金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【民主主義の賞味期限③】 トリガーは朝鮮半島か!?

2021-02-25 06:57:22 | 金融マーケット

【昨日の続きです】

 

 世界の民主主義が崩れ落ちていくトリガーは、どこで起こるのか。すでに香港で動きが始まっていますが、これがそのまま世界に広がるとは思えません。ミャンマーでの軍部クーデターも中国の影がチラつきますが、ここもトリガーまでにはならないでしょう。しかし、朝鮮半島や台湾は、そのトリガーとなる危険地帯であると言えます。ここで、オセロの石が白から黒に変わることで、世界の情勢は一変します。なぜなら、アメリカの敗北を意味するからです。

 アジアの地政学リスクは、少し前までは「北朝鮮リスク」と呼ばれていました。核開発や大陸間弾道ロケット実験をテーマに、北朝鮮対関係5か国という図式で、このリスクへの対応が考えられていました。この時は、とにかく北朝鮮を孤立化させ、経済的に兵糧攻めのような状態に追い込み、彼らが弱り、ヘタるのを待つのが作戦で、5か国の連携も悪くありませんでした。

 しかし、2017年に発生した金正男暗殺事件や核開発の実質的な完了、それから2018年のペンス副大統領演説を契機とした米中対立構造により、状況が一変してきています。孤立していた北朝鮮が、今や中国と連携しながら、自らのシナリオ通りに周囲を動かす、まるで演出家のようです。今や、むしろ隣国である韓国が、中国か、アメリカか、の二者択一に追い込まれており、米韓同盟を維持しながら、中国との適距離を保つという、従来からの戦術が取り得ないで藻搔いている状況と言えるでしょう。

 中国は一昨年のペンス演説以来、北朝鮮に替わってアメリカの攻撃の第一目標にされていますが、トランプ政権が終焉して、バイデン政権の本音を見透かしながら、老獪な姿勢を維持しています。果たしてバイデン政権が、トランプ政権を後ろから制御していた共和党保守派ほど、強権的な施策を続けることが出来るかを、ジッと観察している感じ。

 韓国と並んで、最も危険な状況にあるのが日本だと言えます。日韓両国の関係悪化は今さらここで論じるつもりはありませんが、この状況を一番喜んでいるのが北朝鮮と中国。韓国と米国・日本との関係がますます薄くなってきていますが、米韓同盟が壊れてしまえば、韓国の文政権は、そのまま中国陣営へ奔る可能性が大。そうなると、北朝鮮に吸収される形で朝鮮半島が統一される可能性すら有り得ます。

 今の韓国の民主主義は極めて危うい状況にあって、一般民衆は、自由と国民主権は所与の権利で侵されるものではないと信じ切っている。中国陣営に入って、北朝鮮との統一に向かえば、世界で最も自由とは無縁の、独裁国家の捕囚になるのは明らかなのに‥。それでも北朝鮮との統一を希望する世論があとを絶たないのは、ひょっとすると、今の韓国の極端な格差社会に、既に希望を失っており、それより悪くなることはないと、タカをくくっているのか。しかし、北朝鮮には「市民」という概念すらなく、「民衆」は単なる「国家の所有物」に過ぎません。しかも、統一後は暫く「自由を要求する市民の粛清」が数多く行われるのも間違いありません。

 日本にとっては、韓国が中国陣営に鞍替えするということは、世界における民主主義社会(自由主義社会)の境界線が、38度線から対馬沖に書き換わるということ。その意味するところは、何か有事が発生するとすれば、日本の国境線上で起こるということに他なりません。

 以上から、民主主義の将来を左右するのは「韓国の動向」ということになります。隣国の韓国を、絶対に中国陣営に行かせてはならないということ。もう一度、我々日本人が最重要事項として認識すべきことだと考えます。(続く)


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