色自体にディレイビブラートの効果がかかると上手に聞こえてありがたい。
エレフエだと10番のスオナの音だけにディレイビブラートをつけていますが、他の音にも展開して欲しい。
・半音下を出すのに押さえなければならない指が多すぎる。F#やG#などリコーダーの運指に釣られて無駄に抑えにくい形になっています。
・一番下のド、ド#のための穴二つは、本物のリコーダーのように少し右下がりに傾斜をつけないと抑えにくい。指の短い女性には厳しいのでは。
・スピーカーの非力さをカバーするためにリバーブがかかるとよい。
・BLEーMIDIは面白いけど、ポータブルスピーカーにBluetoothで出音そのものを飛ばせるとさらにありがたい。
・複数の指を同時に開け閉めする時、僅かな指のタイミングの違いが全部ノイズになるのを改善したい。
・カシオのデジタルホンにあったポルタメントがあれば上項の改善になるのでは。
とはいえこれらの改善をすることで、重量やサイズが価格が1割以上大きくなるのであれば、それはやらない方が良いです。
この楽器の一番の売りは安さと軽さと高機能なのでそれはなんとしても保ってほしいので。
イヤホンをつければ外部には無音で演奏が楽しめるこの楽器、深夜でも吹けますし、旅行に持って行くのも楽しいです。
機械的に壊れる部分が一切ないので付属の袋に入れて気軽に持ち運べます。