金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【WBCを振り返って】 スポーツには、国家や偏狭なナショナリズムを超越する力がある‼

2023-03-30 04:14:27 | プロ野球/MLB

 先週、WBCが終了して、日本中が歓喜に湧きました。

 

 

 もちろん、もともとスポーツには、このように国民を熱狂させ、一つに団結させる力がある訳ですが、このスポーツの力を借りて、国威を掲揚したり、ナショナリズムを過度に熱狂させることで、国民を戦場へ駆り立てようとした時代がありました。

 有名なのは、アドルフ・ヒトラーが開催した1936年ベルリンオリンピックや、旧ソ連時代の1980年モスクワオリンピックベルリンオリンピックでは、ゲルマン民族の優秀さをアピールしながら、選手の活躍とともにドイツ国民の偏ったナショナリズムを熱狂的に昇華させることに成功しました。モスクワオリンピックでは、西側諸国のボイコットによって旧ソ連指導者の目論見は外れてしまいましたが、そのお返しに、次の1984年ロサンゼルスオリンピックでは、東側諸国のボイコットによって、アメリカの威信にも傷がつけられました。

 サッカーの世界でも同様であり、南米選手権などでは、今でも、国と国の戦争と同様に位置づけられていて、試合でミスをした選手自身や家族が、自国民のテロの対象になることも珍しくありません。かつて、南米の軍事政権などがサッカーを利用して、市民を戦いに駆り立てた影響が根強く残っているのです。

 

 ところが、今回のWBCでは、日本チームに、オランダ系アメリカ人と日本人のハーフのヌートバー選手が加わったように、チームは国籍で決まるのではなく、選手が自分の信じるアイデンティティによって所属チームを選べる仕組みになっておりました。イタリアチームの監督が、イタリア系アメリカ人のピヤッツァ氏が引き受けたように、イギリスチームも、オーストラリアチームも、ベネズエラも、キューバも皆同様でありました。

 さまざまな理由で、母国を飛び出して、場合によっては亡命までした選手たちが、それぞれの心の中にあるアイデンティティにより、自分が所属すべきチームを選択できる仕組みです。だからこそ、ここには偏狭なナショナリズムは存在せず、ただただ、野球を愛する気持ちと、対戦相手をリスペクトできるハートが自然に芽生えるのだと思います。

 

 この仕組みのオリジナルは、ラグビーの国際試合にあるようです。ラグビーのナショナルチームは、国籍に関係なく、選手が自らの信じるアイデンティティによって、選択できる仕組みになっています。もともとは、世界中に点在した大英帝国の植民地に赴任した英国人とその末裔が、その地域でラグビーを広めたことから、ラグビーの国際試合では、イギリス国籍のままであっても、それぞれの地域の代表を選択できるように、柔軟なルールにしたことが始まり。

 それが20世紀、21世紀と発展していって、今のように、自らが自由にチームを選べる仕組みになりました。その結果、各ナショナルチームには、多様な人種・民族の選手たちが一つなって団結して、それぞれが至高のスーパープレイを見せてくれる極めてダイナミックな国際スポーツに発展しました。

 そこには、偏狭なナショナリズムが無いばかりか、国という概念すら超越した空間が広がります。差別も偏見もなく、多様性を認め合う人類の理想がそこには存在します。

 今年の秋には、ラグビーワールドカップ2023 フランス大会が待っています。WBCに続いて、またスポーツが持つ「国家や偏狭なナショナリズムを超越する力」を見ることができます。今から大変楽しみであります。

 


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