米国は、コロナ禍で世界最大の犠牲者を出している一方で、世界で最も活況な株式市場を堅持している国でもあります。米国株式市場が活況な理由は、ミレニアル世代といって、20代前半から30代後半にかけた層で、従前は株式投資の経験がなかった人々が、コロナ禍で政府から支給される週600ドルの支援金を、ネット証券(ロビンフッドという株取引アプリ)を通じて、盛んに株式の売買を繰り返しているから、と言われています。
もともと、彼らは自らの個人年金勘定(IRA)での積立投資は若い頃から続けていますが、純粋な株式投資については、忌み嫌う傾向が強かったようです。なぜなら、西暦2000年前後で、金融マーケットの活況ばかりが囃し立てられた時代に育ち、結果的にそうした風潮がリーマンショックを引き起こし、自らの人生においても、奨学金返済に苦労するなどの悪影響を強く被った世代だからです。そのため、彼らには、全ての元凶である「ウォールストリートの強欲」に対して、強い抵抗感が残っているのです。
そんな彼らが、コロナ禍で外出できない状況下、政府から支給されたお金で始めたのがネット証券経由の株式ディーリング。手数料が安い上に、少額資金でも株式売買が可能(取引単位が小さく分割されている)なため、馴染みのあるゲームソフト会社やIT企業の株価を買うと、面白いように爆謄して儲かる。これがミレ二アル世代に一気に広がって、株式市場の一大勢力になっています。
そんな彼らが選んで、高値まで買い上げた企業たちを、伝統的なヘッジファンドが割高とみて空売りを仕掛けてきます。しかし、ミレ二アル世代からは「強欲の権化」とみられているヘッジファンドが空売りをしてくると、これに実買いで対抗して株価を踏み上げる。こうした対決が日々起きているとのこと。
明らかに、理屈を超えた市場価格形成でありますが、コロナ禍が続く限り、この流れが止むとは思えません。皮肉なことに、今回のブル相場の終焉タイミングは「本当にコロナ禍の出口が見えた時」ということになると私は考えております。