ヘレンド コレクション
~シノワズリーについて~
~シノワズリーについて~
だんだん暖かくなり、少しずつ夏が近づいてきましたね
ふくやま美術館がある福山城公園内では、ピクニックしているご家族がいらっしゃいました
今回のヘレンド展の大きな特徴は「シノワズリー」と呼ばれる作品が数多く展示されているということです。
シノワズリーとは、17世紀半ば頃からヨーロッパで流行した中国趣味の美術様式のことで、
ヘレンドは、既に最盛期を過ぎていたシノワズリーのデザインを独自に再構成することにより、東洋の文様を巧みに取り入れた洗礼されたデザインの作品をつくりました
色絵金彩「ゲデレー」文ティーセット 1875年頃 ブダペスト国立工芸美術館
この作品は、オーストリア=ハンガリー二重帝国 国王フランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザベートに献上された「ゲデレー文様」というシリーズ作品です。
赤地の中に浮かび上がる緑や黄色、朱や青の花々は非常に色鮮やかです
色絵花卉人物飾り透彫皿 1880年頃 ヘレンド磁器美術館
この楕円形の盆には、「シーアン・ノアール(西安の黒)」と呼ばれる東洋風のモチーフが施されています。
真っ白な地にシャクヤクの花とプラムの枝が描かれており、丹念に描かれた花のモチーフが、目を惹きます
両端のお椀を持って互いに見つめ合っている男性(おじさん?!)が、何とも可愛らしいですね
この男性は「マンダリン」と呼ばれるシリーズで、展示作品にたびたび登場します。
マンダリンおじさんがどの作品に隠れているか、会場で探してみてくださいね
すやすや眠る日本の子供 1900-1910年 ヘレンド磁器美術館
こちらは作品の名前の通り、日本の男の子をモチーフにした作品です
色鮮やかな掛け布団の下で眠っています
掛け布団のモチーフは一人ひとり異なり、どこかシノワズリーを感じさせるデザインになっています。
ヨーロッパだけでなく、世界に目を向け、東洋の文様に着想を得たヘレンド。
このように新たなことへ挑戦していく姿勢が、現代にも続くヘレンド磁器の人気につながっているのかもしれませんね