日本ダービーにはドラマが存在します。逆の言い方をすると、ドラマ不足の馬・騎手・調教師は、ダービーを勝つことができないということ。
昨年も同じことを申し上げました。皐月賞を圧勝して、圧倒的1番人気になったエフフォーリアと横山武史騎手に対して、「武豊騎手でも10度目の挑戦でようやく勝てた。福永祐一騎手はもっと時間が掛かった。初GⅠを為し遂げたばかりで、調子に乗りやすい横山武史騎手が、このままダービーをすんなり手にすることを、競馬の神様は許さない」と。
案の定、横山武史騎手は、僅差の2着で涙を飲むというドラマが待っておりました。
今年出走する人馬を見てみましょう。
1番人気が予想されるイクイノックスとCルメール騎手。キタサンブラック初年度産駒が、父が勝てなかったダービーを制する、しかも先週のオークスで⑱番枠から栄冠を勝ち取ったCルメール騎手が再び⑱番枠で勝利する、というのは、まぁまぁのドラマ。ただ、それほど感動を呼ぶ訳ではありません。
2番人気が予想されるダノンベルーガと川田将雅騎手。今や日本人トップ騎手に上り詰めた川田将雅騎手ですが、かつて、ダノンの馬に乗ってもGⅠに勝てない時期が続きました。しかし、ここへ来て、ダノンスマッシュの高松宮記念、ダノンキングリーの安田記念、ダノンスコーピオンのNHKマイルCと、実績を積み上げています。その究極の仕上げは、ダノンの馬でダービーを勝つこと。ダノンプレミアムでも、ダノンキングリーでも実現できなかったダービー制覇を、ダノンベルーガで成し遂げる。これは結構なドラマになります。
今年の皐月賞を人気で敗れたキラーアビリティと横山武史騎手。横山武史騎手は、今年のGⅠで人気馬に騎乗しながら結果を出すことが出来ていません。昨年の勢いが消えかけています。キラーアビリティも、皐月賞当日輸送の大渋滞の影響もあってか、力を出せないまま、クラシックの主役の座から降ろされてしまいました。もし、ここで勝利するようならば、横山武史騎手は、昨年の悔しさを晴らす勝利にもなります。人馬ともに感動的なドラマが生まれることになります。
皐月賞を逃げて5着に敗れたアスクビクターモアと田辺裕信騎手。そして、京都新聞杯を勝ってダービー最終切符を手に入れたアスクワイルドモアと岩田望来騎手。どちらの馬も、スピードの持続力に長けたダービー向きの馬で、ベテラン田辺裕信騎手は数少ないチャンスを生かす勝負師。一方の岩田望来騎手は、急激に力を伸ばしてきていますが、なかなかGⅠ出走のチャンスが得られない若手の一番星。この同じ馬主の2頭が、ゴール前で激しい叩き合いを繰り広げたりしたら‥。「アスクビクターモアか? アスクワイルドモアか? 田辺か? 岩田か? どちらだ!」
やはり、日本ダービーには、ダービーに相応しいドラマがなければなりません。レースを見終わった時に、あ、そうか、今年のドラマはこれだったのか! と、涙が溢れ出てくるようなドラマがなければなりません。
今年のダービーは、どんなドラマが待ち受けているのでありましょうか!?