非常事態における競馬開催と言えば、2011年の春を思い出します。3月11日に発生した東日本大震災の後、約1か月の中止期間を経て、再開された競馬開催によって、どれだけ気持ちが救われたか。遅れた開催になったものの、クラシックレースを観ながら、普段どおりの生活というものがどれだけ有難いか、ということをしみじみ感じ入ったもの。あの感覚が今、蘇ってきます。
あの時は、皐月賞の開催が1か月遅れとなり、府中の2000mで行われました。ドロドロの不良馬場を、圧勝で勝ち名乗りを挙げたのが、あのオルフェーヴルでした。けして大本命ではなく、春先は取りこぼしの多かった、粗削りの馬でしたが、開催が遅れたおかげで、この馬の本格化が丁度間に合ったタイミングに第1冠目の皐月賞が開催され、その後のダービー、菊花賞と完勝で三冠馬となりました。
今年はまだまだ、非常事態の長丁場が続くと思いますが、こんなタイミングだからこそ、歴史的な名馬が誕生する予感がいたします。直近は牝馬の最強馬ばかりが続くので、ぜひ牡馬の歴史的な名馬の出現を祈りたいと思います。