どのような世界でも、「プロフェッショナルである以上、仕事の結果で、上に行ったり、下に陥落したりは当然である」とは、頭では理解していますが、日々の勝負で勝ったり、負けたりを繰り返していく、プロゴルファーや将棋のプロの凄まじさは、表現しようがないくらい厳しい世界だと思います。
特に、将棋のプロは何とも言いようがありません。日本人全体で同級生が200万人程度いるとして、そのうちの半分が男性だとすると、100万人ぐらいの人たちが、遊び半分も含めて、将棋をやったことがあると思います。そのうち将棋のプロになれるのは恐らく3名か4名くらい。現在の現役のプロは160名強だと思いますが、各世代の天才を集めたのがプロであり、しかも8大タイトルを取れるプロは、その中でほんの一握りの人間でしかありません。
将棋のプロになるには、少年・少女の頃から「奨励会」というところに入会して、徐々に勝ち上がり、満26歳までに三段リーグを勝ち抜けることで、晴れてプロに、プロ四段になれるのです。しかし、年齢制限までに四段になれなければ、プロの道を諦めなければなりません。もちろん、この規定を設けている趣旨は、唯でさえ厳しいプロの世界なので、本人の人生を壊さないためには、ある程度のところで別の道に進む方ことを促すべし、という考えがあってのこと。
それでも、何としてでもプロになりたいという人間には、例外規定が設けられており、アマチュア棋戦などで高いハードルを超える戦績を残せば、特別に「棋士編入試験五番勝負」を受けられることになっています。相手はすべてプロ棋士である四段棋士。五番のうち三勝できれば、晴れてプロ棋士となれる特別試験です。
その棋士編入試験五番勝負が、昨日から始まりました。挑戦するのは折田翔吾アマ30歳。元奨励会の三段リーグ経験者です。孤独で厳しいプロの世界を、それでも目指すその姿勢に、熱い想いを覚えずにはいられません。昨日の第1局目は快勝で、幸先の良い1勝を挙げました。第2局は12月23日。この闘いにも注目しています。