金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【北朝鮮が新型SLBM発射】 これは大変深刻な事態になりました‥。

2021-10-28 07:13:20 | 金融マーケット

 もう一週間前になりますが、10月20日(水)、北朝鮮が新型の潜水艦発射弾道ミサイル=SLBMの発射実験を行いました。それに前後して、北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返しているので、その一環としての報道しか為されていませんでしたが、内容は非常に深刻なものと考えるべきです。

 ある意味、北朝鮮が原子爆弾を開発した事態と同等レベル、あるいは、それ以上に深刻な事態と考えるべきでしょう。

 北朝鮮が核ミサイルを本土から打ち上げる場合は、大気圏外へ打ち出した後、目標地点に向けて落下させながら、ピンポイントで狙いを定めて命中させる技術が必要になります。先制攻撃で、米軍のミサイル基地や航空機基地、あるいは空母や原子力潜水艦を壊滅させないと、必ず報復の攻撃を受けてしまうため、一発必中の技術が必要になる訳です。

 一方で、在日米軍も自衛隊も、この長距離ミサイルに対しては、イージス艦をはじめ、空対空ミサイルによる迎撃で全てのミサイルを打ち落とせる能力を保持しているため、このこと自体が、北朝鮮に対する抑止力になっている訳です。

 ところが、潜水艦から発射される核ミサイルとなると世界が変わってきます。沖縄の近海まで近づいてきて発射するSLBMは、低空での飛行で数10秒でターゲットを狙い撃つことができますので、これを迎撃する手段がほぼ存在しません。こうなると、在日米軍および自衛隊は、北朝鮮本土への先制攻撃しか、国民および国土を守る手段を持ち合わせていないこととなります。

 

 ちなみに、トランプ大統領時代、共和党保守派は、北朝鮮がこのSLBMを開発する前に、北朝鮮本土にあるミサイル開発基地の先制攻撃を具体的に検討していた事実があります。これに対して当時のトランプ大統領は、米軍部主導による戦争勃発を避けるために、中国の習近平との間で「ビックディール」、すなわち米国が台湾から手を引く替わりに、中国陸軍による北朝鮮侵攻+金正恩総書記の捕縛を、中国と約束しかけました。

 その交渉自体を共和党保守派に止められてしまいましたが、当時、そんな米中首脳間の空中戦が発生するくらい、SLBMという兵器は安全保障上、とんでもなく危険なシロモノなのであります。

 今言えることは、このSLBMが相応の命中精度を確保していると考えると、アメリカは安易に北朝鮮への侵攻を語ることすら出来なくなったということ。古くはクリントン大統領時代には、核開発施設の空爆を実行しようとして、命令寸前で中止したことがありましたが、アメリカがグズグズしていた、この25年の間に、北朝鮮は大変な軍事力と、外交上のキーコンテンツを、併せて備え持ってしまったということになります。

 

 恐らく、金正恩総書記は、日本や韓国のことなどはもちろん、高圧的な従属強要施策を執り続ける習近平ですら、既に眼中になくなったと言えるのかもしれません。

 米中のバランスゲームはもちろんのこと、日本の安全保障上、とんでもなくヤバい状況が今起きている。そう、考えるべき事態が発生したと思います。

(こんな時に、立憲民主党は共産党と選挙協力を行っています。何をやっているのでしょうか!!)


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