晴海ヶ丘の空の下

大阪から淡路島に引っ越したアロマピアの 
“おばさんセラピスト” のひとりごと

精油豆知識:フランキンセンス(オリバナム)

2020年04月22日 | 精油豆知識
フランキンセンスは、オリバナムと
呼ばれることも多く、古いフランス語で
『ほんとうの薫香』を意味する言葉です。

英名の「Frankincence」は、
「frank(真正の、自然の)」と
「incense(香り)」が合わさった名前です。

和名は「乳香」と言い、乳香樹からとれる
黄褐色の半透明な樹脂ですが、
遠方より運ばれてくる間に、
表面が白く粉が吹いたようになるので、
乳香と呼ばれるようになったという説と、
水に入れると水が乳白色になるからとか、
固まった樹脂の大きさが女性の乳首ぐらいの
大きさになるのでという説まであります。

樹脂の採取は、樹皮を削り、
そこから滲み出てくる白い樹液を
1〜2週間放置し、しずく状に固まった
ところを専用のナイフで削ぎ落とします。


皮を削いだところから出る樹液


乳香樹脂

フランキンセンスは精油を精製する
技術のなかった古代から、
薫香(木を直接くべて香りを立ちのぼらせる)
として利用されてきた歴史の古い香りです。

古代エジプトやオリエントでは、
神に捧げる香りとして神殿などで、
乳香や没薬(ミルラ)などが用いられ、
没薬と共に黄金に匹敵する貴重な香りでした。

キリストが生まれたとき、東方の三賢人が
イエス誕生の馬屋で、神の子にもっとも
価値あるものがふさわしいと考え、
黄金と乳香と没薬を捧げました。

黄金は『偉大な商人』の象徴であり、
没薬は『偉大な医者』の象徴、
乳香は『偉大な預言者』の象徴であったので、
三賢人は、キリストがどれを好むかを試したそうです。

もちろんキリストは乳香-フランキンセンスを
選んだということですね。

『香』というものがとても貴重で『香』の取引は
莫大な利益のあがる商売であり、
お金の代わりに乳香で取引がされたりしたそうです。

アラビアの南西部に生育している乳香樹だけから
良質の乳香樹脂が採れたので、アラビアは最大の
輸出国であり、とても豊かな国でした。

そしてこの国を治めていたのが、
有名な伝説のシバの女王で、
女王も乳香の貿易で得た巨万の富で
優雅な暮らしをしていたのでしょうね。

フランキンセンス 乳香は、古代から現代まで
宗教的な儀式には欠かせないもので、
エジプトでは、太陽神ラーに捧げるため
毎朝焚かれる香りでした。

また古代は、病気は悪霊が取り付いて
起こるものとされていたため、
乳香で病人を燻蒸して、その人に取り付いている
悪霊を祓うのにも使われました。

アッシリア人は、彼らのバール神の祭りに
60トン近くの乳香を捧げ、
ヘロデ王の弔いには、5000人の奴隷が
乳香の桶をかついで、柩に従ったそうですし、

ローマ皇帝ネロは、妻の葬儀に際し、
アラビアから1年分を買い取り、
全部焚いて弔ったそうです。
どの時代も権力者は、高価なものを
たっぷり使うのが好きなのですね。

キリスト教の礼拝では、振り香炉に使われる
『香』としても知られています。

アルプス地方では、クリスマスと新年の間の
十二夜に徘徊する悪魔を祓うために、
聖なる香りとして、ジュニパー、セージ、
モミなどを家や家畜小屋で焚くそうです。
現在もカトリック教会のミサや儀式では
焚く習慣が残っています。


乳香樹の花

効能
◎心に対する働き
ウッディーで、かすかにレモンのような香りがし、
古来より瞑想に用いられてきたように、
松果体を刺激し、心を安らかにし、
平静な感情へと導いてくれます。

特に過去の出来事に、いつまでも囚われて
クヨクヨしているときや、仕事のプレッシャーや
試験前でコチコチに緊張しているときなど、
不安や強迫観念にとりつかれている心理状態を、
ニュートラルな状態に戻すのに役立ちます。

◎身体に対する働き
古代エジプト人は、フランキンセンスとシナモンを調合し、
手足の痛みを和らげていたそうですし、
中国では、「るいれき」というリンパ腺の結核と
ハンセン氏病を治療するのに役立つとしていました。

フランキンセンスは粘膜に対して、とても効果的に働き、
肺の浄化、呼吸を楽にし、カタル症状に役立つので、
鼻水や、咳、ノドの炎症など、風邪の症状の緩和に
おすすめです。

また子宮の強壮に役立つので、鎮静作用とともに、
出産のときの強い味方です。

産後のマタニティーブルーにも効果的に働いてくれます。
収れん特性が、子宮に働きかけるので、
月経過多や子宮出血を好転させるのにも役立ちます。

美容
フランキンセンスは古来より「若返りの精油」とされ、
エジプト人はフランキンセンスを使って、
若返りのパックを作り、しわとりをしていたそうです。

現在でも、老化した肌の強壮や収れん作用、
皮脂のバランスを整えるのに役立ち、
炎症を抑え、しわを伸ばすのに効果的と、
スキンケアに利用するアロマセラピストも多いようです。

おすすめブレンド
◎インフルエンザや風邪の予防に
ブレンドa)
フランキンセンス  3滴
ネロリ       2滴
ローズオットー   1滴

*マッサージする場合はキャリアオイル(オリーブオイルなど)30mlに、
 ブレンドa)を入れてマッサージオイルを作る。
 1~2滴を手にとり、洗顔後の肌に軽くマッサージします。
 ※キャリアオイルにビタミンE豊富な小麦胚芽油を加える場合は、
  オリーブオイル25ml+小麦胚芽油5mlの割合で入れ、
早めに使い切るようにします。

*蒸気浴する場合は洗面器に熱湯を入れ、
ブレンドa)を3~4滴落とし、タオルで顔と
洗面器を被い蒸気を逃がさないようにし、スチームを顔に当てる。

◎顔のくすみ、しみ、たるみが気になる肌に
ブレンドb)
フランキンセンス  3滴
メリッサ      1滴
キャロットシード   1滴
ローズマリー    1滴

*キャリアオイル(オリーブオイルなど)30mlに、
ブレンドb)を入れてマッサージオイルを作り、
1~2滴を手にとり、洗顔後の肌に軽くマッサージします。

◎仕事や受験などのプレッシャーで緊張してリラックスできないときに
ブレンドc)
フランキンセンス   2滴
スイートオレンジ   2滴
ラベンダー      2滴

*芳香浴する場合…ブレンドc)をアロマポットに2~3滴入れる。
*入浴に使う場合…極楽塩20gに、ブレンドc)を2~3滴入れ、
よく混ぜてから、お塩をお湯に溶かす。


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