晴海ヶ丘の空の下

大阪から淡路島に引っ越したアロマピアの 
“おばさんセラピスト” のひとりごと

ハーブ豆知識:ロシアンコンフリー(ヒレハリソウ)

2019年10月19日 | ハーブ豆知識
『ロシアンコンフリー』(ヒレハリソウ) 
学名:Symphytumxuplandicum


コンフリーの葉には、ビタミン類やミネラル、
カルシウム、タンパク質が多く含まれていて、
「畑の牛乳」といわれるほど栄養価が高く、
食べてよく効く薬草のひとつです。


ヨーロッパ原産の多年草で、
日本では鰭玻璃草(ヒレハリソウ)と呼ばれ、
明治時代に牧草としてヨーロッパから輸入され、
馬や家畜はコンフリーを見つけると、
フェンスを破って食べるほど好むそうです。

また競走馬に食べさせると成績を上げることができると、
調教師たちには、ありがたいハーブだそうです。

かつては野菜が採れない地域の人々に珍重され、
観賞用、食用、薬用として、広く栽培されていましたが、
今はほとんど見捨てられてしまったようです。

しかし繁殖力旺盛で日本全土で野生化し、
畑の縁や道端、牧草地の周辺に群生しています。

コンフリーは別名「ニットボーン(骨接ぎ)」と呼ばれ、
昔から骨折の治療に用いられました。

アラントインという成分が含まれていて、
この成分が骨、軟骨、筋肉の成長を促進するようで、
葉を裏ごしして湿布にして骨折やねんざ、
傷につけると、アラントインが皮膚から吸収され、
治りを早めるのだそうです。

昔、婚礼の前にコンフリーの湯に入浴したのは、
処女膜の傷を治して処女性を回復するためだったと
いわれています。

効能
血液を浄化する働きがあるといわれ、
血圧を安定させたり、貧血を予防するのに用いられます。

最近では、抗アレルギー作用が注目され、
花粉症の不快な症状を緩和するのにも
利用されるようになりました。

アラントインを豊富に含むので、胃潰瘍や食道の損傷や、
打ち身、ねんざ、傷などの治りを早めるのに、
内服、外用に昔から用いられています。

内服にはチンキ剤を使ったり、青汁にして飲むとよいでしょう。

また外用には、葉だけ裏ごししたものを
ガーゼなどに塗り付け湿布します。

ただし、ピロリジディン系アルカロイドを含んでいるので、
大量に内服するのは、避けた方がよいでしょう。

また、汚れた傷に用いると、汚れや膿を傷口に封じ込める
恐れがあるので、傷口は消毒殺菌し、
清潔にしてから用いましょう。

[チンキ(原液)]
ドライハーブ
ロシアンコンフリー 5g(または生葉20g)
ウォッカ      50ml

◎作り方
1. 密封ビンにウォッカを入れ、
  細かく切った生葉またはドライハーブを漬け込む。
2. 1日1回ぐらいビンを振り、
  2週間ぐらい冷暗所に置く。
3. 2.をガーゼで濾す。
  (内服するときは、原液を適宜希釈して服用する)

[青汁]
生葉(ロシアンコンフリー)  10g
ハチミツ           小さじ1~2杯
浄水              200cc

◎作り方
生葉と浄水(虹のかけはし)を入れ、ミキサーにかける。
飲みにくい人は、リンゴを加える。

料理
最近は、ハーブ栽培も盛んになり、
野草料理としても復活し始めているようで、
春から秋までの若芽を摘み、
さっと茹でて浄水にさらし、ごま和え、
汁の実、油炒めなどにすると食べやすいです。

根は、ゴボウと同じように煮て食べます。

[コンフリーの天ぷら]
コンフリーの生葉を一口大に四角く切り、
しその天ぷらの様に、葉の裏だけに衣をつけて揚げる。
パリパリとした食感がおいしいです。

[ブレンドハーブティー]
ー消化不良気味のときにー
ドライハーブ
ロシアンコンフリー 小さじ1/2
ペパーミント 小さじ1/3
レモンピール 小さじ1
        

-花粉症やアレルギー性鼻炎で不快なときに-
ドライハーブ
ロシアンコンフリー 小さじ1/2
ネトル 小さじ1/2
甜茶 小さじ1
リコリス 小さじ1/2 


美容
傷の修復に良いのですから、
浸出液(ハーブティーを濃く出したもの)を
入浴剤として用いれば、収れん作用や細胞増殖作用などで、
肌をなめらかに整えて、しわを防ぐ効果も期待できそうです。

[入浴剤]
ロシアンコンフリー 10g
浄水  150cc 
         
◎作り方
1. コンフリーを紙パックに入れ、沸騰させた浄水を入れて、
10分間浸し浸出液を作る。
2. お風呂のお湯に、1.を入れる。 

コンフリーの健康被害について
追記 平成16年7月

自粛通達が出されました。

コンフリー及びこれを含む食品の健康被害としては、
肝障害が報告されています。 
そのため、一般消費者に対しても、
コンフリー及びこれを含む食品の摂取を控えることと
自生し、または自家栽培したコンフリーについても、
その摂取を控えることとされました。

コンフリーの主な種は、
Symphytumoffcinale  :通常のコンフリー
Symphytumasperurn  :プリックリーコンフリー
Symphytumxuplandicum:ロシアンコンフリー
ですが、日本でも野生化し、
これらの種が交配し色々な雑種ができています。

今回 全ての種が対象とされていますが、
純粋な(交配されていない)ロシアンコンフリーは、
報告されているような健康障害は起こりにくいと考えられます。

しかし野生化し、自然交配をくり返し
多くの雑種が生まれているため、
純種と特定しにくい場合が多く見られます。
そのため、はっきりとロシアンコンフリー純種と
確認できない場合は、摂取を控えられることをお勧めします。

詳しいことをお知りになりたい方は、
厚生労働省のホームページにアクセスしてください。



ハーブ豆知識:ネトル(スティンキングネトル)

2019年10月19日 | ハーブ豆知識
近年 花粉症の予防に役立つことで、
とても有名になったネトルですが、
古くはホラティウス(紀元前65~8)や、
オウディウス(紀元前43~後17)のような
古代の詩人たちは、このハーブを詩に詠み、

薬草家たちはこのハーブを強力な薬草として
利用し親しんでいたようです。

シーザーの軍勢がイギリスにイラクサの一種の
ローマン・ネトルを持ち込み、
ネトルで体を打って暖めたそうです。

ネトルは名前が針を意味する古代英語に
由来するように茎にトゲがあり、これで体を叩くと、
刺毛に含まれるヒスタミンとギ酸がアレルギー反応を
ひき起こしヒリヒリするため、体が暖まったのでしょう。
Brennessel=燃える草という別名もあるぐらいですから…

また最近まで、関節炎やリュウマチの患部を
ネトルで打つのはポピュラーな民間療法だったそうです。

ネトルは今でも春の浄化強壮薬として用いられ、
若い葉は滋養に富んだ野菜として利用されています。

ネトルは日本の刺草(イラクサ)に良く似ていることから、
和名を西洋イラクサと言います。

誰もが知っているアンデルセン童話『白鳥の王子』で、
白鳥になった兄弟の呪を解くために、
王女が糸を紡ぐ場面をご存知ですか?
あの場面はネトルから糸を紡いでいたのですよ。

茎の繊維は布に織ることができ、
中世にはネトルから紡いだ糸で、
大量の平織り布が作られ売られていたそうです。
今ではすっかり木綿の布しか手に入らなくなりましたが。

効能
薬草家ニコラス・カルペパーも
「冬の間に過剰になった粘液を消滅させる」と記述しているように、
ネトルは長い冬が終わり、季節の変わり目(木の芽どき)に
体調を崩すことなく過ごすための活力を体に与え、
春の倦怠感を追いやってくれるとされています。

ネトルには、鉄、キサントフィル、ビタミンA、B、C、
タンニン酸、ホルモン(セロトニン)、カルシウム、
ナトリウム、珪酸、硫黄、リンなど人体に重要な
ミネラルとビタミンが多く含まれているため、
天然の抗アレルギー作用で、花粉症にうれしい効果を
もたらしてくれるのでしょう。

また鉄分が多い上に、ビタミンCが豊富なので、
鉄分が体内によく吸収され貧血に対する強壮にも役立つでしょう。


料理
ネトルは、貧しい時代はホウレン草の
安い代用品でもありましたが、
いい香りのするピリッとした春の野菜として、
ソティーやお浸しなど色々な料理があります。

でも、刺草ですから葉を茎から摘む際には、手袋を忘れないで下さいね。

[スープ]
ネトルの生葉     手のひら4杯
小麦粉        小さじ2
牛乳         2カップ
無臭ニンニクの粉末  小さじ2
ナツメグ       大さじ1
極楽塩        大さじ1
バター        大さじ1
レモン汁       小さじ1
パルメザンチーズ   小さじ1

◎作り方
1. ネトルに少量の水を入れて柔らかく煮てザルにあげる。
2. バターを溶かし、小麦粉を入れ、牛乳を少量づつかき混ぜながら加え、ホワイトソースを作る。
3. 2.に1.のネトルを入れ、調味料で味を整える
4. 食べる直前にパルメザンチーズをふりかける。


[ブレンドハーブティー]
ーアレルギーによる肌荒れにー
ドライハーブ
ネトル      小さじ1
カモミール    小さじ1
ローズ      小さじ1/2
ローズヒップ   小さじ1/2


-花粉症のつらい症状の緩和に-
ドライハーブ
ネトル      小さじ1
レモンバーム   小さじ1
ペパーミント   小さじ1/2
ラベンダー    小さじ1/4 

ネトルドライハーブ     

美容
ネトルの根は、脱毛とふけを予防するコンディショナーとして、
伝説的に用いられてきたようで、
有名な自然療法家のクナイプ神父は、
とても推奨していて、その煎じ汁を洗髪に用いると、
地肌を強壮して血行をよくする結果、
毛髪が強くなり抜け毛を防げるそうです。

[煎じ汁]
生のネトルの根  200g
浄水       1リットル
          
◎作り方
根を生のまま刻み、1リットルの浄水で30分煮だし、
煎じ汁を漉す。煎じ汁で頭を洗う。 


おまけ その1
夫婦や恋人同士など、男女の仲をとりもつ香りなので、
大切な夜や、決めようと思っている日には、
ぜひお二人でお飲み下さいね。
効果テキメン!? 
ただし他のハーブとブレンドしないでね。
ネトルのストレートティーですよ!

おまけ その2
ネトルの成分や香りは、間脳に働きかけるので、
間脳(松果体)を活性化するのにも、ぜひどうぞ。
こちらもストレートティーで食後などにお飲み下さい。
ハチミツを入れると、さらに効果的ですよ。

ハーブ豆知識:ヒソップ

2019年10月19日 | ハーブ豆知識
ヒソップの語源は、ヘブライ語の「去る(azob)」で、
花言葉は“清潔”といい、ヘブライ人に“聖なるハーブ”と呼ばれ、
とても大切にされていました。

神殿などの神聖な場所を清めたり、
ユダヤ教でも、『過ぎ越しの祭り』には、
どの家庭でも身も心も清めるために食べる習わしがあり、
旧約聖書に「ヒソップをもって我を清めたまえ。
されば我清まらん(詩編51-7)」という一節があり、
古代ヘブライ王国の第2代ダビデ王が、犯した罪の深さに気付き、
罪でけがされた自分をヒソップで清めて下さいと
神に祈るシーンとして有名です。

アラブの人々は今でもヒソップのことを
“アザフ(神聖なハーブの意となっている)”と呼んでいます。

日本には明治時代に伝わりましたが、
少しミントに似た爽やかな香りと苦味から、
ヤナギハッカという和名がつけられました。

ヒソップは全草をお茶に利用でき、
ヨーロッパでは昔からハーブティーや料理などに広く利用され、

また紀元前1世紀にイタリアのプリニウスが、
このハーブからつくられるワイン
“ヒソポテス”について記していて、10世紀になって、
この文献によってベネディクト会の修道士たちが、
中央ヨーロッパに持ち帰り、リキュールの風味づけに使い、
現在でも、この修道院で作られるリキュールは
“ベネディクティン”という名で知られています。

また中世になると、踏みつけるとオレンジのような
爽やかな甘い香りがすることから、
防虫を兼ねてストローイングハーブとして、
床にまき散らして部屋を香らせたり、
家の中に吊るして、厄除けや魔除けとして用いるようになり、
庶民の生活に深く結びついていきました。

イギリスでも中世には、
ガーデニングに取り入れられるようになり、
エリザベス朝の頃になると、ハーブガーデンには、
かならずヒソップを植えることが流行したそうです。

効能
古くはヒポクラテスが肋膜炎の治療に
ヒソップとルー(ヘンルーダ)を処方し、
ディオスコリデスも、このハーブを、
ぜんそくとカタルの治療に
用いると良いとすすめました。

消毒殺菌作用に優れているので、
気管支炎や風邪の症状を緩和させるのに良く、
風邪やインフルエンザにかかった時に飲む
ハーブティーとして有名です。

濃く出したハーブティーでうがいをすると、
ノドの痛みも和らぎ口の中もスッキリします。

花だけをシロップに漬け込み、
咳止めシロップに利用されることもあります。

またハーブティーは、胃のもたれや、神経性の胃の症状にも、
スッキリとした清涼感があるので、おすすめです。

しかし、ピノカンフォンという成分が含まれており、
大量に用いると、けいれんを引き起こすことがあるので、
特に高血圧の人は、使用を避けられたほうが良いでしょう。

ヒソップはタイム、ユーカリとの相性が良く、
専門家はハーブや精油をブレンドして用いることもあります。

料理
昔からミントに似た清涼感のある爽やかな香りが
脂肪分の多い肉料理や生臭い魚料理を
食べやすくするためスパイスとして、
よく使われ親しまれてきました。

脂っこい料理に使えば、消化を助ける働きがあるので、
鴨料理や、背の青い魚(サバなど)の料理には、
かならずといっていいほど使われ、
ポテトサラダにも新鮮な花や葉を細かく刻んで入れたり、
シチューやソースの香りづけにも、よく用いられます。

お菓子にも使われ、アップルパイや洋梨のシロップ煮に
細かく刻んだ葉を散らすと一層甘さが引き立ち、
味わい深くなります。

アメリカでは、フルーツカクテルに添えられたりし、
乾燥したつぼみは各種リキュールの風味づけに使われます。


[ブレンドハーブティー]
-脂っぽい食事の後をサッパリと-
ドライハーブ
ヒソップ     小さじ1/3
レモンバーム   小さじ1/2
ペパーミント   小さじ1/3
マジョラム    小さじ1/3

-風邪で体力がなくなっている時-
ヒソップ     小さじ1/3
セージ      小さじ1/3
リンデンフラワー 小さじ1/3
リコリス     小さじ1/4 


美容
香水の原料にも使われ、独特のクラシックな香りに人気があります。

ハーブをお風呂に入れたり、精油なら5~6滴を、
ひと握り分の極楽塩に混ぜてから、お風呂に入れると、
ストレスによる疲れを緩和し、身体の細胞を活性化させて、
とてもリフレッシュできます。